「事実と真実」13デイズ 映画イノッチさんの映画レビュー(感想・評価)
事実と真実
公開しても大丈夫な範囲での、しかも一方的なアメリカ側の映画であることを踏まえて観る必要がある
この映画が事実を元にしていたとしても、全てが真実とは限らない
これはドキュメンタリーではないのだ
このキューバ危機のあと、米国とソ連との間でホットラインが開設されたことからも、やはり直接対話は当事者にとっては必須アイテムだという証明でもある
相手に対する不信感、仲間の裏切り、権力闘争、誤認識、そして戦争で利益を追求する奴等が平和建設の足枷になるのは間違いない
世界一巨大な権力を持つと言われるアメリカ大統領でさえ、思い通りにことが進められないというジレンマにビックリするとともに安心感も同時に湧き起こる
例え聖人のような人が大統領になったとしても、権力は腐敗するのが歴史の常
もし全権力を握る人(大統領等)に、万が一でも悪しき輩が就いたとしたら、あるいは権力の魔性にトップが取り憑かれたとしたら世界は一瞬で終わってしまうからだ
見逃してはいけないのは、米国とソ連の間で、自国=キューバの運命が勝手に弄ばれていた事実だ
映画にはそこが全く触れられていない
カストロ議長が憤慨するのも納得する
アメリカを攻撃するミサイルがソ連から運ばれ使われるから、何も悪いことはしていないキューバがアメリカから攻撃される
アメリカ軍の基地が日本にある限り、日本もキューバと同じく、自国の運命は、アメリカに委ねられているのだ
この矛盾を映画を観た人は見抜いてほしい
大統領特別補佐官をはじめ、大統領(トップ)として信頼できる有能な人物が周りにいるということは、会社や国や世界を動かす人にとっては幸せなことである
と同時に、そのような人物は絶対になくてはならない存在だと改めて認識した
映画としては、臨場感溢れるシーンから緊張感がリアルに伝わってくるとても素晴らしい作品である
ケビン・コスナーもカッコいい役を十分に演じれていたと思うし、古狸の活躍もスカッとする
ただ偵察機パイロットの死だけは悔やまれて仕方ない