コラム:田幸知有紗のハリウッドスター紳士録 - 第7回
2010年1月22日更新
第7回:ウィル・スミスとボイスパーカッションでデュエット
今回は、アメリカを代表する“ドル箱スター”と言われるウィル・スミスの登場です。アクションスターのイメージが強いですが、最近はシリアスな役どころでも私たちをひきつけてくれます。
ここ数年の間に何度かウィルを取材しました。ミュージシャンとしても有名なだけあって、ものすごく明るくノリも最高!
会見では、いつも面白いポーズをとったり、ひとつひとつの仕草や表情、発言で場を和ませてくれます。また、レッドカーペット取材の短いやり取りの中でも、自分から盛り上げてくれたり、フレンドリーに接してくれたりと、とにかく気配り上手で取材に協力的な方です。
これまでで特に印象的な思い出は、昨年の「7つの贈り物」で敢行した単独インタビュー。
取材部屋に入る前に、休憩中のウィルがいました。普段のインタビューだと、ここでは挨拶程度で話したりはしません。現場はピリピリとした雰囲気で、なんとなく話しづらいのです。
けれど、ウィルは気さくに「次は君? よろしく! お互い紫だね!」と話しかけてくれました。ウィルのセーターと私のスカートが紫色だったというわけなのですが、まさか話しかけてくれるとは思っていなかったので、私は頭が真っ白になってしまいました。
微妙な間ができたあと、「そうですね! 私、紫が大好きなんです!」と、おかしなテンションで答えてしまいました。それなのに、「僕も大好きな色だよ。じゃあ、後でね!」とどこまでも爽やか。たどたどしい私にテンポを合わせて会話してくれた優しさをじんわりと感じながら、いざインタビューへ。
ウィルの息子ジェイデン・スミスの話題になりました。ジェイデンは子役として活躍していて、「幸せのちから」「アイ・アム・レジェンド」では親子共演を果たして、高い評価を受けています。そして、この日のインタビューの数日前に「地球が静止する日」のPRで来日していたジェイデンにインタビューをしていたので、その時のエピソードを伝えると、とても喜んでくれて彼の演技を絶賛していました。
自分の子どもとか年齢ではなく、作品のパートナーとして息子を語るウィルを尊敬しました。また、ウィルにとって今までで最も特別な贈り物は、幼いころにおばあちゃんがたくさんの本を読んでくれたことだそう。本が好きになったのもおばあちゃんのおかげだし、それが俳優への道につながっているという素敵なエピソードも教えてくれました。
さらに、インタビューの最後にウィルのボイスパーカッションを間近で聞きたいとリクエストしてみると、「一緒にやろう!」とノリノリで引き受けてくれて、未経験の私はウィルのマネをしてみました。
しかし、ただうるさいだけに感じたので途中からは静かに、目の前の素晴らしいパフォーマンスを観賞させていただくことに。サービス精神が旺盛なウィルは、器用に音色を変えながら楽しませてくれました。ここまで盛り上がったインタビューは後にも先にもありません。
存在が周りを明るくする不思議なオーラを持っているウィル。キュッと引き締まった後ろ姿も格好いい、大らかでユーモアと愛にあふれる紳士でした。☆☆☆!