「道徳の時間」エクソシスト 信じる者 U-3153さんの映画レビュー(感想・評価)
道徳の時間
ホラーエンタメだけじゃない一面が大きかったような気がしてる。反面教師かなとも思う。
正統な続編という位置づけらしいのだけど、前作はこんなに宗教色が強かったかなぁと首を傾げる。当時は小学生とかだったから、そこまで考えが及ばなかったのかしら。
作品としてはよく出来てると思う。
が…なんか逆説的に信仰の必要性を説かれたような気もしてる。そのくらい真に迫ってたって事なのだけれど。所々、ドキュメント風なアングルもあり…コレってフィクションだったよなと不意に考える。
たった1カットだけど、儀式の執行を訴える牧師を見据える禿げた眼鏡の司教さんとかすっげえアクセントになってた。
アクセントと言えば、この作品の編集はなかなかに趣味が悪い。
1カット目、飛び込んで来るのは犬が吠える声だ。あの声に不快感や恐怖を抱かぬ人は居ないだろうと思う。そんな身近な恐怖からこの作品は始まる。
中盤くらいまではシーンの冒頭に、そんなSEが入ってる事が多くて、いちいちビクついては「チッ」って舌打ちをしてしまう。
ホラー映画なので、そんな手法を使ってもいいのだけれど「必死かよ…」と若干ひく。
なのだが、コレも悪魔が身近に潜み、予告なく不意打ちで現れる事の暗喩ならば、まぁ、悪くはないのかもしれない。
とはいえ、徐々に濃くなっていく違和感は楽しかったし、手間をかけた編集もいい感じだった。
物語的には、前述した宗教色なんてものを嗅ぎ取っちゃったから、キリスト教の布教PVか道徳の時間に見せられる教材みたいに思えてしまい怖がれなかった。コレはおそらく間違った見方だと思うし、残念である。
いつも思うけど子役がもう抜群で…何を憑依させたんだと拍手喝采だ。
物語の落とし所も、教典のどのエピソードから引っ張ってきたんだろうと思うくらい、このテーマに即してた。
「お前を選ぶ」
悪魔から2択を迫られ、どちらかを選ばねばどちらかが死ぬと言われる。…実に巧妙な問いかけだ。
死にたくないと叫ぶ我が子を助けたい一心で、命の選択をする。それは他者を殺害するのと同等の行為で、利己的な人の一面が浮き彫りになる。
悪魔に唆され、その甘言に乗っかってしまったものには不幸が訪れ、それを拒んだ者は悪魔に何も奪われはしない。
なんとシンプルな構図であろうか。
特殊メイクやCGなどは前作とは比較にならないほど高性能ではあるものの、逆に生っぽさが無くなるというジレンマにぶち当たってる感じだ。
結局、事なきを得るのは神を信じず悪魔にも靡かなかった父親ってオチも言い得て妙で…。
人が捏造したであろう神に縋る事もなく、悪魔の誘惑にも耳を貸さず、自分の信念を貫いた者にこそ神の祝福は与えられるみたいな…看護師の叔母さんがわかりやすく説明してくれるのだけれども。
とは言え、人は罪深い生き物でなので、日々反省し、明日はより良いものである事を願いながら生きていくのであろうなぁー。