「「デ」のパンフくださいで反応した店員さん、原作読んでるね」デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション 前章 Dr.Hawkさんの映画レビュー(感想・評価)
「デ」のパンフくださいで反応した店員さん、原作読んでるね
2024.3.26 イオンシネマ京都桂川
2024年のアニメ映画(120分、G)
原作は浅野いにおの原作マンガ『デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション(小学館、全12巻)』
首都上空に突如現れた謎の物体にちょっかいをかける人類を描いたSF映画
監督は黒川智之
脚本は吉田玲子
物語は、千葉の沖合に謎の球体が現れ、それに対して米軍が兵器を使う様子が描かれて始まる
それによって、首都圏にダメージが起こり、さらに球体は東京へと向かってきてしまう
それから3年後、首都圏にはいまだに球体が浮上したまま、何の進展もなく、日常が過ぎ去っていた
地元の高校に通う小山門出(幾田りら)は担任の渡良瀬(坂泰斗)に絶賛片想い中で、親友のおんたん(あの)は、焚き付けるように面白がって眺めていた
門出はおんたんの他にキホ(種崎敦美)、亜衣(島袋美由利)、凛(大木咲絵子)と仲が良く、いつでも5人一緒に行動していた
彼女たちは男とは縁の無いスクールライフに突入していて、キホはそこから抜け出したいと考えていた
クラスメイトの小比類巻(内山昴輝)に恋をしているキホは、その想いを伝え、念願のリア充への道を歩み出す
それでも、友情が変わることなく、日常はそのまま流れていくように思えていたのである
映画は、その後、球体が母艦と名付けられ、母艦から偵察機のようなものが出てくる様子を描き、それらを排除するために「歩仁」という兵器が開発される様子が描かれる
そして、その偵察機を見事に打ち落とし、その中身は米軍によって管理させてしまうという流れを汲んでいく
ある日、近くで偵察機が落ちたのを知ったおんたんは、墜落現場に向かい、そこで偵察機から落ちたと思われる謎の物体を拾う
それは何かの通信機のように思えたが詳細はわからず、そんな彼女に門出が中学の時にハマっていたアイドルに激似の少年(入野自由)が接触してくる
そして、門出の過去がおんたんの記憶の中に流れ出し、その母艦との関係性が仄めかされていく、という内容になっていた
原作は12巻で完結し、本作は4巻ほど進み、門出の過去譚が挿入される構成になっている
どうやら原作とは違う結末になるとのことで、それを書き下ろしているのが原因なのかわからないが、公開が1ヶ月伸びるという状況になっている
連続月での開催で組んでいたスケジュールはご破算になったが、それよりも後章のクオリティを上げることを選んだのだろう
前後編の作品なので、単体での評価は難しいが、話題の人を声優に当てている弊害はそこまで感じない気がした
生粋のアニメファンからは総スカン状態だが、下手すぎて聞いてられないということは無い
だが、その話題の人のファン層と原作のファン層、ひいてはアニメファン層とは微妙なズレがあるように思うので、興行的には成功しづらいと思う
ともかくはクオリティの高めて完成させ、円盤で回収しようという目論見があるのかな、と勘繰っている
いずれにせよ、サクサク動くし、会話劇は面白いし、女の子は可愛いしで、個人的にはOKなのだが、いかんせん周囲に勧められる人がいないのは残念である
いわゆるSFアニメで、社会風刺を取り込んでいるスタイルで、エッジの効いた台詞回しが特徴的なのだが、内輪向けのノリがキツすぎる印象は拭えない
そう言った意味においても、深夜アニメでやった方が成功したんじゃないか、と思うものの、スケール感とか音響などを加味すると、映画館で観れたことは良かったのかな、と感じた