「得点者はロッシ 、タルデッリ 、アルトベッリ」シチリア・サマー ひろちゃんのカレシさんの映画レビュー(感想・評価)
得点者はロッシ 、タルデッリ 、アルトベッリ
扱っているテーマから『怪物』や『CLOSE』を思い出してしまうのだが、カトリック圏の保守的な地方が舞台であるだけに主人公達に向ける「普通の」人々の嫌悪感が最も露骨だ。
貧しさ故に身を寄せ合わなければならない閉鎖社会ではその結束が容易に排他性に結びつき、排他的行動によって団結を強める。こういう悪循環は教育現場でのある種の問題と通底するのではないか。
問題は、迫害される理由が同性愛である事ではなく、迫害する理由が弱者虐めの邪心である事でもなく、いわば無知に基づくある種の善意みたいなもの(コミュニティを守りたい!という意思)が彼らを殺したのではないか?という事だ。
理解者がちゃんといるよ、と見せかけておいてのあのエンディングは、母の愛も神様も助けにならない、救いのなさ、というイタリア映画のお家芸全開。
コメントする
talismanさんのコメント
2023年11月25日
共感いたしました。ドイツはナチスの時代、男性同性愛者は強制収容所に送られました。男性同性愛者は戦後も続けて罪人扱いなので収容所から出てそのまま今度は刑務所送りでした(ドイツ映画「大いなる自由」で知りました)。本当に仰るように、罪になる、罰の対象になる、あるいはこの映画のように(家族などから)殺される、ということは防がなくては!という危機感ですね、偏見や差別はあっても。日本ではマイノリティの人達の自殺が多いことにもっと目を向けたら、と思います。コメント、本当にありがとうございます!