「法的にはヒーローになり得ない」映画 マイホームヒーロー グレシャムの法則さんの映画レビュー(感想・評価)
法的にはヒーローになり得ない
【設問】
この映画から読み取れる論点について、自由にテーマを設定し、簡潔に述べよ。
【解答】
テーマ「社会の表と裏」
暴力の定義を『殴る蹴る殺すも含め、何かしらの方法で、他人を強制的に従わせること』と広く解釈すれば、暴力の行使を法的に認められているのは国家だけである。
逮捕、拘束、死刑…どれも国家だけの特権であり、国家以外の個人・団体・法人が行えば犯罪となる。
何ものかが国家にしか認められていないことを行っている以上、それは犯罪であり、それはこの世の中からは裏社会は絶対無くならないということでもある。
表(国家)があるなら必ず裏がセットで存在する。
他人のお金を取るのも国家なら赦されるが(税金)、国家以外の者が行なえば(上納金とかカツアゲとか)、犯罪。
だから、家族のためだろうが、なんらかの大義があろうが、国家にしか認められていない暴力行為はすべて犯罪行為として裁かれることになる。
どんなに無能そうな政府であっても法治国家である限り、私的な(勘違いや逆恨みの場合も含めて)暴力行為が認められていないことで、表の社会に生きている限り、安心安全がかなりの程度、保たれることになる。
齋藤飛鳥演じる警察官が「どんな犯罪者も許さない」というのは、正義感とか倫理的な観点からではなく、国家に仕える公僕であるという観点から読み解けば、法治国家として至極当たり前のことを宣言していることになる。
国家に裁かれない犯罪を行なうためには、裏社会で表にバレないように行なうしかないが、裏社会では安心安全がほとんど担保されないことを覚悟する必要がある。
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