「前章から続けてもう一度観たい」デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション 後章 おじゃるさんの映画レビュー(感想・評価)
前章から続けてもう一度観たい
浅野いにおさん原作コミックの劇場アニメ化2部作の後編である本作。前章で残された謎がずっと気になっていたので、公開初日に鑑賞してきました。ラスト上映回であったにも関わらず、結構な客入りで注目の高さがうかがえます。
ストーリーは、大学生となった門出と凰蘭が、竹本ふたばや田井沼マコトらと友達になり、オカルト研究会に入って平凡な大学生活を送り、東京各地では自衛隊による侵略者駆除活動が活発に行われていた頃、上空の母艦は白煙を上げて傾き、もし墜落すれば、そこから放出されるF元素によって人類滅亡の危機が迫る中、侵略者が移植された人間・大葉、侵略者駆除を進める政府、侵略者保護団体SHIP、政府とつながるS.E.S社、政府転覆を狙う過激派グループ・青共闘など、それぞれの思惑が絡み合っていくというもの。
冒頭からショッキングな映像で重くなりかけましが、前章同様に凰蘭と門出たちの会話が楽しく、異常な世界の中で紡がれる変わらぬ日常を感じさせます。SFスペクタクルの舞台を用意しながら、フォーカスするのは友情や恋。凰蘭にとって、この平凡な愛すべき日常、かけがえのない親友の門出こそが全てであり、世界中の全人類と天秤にかけても、守るべき大切なものだということが伝わってきます。
映像的には、前章同様、リアルな背景とギャグっぽいキャラの生み出す違和感が、作品の世界観とよくマッチしています。加えて、特殊な装置で記憶を共有するシーンや終盤のデストラクション展開は、圧巻の映像美で魅せてくれます。内容も映像も劇場クオリティで、しっかり楽しませてくれる作品だと感じます。
ただ、前章をちょっと忘れかけていたために、侵略者襲来の裏で暗躍する勢力がわかりにくく、頭の中でつながりが悪いところがあったのは残念です。中でも、S.E.S社や小比類巻に関する描写は、やや端折っていてわかりにくい印象を受けます。機会があれば、前章から続けてもう一度観てみたいし、改めてテレビシリーズでじっくり描いたストーリーも作ってほしいです。
キャストは、幾田りらさん、あのちゃん、入野自由さん、和氣あず未さん、白石涼子さん、内山昂輝さん、竹中直人さんら。前作同様、主演二人のポテンシャルの高さが光ります。