「思ってたより、色々考えさせられる作品」デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション 前章 ラインハルトさんの映画レビュー(感想・評価)
思ってたより、色々考えさせられる作品
20代の娘におすすめされたので、「劇場内が若い女の子ばっかりで、50代おっさん1人で観に行って浮かないかな?」と、ビクビクしながら映画館に行ったら、意外と自分より年上っぽい初老の男性もいて、ホッっと一安心でした(笑)。
本作の知識は一切無く、鑑賞前の本作のイメージは、他の映画の予告動画でのみ判断すると、「2人の高校生の主人公っぽい人達が、突如襲来した宇宙船を見て〝ヤバい〟と思いながら、日常に非日常が組み合わさった生活に馴染みつつ、ただ単に女子高生達がわちゃわちゃしてるだけの映画」なのかなぁと思っていました(原作ファンの方、すみません)が、実際は全然違いました。
本作を鑑賞して、「日常に非日常が組み合わさった物語」という予想は間違っていませんでしたが、自分が想像していたよりずっと、この映画には色々な要素が表現されていて、奥深い作品だなぁと感じました。
劇中前半の主人公達の高校生編では、突如襲来した宇宙船にいつ襲われるか分からない事実(非日常)を主人公達が受け入れ、日常の高校生活を楽しみながらも、「ありふれた日常に突如訪れた友人の死」「安易に対話では無く対立を選択する人間の愚かな行為」「戦争が起こりそうな環境での人間の心理」「ネット社会に依存し過ぎて歪んでしまう人間の思想」など、現代社会に当てはめても、「戦争」や「死」を十分に考えさせられる描写が映し出されています。
そして、劇中後半の主人公達の小学生編では、何処にでもありそうな小学校生活の描写の中に「いじめ」「弱者が歪んだ正義感を持ったら、一体どうなるのか?」「人間がもし、未知の生物に遭遇したらどう対処する?」など、もし、自分が主人公の立場だったらどんな気持ちだっただろう?もし、主人公の立場だったらどんな行動を取っただろうか?と、色々想像させるような内容となっています。
本作はサブカル的な作品で、あのちゃんと幾田りらさんが主人公達の声優という事で注目を浴びていますので、本作を知らないほとんどの人は、多分サブカル好きが軽い気持ちで楽しむ作品なのか?と考えていると思いますが、実は物語の中身は奥深くて世間に訴えるような「メッセージ」も多く、本作をもっと幅広い世代に見て欲しい作品だと感じました。
本作を鑑賞した総合評価ですが、初見では意味が分からない部分も多く、又、主人公達の独特のわちゃわちゃした雰囲気が苦手な人も中にはいるかもしれませんが、ストーリー自体はしっかりしている作品でした。本作を全て理解出来た訳ではありませんが、本作は2部作という事で後編で理解出来なかった部分は回収出来ると期待を込めて、星4.5とさせて頂きました。