「期待してなかったんだけど…」コンクリート・ユートピア ぱんちょさんの映画レビュー(感想・評価)
期待してなかったんだけど…
正直さほど期待してなかったんだけど、傑作でした。
冒頭からいきなり天変地異は既に終わっちゃってて、これは災害パニックものじゃないよ、とのメッセージ。
以降、少しずつ過去を紐解きながら、差別や抑圧・特権意識がどう生まれるのかを丁寧に…
その寓意が素晴らしいし、実は現在の移民問題からガザ、関東大震災時の朝鮮人らの虐殺、南京からホロコースト、もっといえば元寇の神風意識まですべてに通じる話…
日本人が特別、と考えたがる阿呆が多いが、それこそが阿呆の証明、ってことがよく分かる…
しかしイ・ビョンホンは素晴らしい。あのキャラクターの背景や祭り上げられてどういう意識の変化があったのかを台詞でなく演技で魅せる!パク・ソジュンはそうした「リーダー」に従って非人道的なことに簡単に踏み込む市民がどういうものかをリアリティをもって描き出す…
愛の不時着などなどに続きまたしても「婦人部長」のキム・ソニョンさんも良かったし、なんとなく井上真央似のパク・ボヨンさんも良かった。
まして特に良かったのがラスト。なんか綺麗な部屋だな、からの… そういうことをする人々はみんな「普通の」人々なんですよ、とこれでもかと…
映画終わってテレビを観たら「能登震災」のニュース。どう考えてもわが国は「あのマンション」の方だな、と…
それも哀しい…
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