コラム:田幸知有紗のハリウッドスター紳士録 - 第5回
2009年12月25日更新
第5回:“最もセクシーな男”には振られっぱなしでトホホ
今回の紳士は2003年、2009年と2度にわたって米ピープル誌が行う恒例イベント“最もセクシーな男”に選ばれたジョニー・デップ。私は、今までに取材で4度お会いしました。
毎回、個性豊かなキャラクターを演じ分けている正真正銘のカメレオン俳優。作品ごとに私の想像をはるかに上回る姿に変貌して楽しませてくれるジョニーの新作を、私は常に心待ちにしています。
ところでジョニー自身、自らの出演作を見てどのような感想を持っているのか気になるところ。しかし自分の作品は見ないポリシーなのだとか。作り上げる過程には興味があるけれど、完成してしまうとその段階から興味がなくなってしまうそうなのです。
過去を振り返らずに前進を続けるというのはハイレベルなことで、自分に相当の自信がないとできませんよね。また、最大の敵は自らの中にあり、限界を考えてしまうことだともおっしゃっていました。それを公言するジョニーの姿は、私の目にとても大きく映りました。
そして、ジョニーといえば徹底したファンサービスで知られています。連載第1回で書いたトム・クルーズは、ファンとマスコミの両方に同等のサービスをしてくれるのですが、ジョニーの場合はファンが最優先なのは周知の事実です。
ジョニーのジャパンプレミア取材には、本当に多くの取材陣が集まりますが、ファンの方々が待機するレッドカーペットエリアでインタビューをすることは至難の業。いくら呼びかけてもファンサービスを続けたまま振り返ってもくれず、私は何度も振られ続けています……。
2008年の「スウィーニー・トッド/フリート街の悪魔の理髪師」の取材でも見事なほどの完敗ぶりに落胆。そこへティム・バートン監督が歩いてきたので、ジョニーの魅力について語ってもらうことにしました。
私は、バートン監督とジョニーがタッグを組む作品の独特な世界観が大好きだと伝えました。するとバートン監督は、ジョニーを絶賛。「彼との仕事は最高! また一緒に新作を日本へ持ってくるよ!」と約束してくれました。それから2年後……2人が再タッグを組んだ「アリス・イン・ワンダーランド」の公開が日本では2010年4月に決定しました。
ジョニーは先日、最新作「パブリック・エネミーズ」のPRで来日したばかりですが、半年後にバートン監督とのツーショット来日は叶うのでしょうか。その時には、レッドカーペット上でのインタビューという目標と願いを掲げて取り組んできます。
さて、来日するたびに私たち報道陣も、彼の魅力の虜になってしまいます。その色気は、私たちが一般的に経験しないような生き方をしてきた後にキャリアを積んだ、彼の内面からにじみ出てくるものなのではないでしょうか。そんな不思議な雰囲気を持ち、自分の生き方を貫き、子どもに優しい。ひかれるところを凝縮して持っている男性だと思います。
ということで、ジョニーの紳士度は☆☆☆。演技もルックスも文句ありません。今後もどんなキャラクターの役どころを選び、どのような新たな側面を見せてくれるのか期待しています。