「泣きの演技が秀逸」52ヘルツのクジラたち みゅうさんの映画レビュー(感想・評価)
泣きの演技が秀逸
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原作も未読、予備知識なしで鑑賞。
現代社会の問題が山積みの内容でした。
虐待、DV、福祉利用への煩雑さ、LGBT。
個人的には志尊淳演じるアンさんが、
体は男なのに心は女なのかと思っていたらその逆で、少し頭が混乱しました。
でもそんなことより、アンさんの終わり方が悲しくてやるせなかった…
母親が一見アンさんに寄り添うようで、実は本人の心に響いていないところにリアルさがありました。
「もう大丈夫だから、一緒に暮らそう」と言われても「知ってる人は誰もいない場所で」なら、根っこではアンさんのことを恥ずかしい、隠したいという気持ちが伝わってしまう…
亡くなってから気づいても遅いのです。
この映画で一番最初に涙腺が緩んだ場面は
いっちゃんの名前が「愛」だったところ。
「愛」という字の持つパワーを改めて感じ、
「愛」だったんだ、愛情の「愛」なのにどうしてこうなった?と涙がこぼれました。
あと印象的だったのは
倍賞美津子さんの存在感と
「子どもはペットじゃない」のセリフ。
わかってはいるけど、劇場で聞くととても重みがあります。わずかな登場シーンでも印象に残るのはさすがです。
杉咲花ちゃんの泣きの演技が秀逸です。
内容的に泣けた部分ももちろん多かったのですが
花ちゃんの泣きの演技に泣けた部分もありました。
やはり虐待されている人や辛い環境下にいる人でも、一人でも救ってくれる人がいればと思わされる内容です。現実でも、アンさん→キナコ→いっちゃんのような「魂の番」の良い連鎖があってほしいものです。
世界中にいる52ヘルツのくじらたちが救われますように…と願ってやまないです。
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