「Classy」私がやりました ブレミンさんの映画レビュー(感想・評価)
Classy
オゾン監督作品は前作の「苦い涙」があまりハマらなかったのですが、展開早めのブラックコメディという情報片手に鑑賞。昼間でしたが結構人入りは良かったです。
プロデューサーの殺害容疑をかけられたマドレーヌ、その罪を晴らすために姉のポーリーヌを弁護士にしたてて、いざ法廷でゆかん!といった感じのノリで、正直序盤はそこまで惹かれるものはありませんでした。なんでそんな働かない彼氏を匿ってるんだろう?と思ったり、彼氏は策略的な結婚を企んでいたりと、なんかずる賢いというよりかはなりふり構わずな人だなとぼんやり観ていました。
ちょっとスローだった序盤から一気にテンポを上げ、法廷のシーンなんかもうコメディすぎました。とりあえず雑に雑に進めてはい解決!とそそくさと終わってしまいます。マドレーヌの圧倒的演技力で同情を買い、女優へのスターダムを駆け上がっていく様子を同時に描く魅せ方は上手いなと思いました。
本筋ここじゃないのかと驚かされましたが、ここからギアが入っていくことをこの時点では知りませんでした。
裁判終了後はあっという間にマドレーヌは女優としての名前を知らしめしていき、様々な媒体への出演を果たして一気に生活も豪華絢爛になっていきます。ポーリーヌもキャリアを十二分に積みつつ、マドレーヌの手伝いもしながらで、姉妹揃って楽しい生活を過ごしている様子が淡々と描かれていました。
こんな平和になるのかと思ったら、プロデューサー殺しの本当の犯人である白黒映画時代のスター、オデットが現れてからは物語の展開がとんでもなく早くなります。
イザベル・ユベールの爆速早口が凄すぎて見入ってしまいました。字幕も追いつくのが精一杯で、かつてない速度でした。これは倍速とかで観たらもう何が何だか分からなくなるやつなので、劇場で体感すべきものだなと思いました。
犯罪を盗んだという聞いたことない表現にげらげらわらいました。その犯罪を取り戻すために判事の元に凸ったり、過去の様子が描かれたりと、一気にコミカルになっていきます。周りの人物全部巻き込んでどうなっていくんだ?とゾワゾワさせられっぱなしでした。マドレーヌが片乳を晒すシーンは不覚にもドキッとしました。女の武器使ってますやんと。
ただオチはちょっと拍子抜けだったかなと思いました。姉妹役をマドレーヌとオデットが演じ切っての大団円という終わり方は、平和的ではあると思いますが、ここまでスピード感が一気に減速して安全地帯での終わり方だったなとちょっとモヤっとする終わり方は残念だなと思いました。
とはいえ、ここまで爆速展開でのコメディ、コンプラやパリコレを良い意味で茶化す今作のような作品は中々観れないよなと嬉しく思いました。オゾン作品は明るい方が好きかもしれません。またこんなテンポの作品観たいなと思いました。
鑑賞日 11/14
鑑賞時間 12:20〜14:10
座席 C-16