「予習必須だが、前半の印象を全部捨てて、1から観るぐらいの気持ちで臨もう」デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション 後章 Dr.Hawkさんの映画レビュー(感想・評価)
予習必須だが、前半の印象を全部捨てて、1から観るぐらいの気持ちで臨もう
2024.5.28 TOHOシネマズ二条
2024年の日本映画(120分、PG12)
原作は浅野いにおの同名漫画(小学館)
前章にて、中型宇宙船の墜落によって、侵略者たちが東京上空にばら撒かれる続きが描かれていく
監督は黒川智之
脚本は吉田玲子
物語は、前章にて、福井から上京してきたふたば(和氣あず未)とマコト(白石涼子)の目前で、撃墜された宇宙船から侵略者たちが東京上空に投げ出される様子が描かれて始まる
その後、政府は民間人でも侵略者を殺しても良いという法案を通し、侵略者をハンティングする集団が形成されていく
陰謀論に傾倒していた小比類巻(内山昂輝)は、ゲリラ団を結成し、その力を強めて行った
その頃、SES社では宇宙船の動力分析が行われ、開発責任者の宝田(松田健一郎)は、未知の物質「F粒子」を発見した
彼はそれを利用した兵器開発を始め、政府は秘密裏に方舟を作って、要人を退避させる計画を練っていた
それは、宇宙船の動力を調べたところ、それはまもなくオーバーロードし、爆発する危険性が指摘されていたからである
そんな危機が差し迫っているとは知らず、おんたん(あの)と門出(幾田りら)は普通の生活をしているかと思いきや、おんたんは大葉(入野自由)と接触したことによって、ある過去を思い出すことになってしまう
それは、小学校の頃に宇宙人を捕まえたおんたんと門出だったが、それを機に門出は精神的に不安定になり、宇宙人の道具を使って暴挙に出ていた
そして、思いがけない犠牲者を生み出したことで、門出は自殺をしてしまっていたのである
おんたんはその過去を変えるために、大葉から借りた道具にて、門出が宇宙人と出会わないように仕向けた
それによって、本来来るはずのない宇宙船が地球にやってくることになっている
そして、宇宙船に乗っている侵略者は、かつての地球人であり、人類を一掃して、前の地球に戻そうと考えていたのである
映画は、宇宙船はなぜやってきたか問題を説明する流れになっていて、そこで過去の改変が行われたことが仄めかされる
そして、大葉とおんたんは宇宙船の爆発を阻止するために共闘するのだが、そこに小比類巻が邪魔をするという構図になっている
小比類巻は生き残った人類の救世主になろうと考えていて、宇宙船が爆発してくれなければ困る存在だった
だが、2人は小比類巻の迎撃に成功し、宇宙船の動力を止める寸前まで辿り着くことができたのである
個人的には、門出とおんたんのバディものだと思っていたので、門出が自分の過去を知り、自暴自棄になって小比類巻に加勢して白紙に戻そうと考えるのかな、なんて想像をしていた
で、実は全ては夢の話でというオチかと思っていたが、実際には「おんたんと大葉のバディもの」にシフトチェンジし、まったく別の物語が終わったように思えた
特典でもらったポストカードが「おんたんと大葉」だったので、嫌な予感はしていたが、それで良いのかと思ってしまう
予想が外れた云々より、主人公が交代したかのような感覚で、俯瞰すれば群像劇ではあるものの、前半のテイストからは随分と逸れてしまったように思えた
いずれにせよ、映画のために書き直されたエンディングがどんな改変になっているのかはわからないが、原作もこんな感じに後半で門出がモブキャラになってしまうのかは気になってしまう
前章の宣伝とか、キャスティングを考えると、後半のバディチェンジが唐突なのか計画的なのかは何とも言えない
結果として、前章を観た観客が「観たいものを観れた」のかはわからないが、個人的には「え〜」という感じなので、ズレた期待をしていたことになる
全体を通して観ると印象が変わるかもしれないので、時間ができたら通して鑑賞してみようかな、と思った