劇場公開日 2019年11月29日 PROMOTION

HUMAN LOST 人間失格 : 特集

2019年11月25日更新

太宰治の「人間失格」が“アメコミヒーロー映画”として生まれ変わった!?
アレンジが大胆すぎる野心作 「進撃の巨人」「ブレラン」要素もプラス!?
映画.com編集部が猛プッシュする、11月の“見るべきアニメ映画”

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太宰治による名著「人間失格」を、近未来を舞台にアニメーション映画化した「HUMAN LOST 人間失格」が、11月29日に公開される。本編を一足先に鑑賞したが、上映中、終始驚きっぱなしだった。なぜか。なんと“アメコミヒーロー映画”を想起させる内容だったからだ。

マーベルやDC映画を彷彿させるキャラクターに加え、日本のアニメ・漫画の想像力を総動員。今回の特集は、この大胆すぎる野心作の基本情報をおさらいするとともに、編集部によるレビューや著名人のコメントを引き合いに出し、魅力を浮き彫りにしていく。この作品、11月の終わりに“見るべきアニメ映画”として、猛烈に推せる!


【物語解説】 舞台は平均寿命が120歳になった、近未来の日本
堕落した男は“アプリカント”と化し、死と生と未来と世界に挑む――

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「踊る大捜査線」「PSYCHO-PASS サイコパス」の本広克行がスーパーバイザーを務め、「アフロサムライ」の木崎文智が監督、「マルドゥック・スクランブル」の冲方丁が脚本を手掛けた。アニメ界をけん引するトップクリエイターが結集した、非常に豪華な陣容だ。

[舞台]昭和111年、無病長寿大国・日本

超高度な医療革命が起こり、全国民は病苦とケガを克服した。人々は体内に注入されたナノマシンに生命を維持され、平均限界寿命は120歳にまで延びた。超健康優良老人は“合格者”として政府に選出され、なかば神格化されている。

疲労も存在しないため、一般国民は1日19時間の労働を続けている。深夜3時、空気汚染から肺を守るガスマスクを装着した大量の会社員たちが、ゾンビのような足取りで出勤する風景が都市の日常だ。摩耗しきった人々が歯車を回すディストピアに、見る者はゾッとさせられるだろう。

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[脅威]“ヒューマン・ロスト”とは、何なのか

全国民は政府が敷く強固な監視体制のもとで生活し、ネットワークによって健康保障機関と繋がっている。例えば心臓が止まったときでさえ、電話を一本かければ、オペレーターが体内のナノマシンを遠隔操作し、ほんの数秒で蘇生させたりする。

しかしながら、稀にネットワークから外れてしまう人間がいる。彼らはどうなるか。不安定になったナノマシンが暴走し、苦しみの末に異形の怪物“ロスト体”へと変態してしまうのだ。ヒューマン・ロストと呼ばれるこの現象が、主人公たちを窮地に追い込んでいく。

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[主人公]大庭葉藏、薬と酒と女に溺れる男

死のリスクが低減する一方、若者たちは死のスリルを求めた。主人公・大庭葉藏(CV:宮野真守)は、薬と酒と女で死にかけてみては蘇生されて死にきれず、思い出したかのように絵を描き、日々を空費している。

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あるとき、「人間が人間であるには、死が必要だ」と言う友人の竹一(CV:福山潤)に流されるまま、暴走集団の闘争に参加する。その果てに葉藏はヒューマン・ロストし、死の淵をさまようが、生命機能が飛躍的に進化した“アプリカント”として覚醒。そして社会システムの転覆をはかる堀木正雄(CV:櫻井孝宏)との対峙など、人類の未来を賭した戦いが繰り広げられる。


【予告編】恥の多い生涯を送ってきました―― 太宰治の名著を“衝撃のアニメ化”

脳裏をよぎるはMCU、「進撃の巨人」「AKIRA」「ブレードランナー」…
映画.com編集者は、「HUMAN LOST」を“こう見た”!

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実際に鑑賞し、「猛プッシュしたい!」と鼻息を荒くする3人の映画.com編集部員のレビューをお届けしよう。過去作へのオマージュなどを軸に、本作から得られる感情や興奮に言及していく。なお、あえて断言するが、鑑賞前に原案となった「人間失格」を予習しておく必要はない。未読の観客でも十分楽しめる、オリジナルアニメとして仕上がっているからだ。

[アメコミ好き男性編集者の感想は…]

まず印象的だったのは、葉藏がアプリカントとして覚醒する過程と、そのビジュアルです。死の直前で復活しスーパーパワーを発揮する、という状況がひたすらアツい。さらにビジュアルはゴーストライダーを想起させます。

はたと気づいたんですが、これ、“ヒーローもの”の手触りなんです。それもダークヒーローが、苦悩し心身を削りながら戦うタイプの。約70年前の名著をアメコミ的ヒーロー映画として生まれ変わらせる、という野心的な狙いに、思わず拍手したくなりました。

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[アニメ好き女性編集者の感想は…]

葉藏が“変身”する場面がたびたび登場するんですが、自分の体を傷つけるんです。「進撃の巨人」のエレンを思い出しましたね。それと暴走集団のバイクは「AKIRA」のようでしたし、ヒロイン・柊美子(花澤香菜)の運命は「新世紀エヴァンゲリオン」のようでもあります。

ほかにも「亜人」など、名作アニメや漫画を思わせる要素がたくさん。元ネタに考えを巡らせるだけでも楽しいです。声優陣も非常に豪華で、たまらない時間を提供してくれる作品でした。

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[洋画好き男性編集者の感想は…]

東京の街並みがスクリーンに映し出された瞬間、サイバー・パンクな光景に目を奪われました。雨後の筍のように林立する未来的なビル、サイケな電光掲示板。一方で徹底的に埃っぽい路地裏や、鬱屈と暮らす人々の対比……。

まるで「ブレードランナー」「マトリックス」、ひいては「攻殻機動隊」のようで、それらを初めて見たときの高揚感が胸に広がりましたし、脳がトリップしているような感覚も与えてくれました。洋画好きの映画ファンも、この作品はきっと楽しめるだろう。そんな思いで、試写室を後にしました。

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又吉直樹「本作を3回鑑賞…想像を大きく超え、映像や世界観に圧倒された」
クリス・ペプラー、弐瓶勉も称賛の声 異才たちは、この異彩をどう見たか?

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観客が長い年月をかけ固着させてきた観念や倫理観を、一撃で屠ってしまうほどのインパクトを内包した本作。各界で異彩を放つ“異才”たちは、この物語のどこに感応し、どう共鳴するのか。お笑い芸人で芥川賞作家の又吉直樹(ピース)、ラジオパーソナリティーのクリス・ペプラー、そして「シドニアの騎士」などの漫画家・弐瓶勉が、コメントを寄せてくれた。

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 「AKIRA」「GHOST IN THE SHELL」に次ぐ日本SFアニメの新たな金字塔。最先端テクノロジーが世界に類を見ない、日本ならではの国民性、社会性をどのように感化していくか、アイロニーを込めて描く最上級エンタテインメント。
――クリス・ペプラー(TV、ラジオパーソナリティー)
 「人間失格」から想像していたものとはあまりにもかけ離れていて、そこが気持ちいいです。
――弐瓶勉(漫画家)
 最初にタイトルだけを聞いた状態で作品を見た時は、想像していたスケールを大きく超えていたので大変驚きました。実は3回見ているのですが、最初は映像や世界観に圧倒されてしまい、それだけでも十分に見ごたえがありました。もともと原案の「人間失格」は繰り返し読んできたので、2回目を見た時は原案に通底するものがあると強く感じました。この作品は「人間失格」のテーマをただなぞっているわけではなく、新たな解釈を含み、展開することによって、刺激的な物語を構築しています。だからこそ鑑賞する側の自分も新しい気付きを持つことが出来たのだと思います。「HUMAN LOST 人間失格」の登場人物たちの関係性や視点を持つことで、原案の「人間失格」をまた新しい角度で楽しむことが出来ると思いました。
――又吉直樹(お笑い芸人)
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