熱のあとにのレビュー・感想・評価
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【熱の映画】
狂気でしかない愛の形が描かれる冒頭。そんな熱のあとに、狂気が正気に見えてくるほどの演技力と演出に惹きつけられ、色んな想像を掻き立てるラストには見ているこちらの熱が出る。
◆概要
2019年に起きた新宿ホスト殺人未遂事件から着想を得て描かれるオリジナルストーリー。2023年・第28回釜山国際映画祭ニューカレンツ部門、第24回東京フィルメックス・コンペティション部門出品。
【監督】
山本英(東京藝術大学大学院での修了制作「小さな声で囁いて」で注目された若手監督。本作で商業映画デビュー)
【出演】
橋本愛、仲野太賀、木竜麻生、坂井真紀、木野花、鳴海唯、水上恒司
【公開】2024年2月2日
【上映時間】127分
◆ストーリー
自分の愛を貫くため、ホストの隼人を刺し殺そうとして逮捕された沙苗。事件から6年後、彼女は自分の過去を受け入れてくれる健太とお見合い結婚し、平穏な日常を過ごしていた。しかしある日、謎めいた隣人女性・足立が沙苗の前に現れたことから、運命の歯車が狂い始める。
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◆以下ネタバレ
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◆狂気
冒頭、堕ちていくように階段を駆け下りていく沙苗。血まみれの隼人、返り血を浴びた沙苗はスプリンクラーに濡れながらその表情には笑みが。そんな狂気が描かれる冒頭から、健太と長いトンネルを抜け、“熱のあと”の沙苗に明るい未来を示すような光が当たり出し、タイトルへ。足立に翻弄されながら、沙苗は時には自害を図り、恐怖におののき逮捕を望む。健太との夫婦生活も、“幸せだった時もあった”と語る健太とは裏腹に、沙苗はどこかいつも上の空で、その姿は揺らめくよう。本作を通して描かれる沙苗の運命は、常に危うくも脆くも見え、そのどことない緊迫感に終始惹きつけられた。
◆正気
「演じていくうちに沙苗の正気と狂気が逆転する瞬間があって痺れた」と語る橋本愛。カウンセリングでは沙苗は常に彼女の中で正気であり、カウンセラーの、つまり世にとっての正気との間に苦しむ。健太という、ある意味一番人間らしい、世間の正気とも当然噛み合う事はない。やがて訪れる隼人の影に再燃する沙苗の“熱”。隼人がまだ持っていた靴に何かを確信し、隼人のもとへ向かう沙苗は、まるで自分自身を問うための最終地へ向かうよう。妄信的に見えつつもどこか彼女の狂気が正気に思えてくるような、不思議な感覚だった。そんな感覚になる事を見透かすように、プラネタリウムで沙苗がしずかに隼人にぶつける正気が、幼い純心にはただ泣き出してしまうほどの狂気として描かれる。正気と狂気が静かに混在するあのシーンが本作ならではで、1番の山場だった。
◆ラスト
本作のラストについて「二人に残されている手段は見つめ合うことしかないんじゃないか」と考えたという監督。沙苗はついに再会した隼人について、“時が経ち、お互いが変化していた”と語ったように、健太との触れ合いを通じて自らに変化があった事を暗に示す。健太もついには沙苗から刺される事を欲するほど、本当の意味で沙苗の正気に寄り添い始めていた。“戦争を解決する手段”、つまりどうにも解決しようのないほど距離のあった2人のそれぞれの正気は、長い旅路の果てに寄り添い合い、60秒見つめ合う事でついに交わる事になったのか。サイドブレーキをかけたラストカットは、交差点のど真ん中でクラクションを鳴らされながら、そんな世間との接点を閉じるような、映画冒頭のような“愛の形”に解を帰着させた演出にも見えた。つまり2人は、世間の正気とは違う正気の“愛の形”へと向かった…。ただし、サイドブレーキをかけたのは2人ではなく、沙苗1人の手だったというのもまた別の意味での想像がわくのだが。
◆評価(2024年2月2日現在)
Filmarks:★×3.5
Yahoo!検索:★×3.6
映画.com:★×3.5
愛
実話の重みも感じた!
良い
あとじゃなく発熱中
6年前にホストを刺して殺人未遂で逮捕された女性と彼女の過去を知りつつも気にせず結婚した夫の話。
一方的だったのか付き合っていたのかは判らないけれど、男を刺した沙苗が出所して半年後、お見合い相手の鈴木という銀行マンが実は代打の小泉さんだったことで巻き起こっていくストーリー。
全体的に何だかシーンが変わるたびにその前の流れは何だった?その間何があった?という様な繋がりの悪さ全開で、自分で補完してくださいってことですか?なテキトーなつくりだし、登場人物はみんなアブノーマルな輩ばかりですか?
それで世界が平和になれば世の中お花畑だらけだし、最後も別に揉めている訳でもなく冷静に見えましたが…。
恋愛映画とは異なるものを期待して観賞し、確かに異なる要素も結構あったけれど、ある意味ガッツリ恋愛物語で、しかも偏愛で自分にはついていけなかった。
過去一、無駄、イライラ映画
日本映画を応援したいし、低評価は出来ればつけたくないけど、これは酷すぎる。過去一、時間とお金を無駄にしたと思っていしまいます。
まず、テンポが以上に悪い。
長々と意味の無い映像が多い。何かあるのか、、、と頑張った先には「?」ととなるシーンが多い。観ていてイライラします。
更に、画面が暗い。
誰が何をしているか分からないシーンも多いです。これも、何か意味があるのか、、、と見ていても「??」となります。
更に更に、キャラに魅力が無い。
どのキャラも感情移入出来ず、不思議ちゃんだらけ。主要キャラは何人いるのか?3人は分かるけど。途中から1人増えた?多分。暗くてわからんけど。誰だ?あんたは?、
最後も嫌い。
最後に長回しの嫌なシーン。
くっつくのか?離れるのか??
どっちでもいいなー、早く終われ。
監督の名前、どうか忘れないように。
それでも、仲野太賀は素晴らしい役者なので+★1です。好きな俳優さんが出てなかったら、、、恐ろしい拷問。
私の愛は、大衆一般には理解できないのよ❗️とまでは言ってないけど…
いまさら言うまでもなく、愛のカタチはさまざま。
対象が異性なのか、同性なのか、親なのか、こどもなのか、推しのチームなのか、帰属する団体なのか、母校なのか、郷土なのか、等々あげたらキリがありません。
しかし、色々な出来事や時間の経過とともに変化すると言う意味では、人間同士の愛ほど不安定なものはありません。しかも、愛から始まったはずなのに気が付いたら憎しみや嫌悪になっている、なんてこともかなりの頻度で発生します。
ということを経験済みの大人たちがこの映画を見たら、そりゃあ白けると思います。
橋本愛さんの頑固というか頑迷な愛については、どんな言葉を尽くされようが、理解できません。
愛における〝庶民感覚〟を代表する仲野太賀さんが振り回される姿は、痛々しいというよりも、なんか小バカにされてるような感じでした。
服役中の5年という時間の経過による橋本愛さんの変化(或いは変わらずにいられた理由)について何も描かれていないと、劇中の「これが現実なの」みたいなセリフに対しても、じゃあ経年変化という現実も描いてよ❗️とツッコミをいれたくなります。
ユーモアとシュールさがない交ぜになったラストはなかなかユニークで面白かっただけに、ちょっと残念でした。
紫煙をくゆらせる橋本愛さんは美しすぎる
愛の超濃厚エスプレッソ・ドッピオ
理解できず
60秒で
三者三様の愛し方の好演に目が離せない
公開翌日の舞台挨拶で鑑賞。
好きな俳優陣と好きなテーマで観るしかない、と。
期待通り、それぞれの俳優が一癖ある役柄を好演していました。
橋本愛は、きれいな顔立ちからの狂気じみた役で、最初なじめませんでしたが、その違和感こそが、この役ならではだと思いました。
対する、太賀。正反対の役柄そのまんまで馴染みすぎて、2人が混じり、わかりわかりあえずで影響されあっていくさまに目が離せませんでした。
木竜さんの、明るい表情からは、ある意味一番わかりにくいキャラクターで、最後までわからない。
それぞれの俳優が持ち味をだし、それぞれの役を演じきっていました。
カメラワークも不安定で、暗めの画が多いが、それが心の不安定さをあらわしており、不快なようで作品の魅力を増していました。
設定は尖っていて、一見とっつきにくいけれども、その背景にある、人間のわからなさの魅力に取り憑かれる作品でした。
舞台挨拶にて。
監督は、さなえがどんな気持ちかがわからない、知りたいから撮る。
役者がそれに応えて、体現する。
観る人が、そうやって、人を理解していく。それが映画なんだなあ、と感じました。
注目の俳優、橋本愛、仲野太賀、共演。 二人がイイ。
愛の定義は不可能?
わあ、これは面倒くさい映画だなという印象
2019年の新宿ホスト殺人未遂事件を題材とした作品とのこと。この犯人の女性は3年4ヶ月の実刑となり服役中であるそうだが、映画の主人公は執行猶予となり保護観察中で精神科の受診を義務付けられているという設定のようだ。
精神科医(木野花)とのやりとりからは主人公は解離性障害のように見受けられた。よく多重人格と同一視される障害だが、症例の一つとして、自分の感情や行動を客観的に観察・評価する主体が現れることがあるそうだ。この場合、自分は絶対的に正しいと思い込むことが多い。
沙苗についても同様で、隼人への愛は究極の愛であり、彼からも自分だけが愛されており、彼を殺そうとしたことさえも愛の行為であるという。彼との関係は、タイトルにあるような人生における「一過性の熱」であるといった考え方は受け入れられず全力で拒否する。
一方、健太とは粛々と結婚し表面上は普通の夫婦関係を築いている。それが解離性障害の一つの面であるわけだが。
気の毒にも、周囲の人たちは主人公に巻き込まれ不幸な成り行きとなっていく。
まあ実際には傷害事件の保護観察対象者の身の回りに事件の関係者を安易に近づけることはないと思う。そういう意味ではこの映画は面倒くさい人たちが話をさらにこじらせた面倒くさい話と読めないこともない。
今回、橋本愛の本作についてのインタビューも目を通した。オファーは企画段階からすでにあったようで、脚本はいわばあて書きで書かれたように思える。誤解を恐れずいうと彼女の理屈っぽい感じに期待感があったわけだ。
驚くべきことに、橋本はこの主人公について肯定的な見方をしており「自分の信じているものを守る強さ」といった言及もある。もちろん役作りには相当の葛藤があったことと読み取れるが、やや入り込み過ぎであり、役への客観視が必要だと思う。その上でもう少し演技がついてくればということではあるが。
色々な愛のかたち
彼女の愛の定義が理解できん
観終わった後に題名が語る所が大きかった。
変わりたくない、でも変わらないものなんてない。
あの熱は永遠か?
相手に全てを捧げてこそ愛、相手が心の闇に落ちていったら一緒に落ちてこそ愛、と
いう私にとっては重すぎる愛がテーマだった。
同じように重さを感じる愛の中でもかなり自己愛が強い愛だったな。
自己陶酔の中での愛というか。
愛とは。
舞台になりそうなくらい、セリフで気持ちを説明する場面が多かったのだけど、彼女に共感できない私は何度説明されても理解できなかった。
なぜなら彼女の愛の定義が全く理解できないから。
自分が頑張ったら相手が変わるかもと期待して、それを愛だと思って尽くしてしまうんだろうか。
けど彼女の愛の理論では、何も騙されてないし酷いこともされてない、だって捧げてこそ愛だもの!なのよね。特に相手が変わることも期待してなさそう。
小泉さんが良い人すぎる!と思ってたけど、どんどん同居人に感化されていってメンタルがやられていくのが気の毒だった。
優しい人ほどメンヘラ毒素の吸収率が高い気がするわ。
そしてその愛には歌舞伎町という特異な空間がどうもキーポイントだったらしく、アフタートークの鈴木涼美さんの「ホストは夢を見せてくれる箱」という解釈がとても役に立ったよ!
愛が足りないから一時でも満足をくれるホストにハマるのかと思ってたけど、そんな身勝手な彼への愛を貫ける私を愛してる子たちだからハマるのかなと映画を観て思った。
複雑な気持ち。
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