劇場公開日 2023年10月20日

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「本当に素直に「特権階級批判」と受け取るの?」毒舌弁護人 正義への戦い Haihaiさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0本当に素直に「特権階級批判」と受け取るの?

2024年4月28日
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鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

単純

知的

2023年公開の香港映画。
香港映画の歴代興行収入ナンバーワン、ということで見る者すべてのハードルを上げてくれている(笑)。

原題は『毒舌大状/A Guilty Conscience』。
Guilty Conscienceは ”罪悪感” あるいは ”良心の呵責” という感じだろうか?

主役の弁護士・林涼水役には黄子華(ダヨ・ウォン)、
娘に対する傷害致死で服役中のツァン・キッイ役にモデル出身の王丹妮(ルイーズ・ウォン)、
主人公を支える女性弁護士・カークワンには楊偲泳(レンシ・ヨン)、
主人公を兄と慕う ”御曹司” に何啟華(ホー・カイワ)など。

中でも主演のダヨ・ウォンと、バディ役のホー・カイワは、コメディがホームグラウンドらしい。

ストーリーは、
王道の?法廷ミステリーなんだが、さりげなくコメディ風の味付けと皮肉が見え隠れする。
「特権階級 vs. 市民階級」の対立構図で説明するサイトも多い。
特に、ラストシーン。
主人公の弁護士が特権階級の意識や行動を痛罵する演説をぶつから余計にそう感じるかもしれない。

ここ数年で香港は変わった。
中国化が一気に進んだし、抗議活動も完封されたかに見える。香港っ子たちの心も、中国化を受容したのか?

私はそうは思わない。
彼らの香港を思う気持ちは、むしろ増幅していると思う。
体制側についた人を心で嘲笑い、「本土の人間と一緒にされたくない」という自尊心が沸々と沸き立っているのではないか。

そう願ってやまないあまのじゃくな私には、
「特権階級」を批判するセリフは、イギリス式生活を謳歌し自由主義を懐かしむ富裕層に向けられたのではなく、
力(ちから)で香港を統治しようとしている中国政府とその支持者に対する痛烈な皮肉に見えた。
カネにものを云わせてすべてをコントロールしようとするリッチマンたちを、チカラにものを云わせてすべてをコントロールしようとする中国政府に置き換えたのではないか。

だから興行収入がナンバーワンになれたんじゃない?
なんて考えすぎかな。。。

ひとつの作品としては、
ストーリーに裏切りや意外性があるわけではなく、
最新の技術が盛り込まれてもなく、
すごい殺陣やカーチェイスもなく、
一世一代の名演技が見られるわけでもない。

香港映画がんばれ!のエールを加えて、☆3.0です。

Haihai