「若き見知らぬ者たち、ではなく見て知らぬふりをされる者たち」若き見知らぬ者たち 梅じんの相棒さんの映画レビュー(感想・評価)
若き見知らぬ者たち、ではなく見て知らぬふりをされる者たち
この映画を観に行ける人とは真逆の世界で暮らす人の話がゆえに評価も厳し目になってますね。
彩人の母親を思う優しさ、限界がもうそこまで来てることにも気づいてる。看護師の彼女も同じ気持ちどころか彼までが潰れてしまわないかと思い悩みながらも明るく振る舞う姿に感心させられる。
そんな家庭の唯一の希望が格闘技で夢を叶えようとしてる弟。
仲間たちやスーパーの店長、近所の畑の主人、みんな彩人に同情し心配してる。
これは映画の中の話だが今の日本に表立って見えない、見てないだけで誰もが自分の近くにいるということを伝えたいのだろう。
映画ではヤングケアラーという言葉が最近社会に現れてきたが、個人的には好きな言葉ではないのだが親、兄弟が介助がいるなら介助するのが家族だと思うのだけれど、それが限界、限度を超えたそれの場合に社会がどう向き合うかが社会の問題としての提起だろう。
観ていて静岡で老老介護の果てに妻を海に突き落として殺めてしまった夫と彩人が重なって見え、また京都で生活保護が受けられず、金がなくなり母親と無理心中しようとしたが一緒に逝けなかった息子の事件など悲しい事件が一向に減らない社会の問題に私達はもっと目を向けなければならないのだとつくづく思い知らされました。
家族への愛情、切っても切れない家族の絆がどうしても周りの理解者に助けを求めない気持ちもわからなくはない。
しかし家族の介助が人生の全てにしないようにすることが社会福祉に求められることなんだろう。
映画として出演者の演技が素晴らし過ぎてリアルで絶望を伝え過ぎたのかもしれないが、彩人が頭を棒打されて出血の跡に弟も友人も気が付かなかったシーンこそが、このような家族を見て見ぬふりの社会を表してると感じましたね。
コメントありがとうございます。
評価分かれる映画でしたね、希望を見出す点は少なかったですしハッピーエンドって感じではなかったので。
個人的にはこういった社会に問題提起させる映画も好きなんです、いわゆる観終わって気持ちが重くなるような。
共感頂き嬉しく思います。
この作品に厳しい評価を下した側なんですが(笑)
>彩人が頭を棒打されて出血の跡に弟も友人も気が付かなかったシーンこそが、このような家族を見て見ぬふりの社会を表してる
これは「なるほど」と思いました。
そういう見方も確かに出来ますね。色んな方の感想を読むことで自分とは違う視点に気付かされ本当に勉強になります。ありがとうございます。