13デイズ : インタビュー
監督ロジャー・ドナルドソン
脚本デビッド・セルフ インタビュー
編集部
キューバ危機当時(62年10月)、監督のロジャー・ドナルドソンは16歳だったという。
「今回の脚本は、当時の自分の反応や気持ちを実際に思い起こさせるものだった。それと同様に、観客が作品中の3人と同じ気持ちを感じることができる。そういう描き方がされている。素晴らしい脚本を書いてくれたデビッド・セルフの貢献は大きい」
この作品について回る評価のうち、圧倒的なのは「脚本が素晴らしい」というものである。今ハリウッドでもっともホットな脚本家デビッド・セルフは、この複雑なプロットを持つ脚本をたったひとりで書き上げたという。しかし彼は、キューバ危機を実際に体験した世代ではない。
「僕がこの脚本を書いたのは27歳の時だ。その過程で、『こんな凄いことがあったのか』と思い、とても勉強になった。今の若い世代には、知的な映画を見たい人もたくさんいるはずなのに、多くの映画はエンターテインメント性ばかりが重視され、知的な映画は数えるほどしかない」
この点について、ドナルドソン監督も全く同意見を主張している。
「私の15歳の娘にこの映画を見せたらびっくりしていたよ。彼女自身もいい勉強になったと思う。ハリウッドで映画を作っていて、いろんな世代の人に見て欲しいと思う映画はそんなにない。これは、そんな数少ない映画のひとつだよ」
上映時間は2時間25分。決して短い映画ではないが、「JFK」ほどの長尺でもない。見るものの頭脳にフル回転を強いる、濃密な145分間である。だが、関連資料を読む限り、やむを得ず脚本から削除しなければならない部分もあったのではないか。
「もともと決まった時間の枠を想定して書いているので、無理に削った部分はない。舞台は主にホワイトハウスの中に限っているのだが、意図的にソ連とキューバの話は入れなかった。アメリカの首脳には、『ソ連とキューバが何を考えているか分からない』というサスペンス的効果を狙ったんだ」
ドナルドソン監督も、完成版の上映時間について次のように語っている。
「冒頭のシーンなどをカットして、6分短いバージョンも作ってみた。しかしそのバージョンでは、映画の大切なポイントがスポイルされていたようだった。スタッフ皆で話し合った結果、短縮バージョンは却下された」
監督は、87年の「追いつめられて」以来、ケビン・コスナーとは2度目の顔合わせとなる。彼は、コスナーとこの映画の関わりについて、また、彼が演じるケネス・オドネルという人物について、こう語ってくれた。
「ケビンはこの映画をとてもやりたがっていて、『僕の名前がクレジットされることによって、製作資金が集まりやすくなるから』とプロデューサーも引き受けてくれた。彼が演じたケネス・オドネルは、一般にはほとんど名前が知られていないが、キューバ危機の後に出版されたウォール・ストリート・ジャーナルで、『ホワイトハウスで2番目に力を持った人物』として紹介されたほどの人物なんだ。それだけケネディ一家に信用されていた。まあ、アイルランド系のマフィアみたいなものだね」