劇場公開日 2023年10月6日

「悪役をただひたすら成敗する、ひたすらエンタメに特化した映画」イコライザー THE FINAL たまに映画館で見る人さんの映画レビュー(感想・評価)

4.5悪役をただひたすら成敗する、ひたすらエンタメに特化した映画

2023年10月29日
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中村主水が秀と勇次役の腕前を併せ持ち、イタリアの漁村に滞在したらどうなるか…?あるいは服部半蔵なら…?

正体を隠し市井に紛れ、民草を脅かさんとする悪を討伐する…この心躍る設定は、水戸黄門から暴れん坊将軍、必殺仕事人、影の軍団と、これまで散々に踏襲されてきた鉄板ストーリーであり、観客のカタルシスを満足させるに魅力的なコンセプトでしょう。今風に言えば、例えば「学生でありながら凄腕の元暗殺者の俺、学校に来たテロリストたちを一網打尽にする!」であり、こちらの方が刺さる方は多いかもしれません。

そんな王道とも言えるストーリーが、つまらないはずがありません(私見)!

日本では、もはや伝統芸とも言えるこの作風は、意外にも世界中で人気があります(こちらも私見)。アメリカでは例えばスティーブン・セガールが演じれば沈黙シリーズ、キアヌ・リーブスならジョン・ウィック、そしてデンゼル・ワシントンならこのイコライザーになります。

従って構成もよく似ています。前半は善良なる町人との交流を、できるだけ丁寧に身近に生活感が感じられるぐらいまでに描き、中盤にはその人々を蹂躙するヴィランたちを、特に残虐性だけを強調して描き、そして終盤は主人公による怒涛の反撃を、できるだけ主人公が一方的に攻撃を加えるシーンを多めに描く。

この場合、前半の町人との交流がどれだけ印象的に描けるかが鍵になるかと思います。これについてはイタリアのアマルフィが持つ海と岸壁が織りなす風景が際立たせることに成功していると思います。なんたって見た後、フツーに「アマルフィ行ってみたい…」になりましたから。

更にヴィランは残虐性だけを強調し、例えば実は病弱な父がとか愛妻家でとかそういった情報を入れないことで、ただ討伐されればよいだけの存在になります。つまり、細けえこたぁ良いんだよ!です。

ゴア表現はまぁまぁ多めです。といってもそれほど残虐なシーンはなく、黒澤映画を含む日本の時代劇を見てる人なら、見慣れた表現が多いと思うのではないでしょうか。

不満点は特にないのですが、全編にキリスト教的な教えが散りばめられているのですが、散りばめられすぎてやや異臭すらも感じた、ぐらいでしょうか…こちらは気にならない方は気にならないかと思います。

主人公の影の軍団的活躍が好きなら間違いなくオススメの映画です。

たまに映画館で見る人