「一刻も早い復興を祈ります」コンクリート・ユートピア ジョンスペさんの映画レビュー(感想・評価)
一刻も早い復興を祈ります
予告からはただの韓国製ディザスターパニックものだろうとさほど期待せず鑑賞。正直、この2024年の年明けに本邦での公開はタイミング悪すぎとしか言いようがないのだが、作品自体は予想していなかった味わい深さがあってかなりおもしろかった。
冒頭からどんな大災害かを映像でしか見せず一切言葉で説明しない潔さ。展開は序盤はコメディ風味を効かせつつ、ヘイトや移民排除、全体主義へとつながる群集心理の恐ろしさを軸に、次第にディストピア感を増していく。集団を仕切るマッチョな軍人とヘタレだけど心優しい文化系、アパートと家族のためというお題目など、福田村事件ともろにダブる。碁石にトランシーバーにゴキブリと小ネタ仕込みもうまく、今や遠藤憲一似のおっさんと化したイ・ビョンホンの狂気っぷりに、ラストも妻の「普通の人たちでした」の一言がめっちゃ重く、観ごたえがあった。
国土を他国に蹂躙され続けた歴史のせいか、新感染といい白頭山大噴火といい韓国には母国をめちゃくちゃにしたい願望があるのだろうか。 あと、はちどりの女子中学生パク・フジがこんなに成長していたとは。人ん家の子はすぐに大きくなるよなあ…。
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