コラム:田幸知有紗のハリウッドスター紳士録 - 第8回
2010年2月8日更新
第8回:“ランボー”の肉厚な手に包まれて……
鍛え上げられた体と独特の低音ボイス。ニューヨークの無法地帯で生まれ、出産時の医師のミスから言語障害を発症するなど数々の困難を乗り越え、アメリカを代表する肉体派ヒーローにまで上り詰めたシルベスター・スタローン。
私は、「ロッキー・ザ・ファイナル」(2006)、「ランボー/最後の戦場」(08)で来日した際に取材しました。写真は後者のものです。ジャパンプレミアには戦場をイメージした迷彩Tシャツとカーキ色のキャップで臨みました。
会場に着くと、場内も迷彩一色。よく見てみると迷彩柄の中にスタローンの似顔絵がたくさん描かれています。そして私の後方に鎮座する迷彩柄の大きなハマーで登場したスタローン。集まったファンは圧倒的に男性が多く、その姿が見えると涙ながらに名前を叫ぶ熱狂的なファンも大勢いました。
いつもは女性の歓声でいっぱいになるプレミアイベントですが、ここまで男性の熱心な歓声が広がるスターはほかに見たことがありません。それは「ロッキー」のときも同様で、彼の生き方や精神に共鳴し、長年応援している人々の情熱が強く伝わって来ました。
インタビューでは、握手をしたときに大きく肉厚な手にビックリ。指も長くて、私の手が片手に包み込まれてしまうくらい。前日の会見でムキムキな腕に浮き上がった血管を見ましたが、ジャケットの上からでも分かる太い腕の筋肉や胸板は、還暦を超えているとは思えない貫禄でした。
また、2日間とも若者に人気があるエドハーディーのTシャツを着こなす若々しい姿はとてもクール。しかし、そんな見た目とは裏腹に、話し方はとても穏やかで常に優しい笑顔を見せてくれて、ソフトな印象を受けました。
自ら脚本と監督を務める作品に主演を続けるスタローン。前作に納得できなかったことが、「ランボー/最後の戦場」につながったみたい。ちなみに演じるうえでは、アクションシーンが激しい「ランボー」の方が「ロッキー」よりも大変だとか。いずれにしても、年齢を考えるとあの過酷な撮影をこなすのは尋常ではないかも……。そして気になる元気の源は、体を鍛えることよりも普段の生活を充実させることだと教えてくれました。
ところで、「ロッキー」や「ランボー」シリーズにファイナルや最後というタイトルが入った作品は公開済みですが、実はまだ続くんです。インタビューでは、今後作りたい作品のイメージはできていると語っていましたが、まさかこれらのシリーズだったとは! 「ランボー」第5弾は2011年に公開予定で、「ロッキー」第7弾の企画も進んでいるようです。
スタローンは、まだシリーズに物足りなさを感じているのでしょうか? そのバイタリティに富んだ生き方は、多少なりとも見習わなければと思います。
さて、紳士度はここまでだと星3つなのですが……。「ランボー」の会見では、開始時間をかなり過ぎても登場せず、結局ほかの出演者だけでスタート。その後、スタローンの気持ちが乗ってきた段階で合流という出来事が。いくらスターでもこれにはがっかりしました。
ということで紳士度は☆☆。