劇場公開日 2024年1月5日

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「普通の人がロールを持ったら」コンクリート・ユートピア アモルフィさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0普通の人がロールを持ったら

2024年1月15日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

原始国家の成り立ちをシミュレートしながらも、細かなルールをつくることで生まれてくる対立と矛盾により話が進んでいく。
韓国ドラマは時々、文化の違いからか理解できない冗談とか比喩がでてくるが今作は一般論だけでだいたい理解できたと思う。

主人公の青年は助けを求めてきた親子を見殺すこともできたのにドアを開けてしまう。そこまでのセリフなどのキャラづけから違和感があったものの実は人助けするほう、奥さんとも似たような思想でありながら立場の違いによりすれ違いそうになるなど、いかにも普通の人らしい迷い葛藤がある。
普通の人代表の主人公以外の普通の人たちも役割を与えられたり与えられなかったりするだけで行動原理が変わっていき、システムにおける役割から人格が形成されていくという成り立ちで、大統領になった途端に大統領の顔になるとか、寧ろ思想より役割のほうが重要という、どちらかといえば息苦しい社会の特徴が表れているのかと思う。

ある程度知識と目先の目標のあるなかでの国家形成でどうしても排他的な純血主義みたいになっていってしまうのがなかなか説得力がある。
しかしながら堅苦し過ぎるルールをつくると当然ながら自分の首を絞める結果に・・・

ヒロインの「普通です」が、まさにその通りなのだが・・・

アモルフィ