コラム:LiLiCoのHappy eiga ダイニング - 第12回
2011年2月24日更新
第12回:ジョージー・ヘンリーが未見のSF映画の金字塔とは?
対談ゲスト:「ナルニア国物語 第3章:アスラン王と魔法の島」ベン・バーンズ、ジョージー・ヘンリー
TBS「王様のブランチ」の映画コメンテーターとして人気のLiLiCoが、旬の俳優・女優から映画に対する思い、プライベートな素顔に至るまでを多角的に展開する対談連載「LiLiCoのhappy eiga ダイニング」。第12回のゲストは、「ナルニア国物語 第3章:アスラン王と魔法の島」に主演のベン・バーンズとジョージー・ヘンリー。初の3D公開となる同作を引っさげ、約2年9カ月ぶりに来日した2人にLiLiCoが迫った。
ジョージー・ヘンリー(以下、ヘンリー):ハロー!
ベン・バーンズ(以下、バーンズ):ハイ! また会えてうれしいよ。
LiLiCo(以下、リリコ):えっ! 覚えていてくださったんですか?
バーンズ:覚えているよ。前作(「ナルニア国物語 第2章:カスピアン王子の角笛」)で来日したとき、通訳なしでインタビューした人は限られていたから。
リリコ:今回の「ナルニア国物語 第3章:アスラン王と魔法の島」ですが、自分でも驚いたんですけど、私、泣きました。
ヘンリー:本当に?
バーンズ:どこで泣いたか、当ててみようか? ユースチスがリーピチープとサヨナラする場面でしょう?
ヘンリー:すごく悲しいシーンよね。
リリコ:今回は3Dですよね。撮影中はやっぱり、前2作とは明らかな違いがあったんですか?
バーンズ:3Dということに関しては、撮影の仕方に変化はなかったね。ポストプロダクションの過程で3D作業が行われたから。でも、すごく上手にナルニアの世界が表現されていると思ったよ。実は、ジャパンプレミアで初めて3D版を見たんだ。すごく興奮したよ。前回はニュージーランドやプラハなどいろんなところに移動して撮影したけど、今回はオーストラリアだけだったし、前作に比べてスタジオや建物内での撮影が多かったから、そういった意味では前回ほど大変ではなかったね。
ヘンリー:その通りね。あと今回は、水の中での撮影が多かったの。水槽の中に入ったり、ボートに乗っている時間が長かった。新しいことに挑戦するのはすごく楽しいけど、1日中、地面に足をつけず水に浮いたままで、トイレに行く時間もきっちり事前に決められているのは変な感じだったわ(笑)。
バーンズ:ランチのときしかトイレに行けないとかね(笑)。いちばん先に「トイレ行かせて」と頼むのはいつも僕だったよ。
リリコ:船酔いは大丈夫だったの?
ヘンリー:酔い止めの薬を飲んでいる人もいたけれど、私は平気だった。気持ち悪くなるというより、ぷかぷか浮いているような状態が続いていたわね。あと、波に飲まれるような激しい動きの後、急に静止したりすると、確かにクラッとしたわ。そういえば、1日だけ実際の海で撮影したことがあったのだけど、あのときは辛かったな。
バーンズ:小さなボートのシーンだね。僕はわりと楽しかったけど。
リリコ:水槽の撮影ってどんな感じなんですか?
ヘンリー:とにかく変な感じ。ナルニアの世界に入っていく最初のシーンの撮影のとき、スタッフが水槽の中の凍っていた水を温めてくれたの。それはすごくうれしかったんだけど、そこへオーストラリアの強い日差しで顔も水中も熱くなってきたから、もうぐったり。いつ溺れてもおかしくなかったわ。あれは体力的にかなり過酷だったわね。
バーンズ:ジョージーにとっては大変な日だったよ。彼女は水の中で1日中、もがいていたからね。僕は水槽の横のイスに寝転びながら日光浴をしていて、夕方4時ごろ、水に飛び込んでジョージーを抱き上げて「大丈夫?」と聞くだけでよかったんだ。それでその日の僕の仕事は終わり。彼女にとってはひどい1日だったけど、僕にとっては最高だったよ(笑)。ちょうど暑かったから水に飛び込みたい気分だったし。
リリコ:昨年(12月1日)のロンドンプレミアにはエリザベス女王が出席されて、日本でも大きく報じられました。プレミアはどうでしたか?
バーンズ:あの日、プレミアで雪を降らせる演出を考えていて、降雪機を用意していたんだ。それが、僕たちが車を降りてレッドカーペットに立ったら、本物の雪が降り始めた。素晴らしかったよ。ジャーナリストが「これ、人口雪でしょ?」と聞くから、「いや、スイッチは切っているはず」と答えたんだ。
リリコ:女王とは会われたんですか?
バーンズ:ジョージーはね。僕は会えなかった。舞台の仕事があったから、レッドカーペットイベントの後、すぐに劇場に向かわなければいけなかったんだ。
ヘンリー:私たちが一列にならんで、女王にひとりずつご挨拶したの。あんなに緊張したことなかったわ。女王と対面するときには、お辞儀や話し方など、守らなきゃいけないエチケットやルールがたくさんあるの。私はちゃんと心の準備をして臨んだから失敗しなかったけれど、貼りついたような笑顔で握手するのが精いっぱい。でも、私の隣に立っていたリーアム・ニーソン(アスラン役)は、女王にお辞儀しながら「I Love Your Dress, Ma'am!」って興奮しながら話していた(笑)。女王もすごくうれしそうだったわ。女王に対してあんな風に心からの気持ちを伝える人ってそんなにいないと思うから、そばで見ていて楽しかったし、素晴らしい体験だった。
リリコ:「ナルニア国物語」に出演したことが、将来の自分のキャリアにとってどんな意味を持つと思いますか?
バーンズ:僕はこの作品以外にも、小規模の映画や舞台に出演してきたけど、「ナルニア国物語」に出演して以降、明らかに大きなチャンスが舞い込むようになったと思う。この映画は世界中で上映されているよね。だから、「あの『ナルニア国物語』の俳優だ」というように、大勢の人の目に留まりやすくなった。僕はこの原作が大好きで子どものころから読んできたから、格別な思いがあるんだ。第1作が世界中で大ヒットして、その続編に出演することができたことは、これ以上ないほどの喜びだったよ。
ヘンリー:私はこの映画でキャリアをスタートさせたの。「ナルニア国物語」じゃなかったら、私がこんなヒット作に出ることはなかったと思う。だって、両親が私を子役スターにしようとしたわけじゃないし、私自身がそうなりたいと思っていたわけでもないから。ただ気づいたら作品にかかわることになって、いろんな訓練を受けて、あっという間にここまできたのよ。映画が大成功を収めたから、今後の活動を考える上で、ちょっとした安心感と自信を得ることができたと感じているわ。「ナルニア国物語」という代表作ができたことに感謝しているし、私はすごく恵まれていると思う。
バーンズ:ジョージーは素晴らしいよ。僕は撮影で疲れきったとしても、終わったら自分の部屋に帰って、お酒を飲みながらテレビを見たりできるけど、ジョージーやスキャンダー(エドマンド役)やウィル(ユースチス役)は、みんな撮影後は家で学校の宿題や復習、Aレベル(大学に進学するためのテスト)の勉強をしなきゃいけなかったんだ。撮影と勉強を両立させるなんて、すごいことだよ。今でさえ、ジョージーはこうやってインタビューの対応をしながら、2時間早く起きて勉強しているんだ。
ヘンリー:2時間なんて言わないでよ(笑)。
バーンズ:じゃぁ1時間?(笑)。でも本当に、長時間働きながらきちんと勉強もして、頭が下がるよ。僕なら学校と仕事を両立するなんて絶対に不可能だね。ジョージーはすごいよ。
ヘンリー:照れるからもう止めて。赤くなってきちゃった(笑)。
リリコ:第4作目が製作される可能性はありますか?
バーンズ:わからないなあ。でも次の物語は、僕たちのキャラクターはもう登場しないからね。原作ではジョージーのキャラクター(ルーシー)は出てこないし、僕のキャラクター(カスピアン)も老人なんだ。だから第4作目は個人的にはもうかかわらないけれど、製作されたらいいなと思うよ。
ヘンリー:次はウィルが主役よね。彼は主役として物語を引っ張ることができる人よね。
バーンズ:そうだね。彼のキャラクターが中心になるし、ウィルは俳優として素晴らしいんだ。 そうなると急いで製作しないとね。ウィルはどんどん背が伸びているんだ。
ヘンリー:彼は今、18歳なのよ。
リリコ:えっ! もう18歳なんですか?
バーンズ:今回の映画を撮影しているとき、彼の背はだいたい僕の胸くらいの高さだったんだ。それが、今では僕とほとんど変わらないからね。僕と正面からぶつかるシーンがあったんだけど、撮影したときはウィルの鼻先が僕の胸に当たる感じだった。今だったら顔に正面衝突だよ。
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