「単体のアクションとしてはイマイチ、最終章としては良いまとめ方」イコライザー THE FINAL かなかなさんの映画レビュー(感想・評価)
単体のアクションとしてはイマイチ、最終章としては良いまとめ方
旧友スーザンの「許可」を得て悪人の誅殺を再開する第一作、スーザンを殺したかつての同僚に復讐する第二作、そして今作ではスーザンを失った後、自身の善悪の基準に悩み、穏やかな暮らしへと戻ろうとするマッコールの姿が描き出される。
○良かったところ
印象的だったのは、マッコールがブドウ農園からの帰り際、見逃した子供に後ろから撃たれるシーン。おそらく、マッコールは自身を、子供に撃たれるような悪い人間ではない、と考えていたのではあるまいか(一方で、農園での殺陣シーンは冷酷そのもので、優しさや温かさを感じることはできない)。それが、後ろからズドン、子供に銃を向ける自身の姿を顧みて、「自分は悪人なのでは?」との思いから、自身の頭に銃をつきつけたのだろう。
町医者エンゾとの会話で「いい人間か悪い人間か」という問いかけに「分からない」と答えるマッコール。この映画のテーマだと思った。
そんなマッコールが最後にマフィアとの戦いを終え、アルロモンテの人々の中に溶け込んでいくシーン。第一作から通しで見たこともあり、殺し屋マッコールの終わりを見たようで、とても感動した。
○イマイチなところ
上記のテーマがあることは感じられるが、それにしたって殺陣シーンが少ない!作中を通して約3回。第一作、第二作と比較して、敵との対決感が少なく、マッコールという殺戮マシーンに静かに消されていく感じ。ラストシーンも第一作のラスト、モスクワのプーシキン邸のシーンを引き伸ばしたような感じで、あまり殺陣シーンで盛り上がりを感じなかった。
加えて、キャラクター同士の関係性が良く見えてこなかった。それこそ、第一作のラルフィや第二作のマイルズのポジションにあたるのは警官のジオかCIA捜査官のダコタファニング(作中名を忘れた)かと思われるが、ジオは作中で何回も痛い目にあわされているのに、マッコールと会話するシーンは少ないし、CIA捜査官もラストシーンを前にして爆発に巻き込まれ、重体。マッコールが何を守ろうとしているのかが良く伝わってこなかった。
単体のアクション映画としては少し物足りなさもあるが、マッコールの終着点、という形では綺麗にまとまった映画だと思う。第三作単体をどっかり見る、というより、第一作や第二作とあわせて流れで見るのがちょうど良いのかもしれない。