「悪党ども、死ぬ準備は出来たか。ならば9秒で逝かせてやる。」イコライザー THE FINAL レントさんの映画レビュー(感想・評価)
悪党ども、死ぬ準備は出来たか。ならば9秒で逝かせてやる。
長年、CIAの工作員として多くの命を殺めてきたロバート・マッコール。愛する妻を失った彼はこの世の不均衡をただすためだけに残りの人生を捧げる。自分が触れ合った人が苦難に強いられてるならばどこへでも出向いてそれを解決する。
時には少女を食い物にするロシアンマフィアを壊滅させ、時には娘をさらった元夫であるマフィアを追ってトルコまで奪い返しに行く、あるいは生き別れになった家族を探して再会させる。
今回彼が遥々出向いたのはイタリアシチリア島。ハッキングで奪われた年金を取り戻すだけだったはずがそこで巨大な陰謀が明らかになってゆく。
麻薬密輸組織を壊滅させたマッコールだったが、百戦錬磨の彼も子供の無垢な殺意まではかぎとることはできなかった。
致命傷を負った彼はこれで終わりだとこめかみにあてた銃の引き金を引く、しかし不運にも弾切れ。この時彼はまだ死すべき時ではなかったのだ。
世界の均衡を保つために戦い続けてきたマッコール、しかし凶悪な相手と戦い続ける彼の心もまた均衡を失いかけていた。地元の名士である医師に命を救われた彼はいるべき場所を見いだした。この静かなシチリアの村で彼は心を癒すためにスントの腕時計を外す、戦いの日々から逃れるために。
時間が止まったかのような村での穏やかな日々、暖かい人々との交流で彼の心は癒されていく。しかしこんな美しい村にも悪は病原体のように巣くっていた。
戦いから解放されたひと時の平和だったが、彼は再び時計を手にする。病原体を駆逐するために。そして時は再び動き出す。
悪党どもはワクチンに駆逐される病原菌のように滅んでゆく。世界の均衡はまたも彼によって保たれた。
彼は今も世界のどこか悪がはびこるところで人々のために戦っているのだろう。もし我々の周りに悪がはびこり人々が窮地に立たされた時、その危機が人知れず収まったのならばそれは彼のおかげなのかもしれない。その時は彼に感謝しようではないか、ロバート・マッコールに。
大人気シリーズ三作目にしてファイナル、そんなこと言わずにシリーズを続けてほしい。リーアム・ニーソンもがんばってることだし。
このシリーズの楽しみは毎回主人公マッコールがつく職業。今回はどんな職業か興味津々だったが、それはなくて肩透かし。リフトに乗せたというセリフはあったけど、何の職業かはわからずじまい。
それだけではなくシリーズ通してのパターンもなかった。悪党を成敗するシュミレーションを事前に網膜に焼き付けてから、事を運ぶという。今回はそれも見せてくれない。これは印籠を見せない水戸黄門と一緒だよ、星一つ評価を下げざるを得ない。
また一作目はホームセンターでの戦い、二作目はハリケーンが襲う町での西部劇を思わせる戦いと毎回戦いの場が工夫を凝らされていたのに今回はそれもなし、アクションも特に目を見張るものがなく残虐さだけが目立った。特に今回はマッコールがただの残虐な殺人鬼に見えた。今までの彼は殺しをしながらもどこか悲しみを漂わせていた感じだったのに。そんな自分が嫌になってスントを外したのかもしれないけど。
またシチリアでの大規模ロケにもかかわらず人間ドラマも少々薄目だし、悪党のレベルもスケールダウン。
そして一番残念だったのは音楽、このシリーズの看板ともいえるあのテーマ曲が全くかからなかった。
ただ、コリンズがスーザンの娘だったり、シチリアにまで来たのが相変わらずのおせっかいが発端だったのが最後の最後でわかるあたりはシリーズをちゃんと踏襲していてよかった。
ちなみにダコタ・ファニングは最後まで気づかなかった、久しぶりの共演と聞いていたはずなのにすっかり忘れてた。
あと、予告ではやたらと9秒とか言ってたけど最後は6分でしたね。最悪の悪党には長い時間苦しませようということかな。
コメントありがとうございます。
1はもう10年前の作品ですが、当時はデンゼルも若かったのでしょうね。
基本的にシリーズ物の限度が三話なのでしょうか、それ以上続くとグダグダになってしまうのでしょうね。
今晩は
今作、日本では”THE FINAL””と謳われていますが、原題は”イコライザー3”ですよね。
アクション少なめで良いので、アメリカ版「必殺仕事人」を作って欲しいなあ、と思っています。では。