「【”人間は海から産まれた。”今作は、西オーストラリアの豊饒な入り江、ロバーズ・ヘッドを開発者から守る母娘の長きに亙る物語であり、水中の多くの魚の群れのショットが美しき作品でもある。】」ブルーバック あの海を見ていた NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【”人間は海から産まれた。”今作は、西オーストラリアの豊饒な入り江、ロバーズ・ヘッドを開発者から守る母娘の長きに亙る物語であり、水中の多くの魚の群れのショットが美しき作品でもある。】
ー オーストラリアで広く親しまれている作家、ティム・ウィントンのベストセラー「BLUE BACK」を映画化した作品。ー
■若き海洋生物学者のアビー・ジャクソン(ミア・ワシコウスカ)は、母親・ドラ(リズ・アレクサンダー)が脳卒中で倒れたとの知らせを受け、故郷である西オーストラリアの海辺の町、ロングボート・ベイに帰ってくる。
幸いにも症状は軽く、退院したドラは高台の自宅に戻るが、言葉を全く発しなくなっていた。
◆感想<Caution!内容に触れています。>
・物語は、8歳の誕生日を迎えたアビー(アリエル・ドノヒュー)が若き母(ラダ・ミッチェル)からダイビングを手荒く教わるシーンから始まる。
そして、その時にアビーは70年生きるというグローパーと言うロバーズ・ヘッドに棲む巨大魚に出会い、”ブルーバック”と名付けるのである。
アビーが海に魅入られた瞬間が、美しく描かれている。この作品の一番の魅力は、水中の多くの魚群や鮑などの美しき撮り方であると思う。
・年頃に成長したアビー(イルサ・フォグ:スレンダーな身体で水中を泳ぐ姿が、実に美しい。)は、母がロバーズ・ヘッドに棲む固有種を守る活動を見ながら成長する。だが、コステロと言う男に率いられた開発業者達は、海を掘削し、固有種を底引き網で見境なく取ってしまう。
挙句に、ザトウ・クジラの群れは入り江に寄り付かなくなってしまうのである。
・母と共に、入江を守ろうとするアビー。開発業者達の水中銃から”ブルーバック”を守ろうとして、入江から出ない”ブルーバック”を守るために、殴りつけてしまう。
そして、アビー自身も神秘の世界に魅了され、海洋学者を目指すために、ロバーズ・ヘッドを守るために、家を離れない母と別れて暮らす様になるのである。
・だが、母が脳梗塞で倒れた時に、アビーは故郷の海に戻って来る。そこは、開発業者からアビーと母ドラが守ったために、昔のままであった。
アビーは、久しぶりに故郷の海へ潜り、ナント”ブルーバック”と久しぶりに再会するのである。
”ブルーバック”はアビーを見ても逃げずに、悠々と泳いでいるのである。
そして、ザトウ・クジラの群れも戻り、アビーと母ドラはそのジャンプを静に見ているのである。そして、母は、いつの間にか静に言葉を発するのである。
<今作は、故郷の海を守る母娘の長きに亙る物語である。
劇中のキャンプファイヤーのシーンと、ラストに流れるオーストラリアの人気ロックバンドで有った、”Crowded House"の名曲”Don't Dream It's Over"の歌詞も、作品内容にピタリと合っているセンスある作品でもある。>