コラム:FROM HOLLYWOOD CAFE - 第92回
2007年8月7日更新
第92回:何かが変わる?iPhoneのあるライフスタイル
Nike+iPodを使ってランニングを開始してから、ついに1年が経過した。走行回数は145回、距離にして1352キロ。なんといっても驚きは体重の変化で、スタート時からすでに12キロも減っている。食事制限をまったくせず、しかも、足の故障でまったく走れない時期が何度かあったにも関わらずである。渡米時の体重に戻るのはもはや時間の問題で、時計の針を10年以上も戻すことができた気がして、喜びを噛みしめている。まあ、そこまで太ってしまった自分が悪いのだけれど。
用もないのに長距離を走るだなんて、退屈そうだし、しんどそうだし、バカバカしい。そう思っていたぼくがランニングにはまったのは、ひとえにNike+iPodのおかげだ。ただ、そのシステムの魅力はこれまで何度か書いてきたし、ランニングの素晴らしさをいくら熱っぽく語ってみたところで、興味のない人には煩わしいだけだろうから割愛。
そのかわり、今回はiPhoneについてご紹介します。すでにご存じの方も多いと思うけれど、iPhoneとは、iPodと携帯電話とインターネット端末が一緒になったやつで、ほぼすべての操作をタッチスクリーンで行うのが特徴だ。携帯電話としての機能のほかにも、iPodとして使用したり、YouTubeを観たり、メールの送受信を行ったりできて、おしゃれなデザインといい、簡単で気持ちの良い操作感といい、スマートフォンというより、手のひらに載るMacといったほうが近い気がする。せっかくiPhoneを入手したので、これで生活がどう変わるか試すために、海辺のランニングに連れていくことにした。
まずは、iPhoneの<Weather>で天気を確認してから身支度を調える(※写真1)。あいにくiPhoneはNike+iPodとは連携できないので、右腕にiPod nano、左腕にiPhoneをつけて、走りだした。たまに立ち止まって風景をiPhoneの<Camera>でパチリ。
今回、選んだのは20キロのランニングコースで、それだけ長い時間走っていると、さすがにトイレに行きたくなるときもある。そこで、折り返し地点でiPhoneの<Maps>を起動させて、現在位置を表示。さらに“Starbucks”と打ち込むと、近くにあるスタバが一斉に表示された(※写真2)。これで、万が一のときも、公衆トイレを使わずに済むと安心する。
完走を果たし、自宅に戻ってiPod nanoをMacにつなげて、Nikeのサイトにアクセス。すぐに今日の走行データが表示される(詳細は第82回の記事で)。
正直なところ、ランニング中は写真を撮ることと地図を確認すること以外に、iPhoneの使用法を思いつくことができなかった。iPod nanoで音楽をがんがんに鳴らしているし、走ることで精一杯だったからだ。ただ、怪我をしたり、トラブルに巻き込まれたときに備えて、携帯を持っているというのは大きな安心感を与えてくれた。
その日、ぼくはiPhoneの目覚ましをセットして、眠りに落ちた。早くも愛着が湧きつつある。
筆者紹介
小西未来(こにし・みらい)。1971年生まれ。ゴールデングローブ賞を運営するゴールデングローブ協会に所属する、米LA在住のフィルムメイカー/映画ジャーナリスト。「ガール・クレイジー」(ジェン・バンブリィ著)、「ウォールフラワー」(スティーブン・チョボウスキー著)、「ピクサー流マネジメント術 天才集団はいかにしてヒットを生み出してきたのか」(エド・キャットマル著)などの翻訳を担当。2015年に日本酒ドキュメンタリー「カンパイ!世界が恋する日本酒」を監督、16年7月に日本公開された。ブログ「STOLEN MOMENTS」では、最新のハリウッド映画やお気に入りの海外ドラマ、取材の裏話などを紹介。
Twitter:@miraikonishi