コラム:LiLiCoのHappy eiga ダイニング - 第12回
2011年2月24日更新
第12回:ジョージー・ヘンリーが未見のSF映画の金字塔とは?
対談ゲスト:「ナルニア国物語 第3章:アスラン王と魔法の島」ベン・バーンズ、ジョージー・ヘンリー
リリコ:(笑)。素顔のウィルはどんな人なんですか?
バーンズ:彼は「リトル・ランボーズ」という映画に出演して、イギリスでは有名なんだよ。その作品では、不良っぽいやんちゃな少年を演じて、彼本人もそういう性格に見られやすいんだけど、実際は僕がこれまで会ったなかでもっとも礼儀正しくて感じのいい青年だね。
ヘンリー:私も、あんなにマナーのいい人に会ったことないわ。
バーンズ:彼は俳優としても、いろんなアクセントが話せるし、コメディも演じられるし、とても器用なんだ。
ヘンリー:それに彼は礼儀正しいけど、一緒にいて楽しい人なの。
バーンズ:ウィルは今、Aレベルの勉強をしているんだ。本当はすごく日本に来たがっていたんだよ。僕が初めてウィルに撮影で会ったとき、最初に彼が言ったのは「映画のPRって世界中を回るの? 日本とか行けるの?」という質問だった。僕は「そうだよ。みんなで一緒に行くんだよ」って答えたんだけど、彼は今回、試験のために来られなかった。
ヘンリー:去年、ロサンゼルスでジャンケットがあったの。そのときは私とウィルが出席したんだけど、ウィルは「次は日本だよね。すごく興奮してきたっ!」ってはしゃいでいたわ(笑)。だから、彼が一緒に来ることができなくてとても残念。
リリコ:この映画は見ていて楽しいだけではなくて、素晴らしいセリフがたくさんありますよね。自分の弱さを乗り越えるヒントになったというような、心に残るセリフはありましたか? あと自分の弱さって、どんなところだと思いますか?
ヘンリー:普通の人よりもメディアの注目を集める立場で、特に成長期のティーンネイジャーだと、ちょっとニキビができたりするだけで、みんなに見られたくないとか、ナーバスになったりするわよね。そんな未熟ところが、自分でも嫌になったりすることがあるかな。
バーンズ:僕は自分のことをバカでオタクっぽい人間と思っているけれど、他の人はそう見ていない。他人が見ている自分に、自分自身を重ねようとすると、その違いに不安が生じるようになると思う。
リリコ:皆にいつも聞く3つの質問があるのですが……。
バーンズ:イエス。ノー。7(Seven)。
リリコ:(笑)。それが答えね!
リリコ:さて、あなたの宝物は何ですか?
バーンズ:この映画の撮影が終わったときに、自分が使った剣の複製を手に入れたんだ。ベッドの横に立てかけているんだけど、いつも寝るときに眺めているよ。ひとつの仕事が終わるたびに、記念になる物をできるだけ手元に残すようにしているんだ。「ナルニア国物語」の剣や、「ドリアン・グレイ」の撮影で使った仮面、この間の舞台で着たアーミージャケットとか、大事に持っているよ。
リリコ&ヘンリー:素敵ね!
ヘンリー:私はギターね。父以外、誰にも触られたくないの。父はギターが弾けるから。一度、父がギタースタンドに置いたときに倒れたことがあって、激怒するところだったわ(笑)。前2作のアンドリュー・アダムソン監督が、映画のポストプロダクション作業のためロンドンに来たときに買ったもので、8カ月後、彼がロンドンを去る時に私にくれたの。素敵でしょ? 私にとって、とても特別なものなの。それにすごく格好いいギターなのよ!
バーンズ:この映画を撮影しているときに、僕もギターを買ったんだ。ジョージーがいろいろとアドバイスをくれたよ。ジョージーは僕の誕生日に、ビートルズのギターの楽譜本をプレゼントしてくれたんだ。だから毎晩、彼女が宿題をやっているときに、僕は部屋でビートルズの曲を練習していた。だけど、僕の演奏は最悪でね。映画のために練習していたんだけど、結果的に僕がギターを演奏するシーンはなくなったよ(笑)。
リリコ:では、ふたつめの質問。人生のモットーや、大切にしている言葉はありますか?
ヘンリー:「取材を受けているとき、自分が答えたくないことや失礼なことを聞かれたら、自分の好きなように答えなさい」と教わったの。以前、変わった質問をされたことがあって、それは明らかに10歳の子に聞くのには不適切なことだったのよね。だからそのときは、「そうですね、『ナルニア国物語』は“若い”観客にとても楽しんでもらえる作品だと思います」と答えたわ。
バーンズ:僕の父はいつも「Success Is the Best Revenge(成功は最大の復しゅう、の意)」と言っていたんだ。10代のころ、その言葉が書かれたTシャツを偶然見つけて、びっくりしたのを覚えているよ。これが僕のモットーだね。
リリコ:では最後の質問です。さっきあなたは「7(Seven)」と答えましたよね! 3つめの質問は、「あなたの好きな映画は?」
バーンズ&ヘンリー:「セブン」か(笑)。
リリコ:(笑)。本当に「セブン」ですか?
バーンズ:ううん、違うな。難しい質問だな。僕は80年代の映画のオリジナルポスターを集めているんだ。そんなに数多く出回っていないから、すごく探すのが大変なんだよ。そうだな、「スパイナル・タップ」だろうな。音楽を扱った疑似ドキュメンタリー&コメディなんだ。あとは「バック・トゥ・ザ・フューチャー」だね。
ヘンリー:絶対、「バック・トゥ・ザ・フューチャー」って答えると思ったわ(笑)。
バーンズ:完ぺきな映画だよ。マイケル・J・フォックスは天才だね。
ヘンリー:私、一度も見たことないの。
バーンズ:「バック・トゥ・ザ・フューチャー」を見たことがないだって!?
ヘンリー:……(笑)。
リリコ:(笑)。いつ生まれたのっ!?
ヘンリー:私は感情的な人間だから、いつもいい作品を見るたびに「これがベスト映画だわ!」って思っちゃうの。だから大好きな映画はたくさんある。この1年でいえば、「ソーシャル・ネットワーク」かな。今まで見てきたすべての作品のなかで選ぶとすれば、「オズの魔法使」。
バーンズ:いい映画だよね。
ヘンリー:落ち込んだり、悲しくなったときはいつもこの映画を見るの。とても心地よい気分にさせてくれるから。大好きな映画よ。古典作品で素晴らしいから、リメイクすべきではないと思うけど、もしリメイクされるならぜひドロシーを演じてみたい。私にとって夢ともいえる役どころだわ。
バーンズ:確か、舞台版がウエストエンドで今週から上演されるはずだよ。舞台に立てばいい。
ヘンリー:今、この仕事を放り出してもいいの(笑)?
バーンズ:今すぐって意味じゃないよ! 5年後とかさ。
ヘンリー:そうね! そうよね!
リリコ:舞台に興味があるの?
ヘンリー:興味がなくはないけど、私にはまだ経験が足りない気がするの。舞台に立つには“本物”の俳優じゃなきゃいけないと思うのよね。私はまだ“本物”じゃないのよ。
リリコ:十分“本物”だと思いますよ!
ヘンリー:ベンは“本物”よ。私はまだ違う。
バーンズ:舞台は、映画とは違った種類の自信が必要なだけだよ。大勢の観客の前で毎晩、生で演じなきゃいけない。でもそれだけ。大勢の観客というのも、もしかしたら関係ないかもしれない。ただ、舞台は何度も同じ演技をしなきゃいけないんだよ。映画は1度、ベストの演技ができればいいわけだからね。
ヘンリー:でも、映画はずっと残るというところに私はひかれるの。舞台もいい作品は心に残るけれど、いい映画はずっと形として残るでしょ。つまり駄作も永遠に残るということなんだけど(笑)。
バーンズ:DVDの安売りセールのカゴに入る運命だね(笑)。