コラム:LiLiCoのHappy eiga ダイニング - 第7回
2010年7月16日更新
第7回:小栗旬監督が小出恵介に譲る約束をした宝物とは!?
対談ゲスト:「シュアリー・サムデイ」小栗旬監督、小出恵介
TBS「王様のブランチ」の映画コメンテーターとして人気のLiLiCoが、旬の俳優・女優から映画に対する思い、プライベートな素顔に至るまでを多角的に展開する対談連載「LiLiCoのhappy eiga ダイニング」。第7回のゲストは、「シュアリー・サムデイ」で念願の監督デビューを果たした小栗旬、主演の小出恵介。5年越しの企画を実らせた小栗監督、俳優仲間として親交を深めてきた小出が、7月11日に行われたライブイベント「シュアリー・サムデイ・スーパー・サマー」を終え、興奮冷めやらぬ状態のまま同イベントでMCを務めたLiLiCoと相対した。
■僕の仲間はうだつの上がらないやつばかり(小栗)
LiLiCo(以下、リリコ):5年越しの企画、やっと公開が近づきましたね。学生時代の仲間への思いを映画に盛り込んだとのことですが、監督にとっての仲間って何でしょう?
小栗旬(以下、小栗):仲間……。何でしょうね、あんまり考えたことないですけど。メイキング映像を見てみて、いい仲間たちとつくった作品だったなあと思いましたね。暑苦しいかもしれないけど勝手にそう思っちゃいました。それと、裏切らない存在じゃないですかね。
リリコ:学生時代の仲間って、今も交流はあるんですか?
小栗:僕の高校の仲間も5人組で、本当にうだつの上がらないやつばっかりなんですよ。みんな、ろくなことをしていないんですけど(笑)。
リリコ:小出くんにとっての仲間はどうですか?
小出恵介(以下、小出):あまり考えたことないですけど、楽でいられることじゃないですか。ダメな部分を認め合うというか。
小栗:仲間って、ちょっとすごい言葉だよね。友だちってなると“こういう存在だよね”とか言えるけど、仲間って胸張って言うのって恥ずかしいですよね。
リリコ:確かにあんまり言わないですよね。親友っていうのと、また違いますよね。
小出:仲間のほうがいいですね。親友って堅苦しいよね。
小栗:やっぱり友だちっていうのが、一番言いやすいですよね。「オレたち親友だろ?」なんて言うやつ、あんまり信用できないな(笑)。
小出:親友の人数を数え始める人、たまにいますよね(笑)。
同作は、小栗監督が高校時代の仲間たちとの絆(きずな)をテーマに書き上げたプロットをベースに、「クローズZERO」シリーズの武藤将吾が脚本化。主人公の高校の同級生5人が、結成したバンドの発表の場として楽しみにしていた学園祭が中止になったことから、抗議のために狂言で爆破予告して立てこもった校舎を誤って本当に爆発させてしまう。責任をとって退学処分となった5人が、3年後に命まで狙われる事件に巻き込まれたことから、人生の逆転をかけて再び立ち上がる姿を描く青春群像劇だ。
リリコ:この作品を見られた松方弘樹さんが絶賛されているそうですね。私は大黒摩季さんと同じ会場で試写を見ていたんです。大黒さんは終わった瞬間に「すげえ!」って言って興奮しているし、私は私で放心状態。振り返ってみて、撮影中一番難しかったことって何ですか?
小栗:スタッフから、「監督は俳優に気を遣いすぎじゃないか?」と言われることがあったんです。僕としては気持ちよく演じてもらいたいし、楽しんで芝居をしてほしいので「何でそんなに俳優をせっつかなければいけないんだろう?」と思っていました。そういう点で俳優に対するときとスタッフに対するときと、僕のバランスが悪かったのかもしれません。ただ、僕としてはそれをやり続けるしかないじゃないですか。俳優たちに対して「オレはかかわり方を変えるつもりはない」っていう姿勢でいると、それが僕のつくる小栗組っていう現場の空気になると思うんですよ。途中で変えてしまうと信用問題にかかわってくるので、それだけは貫き通した感じがありました。理解してくれたかどうかは分かりませんが、スタッフたちも意見を言ってくれるようになってからは現場も回り始めた印象がありましたね。
■俳優の味方でいてくれた(小出)
リリコ:小出さんから見て、仲の良い小栗旬さんが監督をされたことについて、いかがでしたか?
小出:すごく頼もしかったですね。俳優の味方でいてくれたし、いい距離感を保ってくれた。いい意味で友だちだったということを生かせたと思うんですよね。それはお互いが意識して入ったからこそ、裏目に出なかったんじゃないですかね。とにかく僕らよりも大変だったと思うんですよ。それを全てのみ込んでやっている後姿がパワーになって、やりきれたかなって感じています。
リリコ:小栗さんは今回、出演もされているじゃないですか? 両立は大変だったんじゃないですか?
小栗:本当は出たくなかったんですよ。プロデューサーから「そういうワケにはいかないだろ。お前が出ることを期待して見に来てくれるファンもいるわけだから、そのフォローをしなければダメだ」って言われて。じゃあ、津田寛治さんに演じてもらった役をやろうと思っていたんですよ。そうしたら、妻夫木聡さんが警官Aをやってくれることになったので、自分のポジションとも合う後輩の警官Bという設定がいいのかなと。ただ、あれだけでもしんどかったです、本当に。
小出:撮影中は演じたくなってきたみたいで、演出していて自分で演じるようになってきたんですよ。俳優に戻れるかどうか心配していましたね。ちょっとやらないと感覚鈍るよね(笑)。
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