「死別について、考えさせられる作品」君の忘れ方 ソビエト蓮舫さんの映画レビュー(感想・評価)
死別について、考えさせられる作品
婚約相手を、突然の死別で失った人のお話、
死別後の向き合い方のお話。
昨年、母を大往生に等しい病死で亡くした私は、
死に向かって刻々と心の準備をしてきたはずだが、
そんな私ですら、母が夢に出てきて泣いたり、うなされたり、
母親役の南果歩のように、部屋の片付けや断捨離が、
滞ってしまったりする。
最近では、YouTubeで量子力学をテーマにした動画を見漁り、
「人は死なない」という説に興味を抱いたりと、
病死ですら、そんな感じに至るわけだが、
作品に出てくる死別経験者の大半は、
突然死だったり、不慮の事故死だったりと、
受け入れづらい状況の人達ばかり。
そりゃ、相手が幽霊だとしても、
喜んで連れ回す人がいるのも、無理はない。
この現世、たとえば日本では、
イタコと呼ばれる文化が昔から存在している。
学生の頃は、なんでこんなインチキ商売がまかり通るのかと、
憤りを感じたりもしたが、
身近な人と予期せぬ死別を経験したら、
そういう文化に頼らざるを得ない人もいるのだと、
だいぶ経ってから、わかることもある。
分かる人には分かるし、
分からない人には、どうやっても分からないのも、理解できる。
作品の主人公も、序盤から「頼らざるを得ない人」として、
幽霊が見える人に心酔し、師事していく危うい状況にある。
主人公の母に至っては、もっと危うい状況で、
夫を失った復讐心に駆られ、
一線を今にも越えてしまいそうな状況下にある。
そういう人々が、そこからどう前を向いて行くか。
どう克服していくか。
正解は人それぞれとしか言いようがなく、
作品を観た人の状況や精神状態により、
如何様にも捉えられる、
考えさせられるタイプの作品だった。
そこが、見どころの一つだと思う。
ちなみに私は、母が亡くなって以降、
映画をひたすら観まくっている。
今日も映画館3本予定の2本目。
帰りは午前様になりそうだ、、、
良かった演者
坂東龍汰
南果歩