「eスポーツが受け入れられている世界線が虚構でなくなっていることの方が嬉しい」PLAY! 勝つとか負けるとかは、どーでもよくて Dr.Hawkさんの映画レビュー(感想・評価)
eスポーツが受け入れられている世界線が虚構でなくなっていることの方が嬉しい
2024.3.12 TOHOシネマズ二条
2024年の日本映画(122分、G)
実際にあった出来事をベースにした、eスポーツの大会に参加した高校生たちを描いた青春群像劇
監督は古厩智之
脚本は櫻井剛
物語の舞台は、徳島県阿南市
うどん屋であアルバイトしながら高専の情報科に通っている郡司翔太(奥平大兼)は、暴力的な父・康雄(斎藤陽一郎)と弟たち(西間木冠&味元燿大)、母・詩織(山田キヌヲ)とともに暮らしていた
母は家事を一切せずに、それで父はいつもブチ切れていて、家庭は荒れ放題になっていた
そんな彼が通う高校の機械科には、怪我でバスケ部を退部した田中達郎(鈴鹿央士)がいて、彼はオンラインゲームの「ロケットリーグ」にハマっていて、全国でも上位に入る実力を持っていた
ある日、ゲームで負けた達郎がチャットを覗いてみると、そこには「eスポーツの全国大会の開催決定!」の記事リンクがあり、その対象ゲームが「ロケットリーグ」だった
参加条件は「3人で1チーム」ということで、達郎はビラを作って、学校中に貼りまくった
それを見ていた教師の木村(三浦誠己)は「無許可の掲示物はダメだ」と剥がしてしまう
物語は、剥がされなかったチラシを翔太が見つけ、その大会に参加する決意を固めるところから動き出す
達郎はクラスメイトの小西亘(小倉史也)を巻き込んでいて、これで参加条件を満たすことになった
3人は練習を重ねるものの、亘は人数合わせでやる気がなく、達郎と翔太でチームを引っ張っていくことになる
それでも、全国の壁は高くて、と言うような感じで展開していく
物語は実際にあった出来事をベースにしていて、実在するゲームが登場している
自分の力だけで勝てると思っている達郎、夢中になれるものができて喜ぶ翔太、興味はV Tuberだけという亘がチームを組むことになるので、必然的にことがうまくは運ばない
それでも少しずつ形になりながら、その挑戦を応援する家族ができて、彼らはチームへと成長していくのである
わかりやすい青春スポ根もので、その題材がeスポーツというところが今ドキで、それに反発がないところも今風な感じになっている
一昔前だと「ゲームなんかしおって!」と怒る父がコードを抜くなどのような過剰な演出が入ったり、生徒が噂を聞きつけてあれこれ言うなんてこともあったと思う
それがなくなっているだけでも、かなり認知度が上がり、一般的なものになったのだなあと感じた
いずれにせよ、ゲームをしていなくても楽しめると思うし、ゲームの告知映画になっている側面もあるだろう
3人が結束していく流れもお約束的なところがあって、それでいて漫画のような逆転劇が起こらないところもリアルなのだと思う
eスポーツだと背景関係なく参加できると言う社会的なメッセージもあったのだが、彼らの対戦シーンがあっても良かったのかな、と感じた