Ryuichi Sakamoto | Opusのレビュー・感想・評価
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静寂さえも音として。
坂本龍一というひとは、ある種のカリスマだ。 けれど作曲家としてだけでなく、ピアニストとしての彼単体を扱う映画として、 この形での映像化はとても面白く、本質的であったように思う。 運よくDolby Atomosでの上映で観ることが出来たおかげで、 コンサート会場に居るような静けさ。 息をする音、席をずらすような音、 かすかな音さえも感じるほどに皆が静寂を保ち、 またその静寂さえも音として感じるほどに、凛とした映画だった。 音楽を楽しむ。 それは映画館で映画を観るひとつの理由足り得る。 値するような映画であればなおのこと。 そしての映画はそれに値するだけの演奏を楽しむことができる、 素晴らしいものだったと思う。
濃密な100分間
命を削る、という言葉がある。 私たち観客はまさに坂本龍一さんが削った命の一部を共有する。人生における濃密で至高の100分間を体験させていただいた。 坂本龍一さん。 このコンサート・フィルムを残してくれた方たち。 そしてDOLBY ATMOS ULTIRAのスクリーンで上映してくれた劇場の関係者にただただ感謝したい。 音楽に疎く、知識も技術も才能もない。 今度生まれ変わったら、音楽に携わった人生を送りたい。 そしてもう一度このフィルムに向き合いたい。と心から思った。
とてつもない感動があった
2023年3月に亡くなられた坂本龍一さん。22年9月、東京のNHK509スタジオで行われた最後のピアノソロコンサートが丹念に記録された。 自ら選曲した音楽人生を総括するが如き全20曲。闘病生活を続けていた龍一さんが最後の力を振り絞り演奏に臨んだ。 龍一さんとの真剣勝負。 緊張した。息もできなかった。 緊張して肩がガチガチになった。 紡がれる美しい音、微かな笑み、溢れる涙、ままならないことへの苛立ち、、、感情が激しく揺れた。観る自分も激しく揺れた。 そう、とてつもない感動があった。
坂本龍一氏最後の演奏に触れる贅沢な時間
まず最初に書いておきますが、これは坂本龍一氏の最後の演奏に触れる映像作品でドキュメンタリー映画ではないです。 それを勘違いして行って悪いレビュー書くくらいなら行かない方がいいでしょう。 とにかく美しく優しくも切ない音に包まれる2時間。 病気に向き合いながらも自分の芸術に向き合う教授の姿、最後の戦場のメリークリスマスには涙が出ました。 とにかく音が全ての映画なのでお値段はかかりますが行ける方は日本で一番音が良い映画館、坂本龍一氏が監修された歌舞伎町タワーの109シネマズまで出向かれた方が良いと思います。 没入できます。
sayonara skmt
お別れに行った。教授プロデュースの音響設備。間違いなく日本唯一の音場。左小指と薬指の距離感が音としてわかる。ペダルを踏むだけのフェルト音が放つ繊細かつ濃密な音。曲終わりのピアノ倍音の消え方。とにかくハイスペック。違う劇場でも聴いてみようと思う。最後のシーンで感極まる。さよなら教授。
坂本龍一の最後にふさわしい偉大な作品
坂本龍一が音響監修を務めた109シネマズプレミアム新宿にて、坂本龍一が選曲した 20 曲で構成された最後のピアノ演奏を記録した長編コンサート映画。 作品はモノクロで坂本龍一が20曲を演奏するだけの単純な構成。しかしそれでも感動せずにはいられない。カメラは坂本龍一の細部の息遣いからシワやシミ、痩けた顔を哀れもなく撮らえている。また演奏は精細を欠いて、失敗したところもそのまま映し出している。NHK「last days」を観た後に観たため、この時、坂本龍一の指先の痛みなどもあったとわかる。 これまで坂本龍一は前衛的でスタイリッシュなイメージで世間には自身の生活感は見せてこなかった人だと思う。しかしlast days含め、最後にこれほどまでに、決して完璧で美しくないが必死に死と音楽に向き合う美しい姿を見せてくれた。そこに死とは何か?生きるとは何か?この単純な構成の中に死期を悟った坂本龍一からの様々なメッセージが伝わる作品であった。まさに坂本龍一の最後にふさわしい偉大で最後まで前衛的な作品を残した。
教授が追い求めた美に聞き入る
楽曲との別れを惜しむように そして戯れるような演奏。 息遣いが聞こえるほどの親密な空間。 厳選された20曲の演奏。 映像でしかなし得なかった最後のコンサート。 教授の楽曲、特にAquaに救われた夜が何度もある。 人生を反芻し、体全体で聞き入った。 Nスペ「Last Days 坂本龍一 最期の日々」の地続きにある 教授が追い求めた美しさが結集したような作品。
タイトルなし
坂本龍一 さんご本人、最後のピアノソロ演奏の記録映像。 個々の音を、そっと配置するような、丁寧な音作り。 若いころのようなイケイケな指さばきではないぶん、個々の音の深みが。 会場は、109シネマズプレミアム新宿、シアター7。 教授ご本人が監修した、究極の音響の映画館。 距離が無い? 配線も無い? 同じ室内に居る? ようにすら感じる体験でした。 この、混じり気のない音の紡ぎ。相応の音響設備だからこそ伝わってきました。 映像づくりの目線もすばらしく。 まるで、師匠や親を丁寧に観察して記録するような。 感嘆しかないです。 また何度か観にうかがって、理解を深めねばです。
音楽はあるが映画はない。
すでに言われてるとおり、これはただの演奏記録映像にすぎず、ここには音楽はあっても「映画」はありません。著名な音楽家はピアノの前から一歩も動かず、カメラはその指先と表情をピアノの前や横から、PANやズームを繰り返して撮っているだけです。演出というほどの演出はなく、正直言って「監督」がこの作品において何に貢献したのかもよく分からない。 すでに死の半年前を切った時点での記録がときとして胸を打つことは確かで、筋と骨が浮かび上がった痩せこけた指が、鍵盤の上で音を探ってゆく姿が感動的ではあります。 感動的ではあるんだけど、それは「記録」としての感動であって、演奏そのものへの感動ではないんですよね。彼は著名な作曲家であって偉大な演奏家ではなかったのだから、これは仕方がない。仕方がないが、それならなぜこんなに延々と演奏をきかされるのか。 そしてその「記録」としての感動も、やはりさしたる演出もないまま延々とつづくので白けてくるのです、正直言って。かなり熱心なファンでも、「もうちょっと何とかならなかったかな」と微かに不満を抱くような気がします。坂本氏のコンサート映像はたくさんあって、それらを上回って見る価値があるかというと、個人的には疑問ですね。
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