コラム:FROM HOLLYWOOD CAFE - 第85回

2007年1月10日更新

FROM HOLLYWOOD CAFE
街中のビルボードが「24」になる新年
街中のビルボードが「24」になる新年

アメリカに暮らしていると、元旦を迎えても新年になったという気があまりしない。感謝祭やクリスマスや大晦日のパーティーなど、こっちでは年末にかけてイベントが立て込んでいるから、正月はのんびり体を休めることに使う人がほとんどだ。2日から平常通りの営業が始まることをみても、正月は普通の祭日と変わりがないのだ。

街中はジャック・バウアーだらけ!?
街中はジャック・バウアーだらけ!?

それでも、ぼくには「あ、新年になったんだ」と感じる瞬間がある。街のビルボードに、「24」の新シーズン開始の広告を見かけたときがそうだ。通常のTVドラマは秋から新シーズンを開始するが、「24」は1月に放送をスタートする。秋から放送を開始すると、エピソードの総数よりも放送日のほうが多くなってしまうから、再放送や休止期間を差し込むことになるが、ミッドシーズンにスタートを切れば、中断せずに毎週新エピソードを放送できるからだ。

シーズン6となる今回は、投獄されていたジャック・バウアーが中国からアメリカに引き渡されるところから始まる。劣悪な環境で20カ月過ごしてきたバウアーは、心身ともにぼろぼろの状態で新たな危機からアメリカを救わなくてはいけない、という筋書きらしい。ジェームズ・クロムウェルら豪華な新キャストが話題だが、個人的に気になるのは、今度はどのレギュラーメンバーが殺されるか、というところ(クロエだけは殺さないでほしいと願うのは、多分ぼくだけではないだろう)。すでに4話を鑑賞した作家のスティーブン・キングは「あまりにも素晴らしくて、怖すぎるくらいだ」と絶賛していた。全米放送は、1月14日からのスタートである。

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1月29日には、「HEROES」の放送が再開する。同シリーズは昨年秋から始まったばかりのアメコミ風ドラマで、突如、不死身の体となったチアリーダーや、他人の心が読めるようになった警官、空を飛べるようになった政治家、未来を描くことができる画家など7名がメインキャラクターだ。近い将来にニューヨークで起きる大爆発を防ぐため、なりたてのヒーローたちが力を合わせていく、というのがおおまかなストーリーで、複数のヒーローが登場する点は「X-MEN」っぽいが、なぜ、彼らが選ばれたのかわからない点は「LOST」的でもある。アメリカの新ドラマのなかでは視聴率ナンバーワンで、日本でもヒットする可能性は十分あると思う。

そして、2月7日には、ぼくが一番好きなTV番組「LOST」の放送が再スタートを切る。すでにその展開の遅さに痺れをきらしてしまった人も少なくないと思うけれど、シーズン2の最後の5話あたりからシーズン3にかけて、物語が大きく動くので辛抱してほしいと思う。もっとも、クリエイター連中はシーズン5あたりまで謎を引っ張るつもりらしいから、種明かしを求めて番組を観るよりも、小出しにされたヒントを考慮に入れながら、あれこれ仮説を立てて楽しむのが「LOST」鑑賞の正しいスタンスのように思う。そんな悠長なことやってられないよ、と言われそうですが。

とにかく、今年もTVドラマを中心に1年が回りそうである。

筆者紹介

小西未来のコラム

小西未来(こにし・みらい)。1971年生まれ。ゴールデングローブ賞を運営するゴールデングローブ協会に所属する、米LA在住のフィルムメイカー/映画ジャーナリスト。「ガール・クレイジー」(ジェン・バンブリィ著)、「ウォールフラワー」(スティーブン・チョボウスキー著)、「ピクサー流マネジメント術 天才集団はいかにしてヒットを生み出してきたのか」(エド・キャットマル著)などの翻訳を担当。2015年に日本酒ドキュメンタリー「カンパイ!世界が恋する日本酒」を監督、16年7月に日本公開された。ブログ「STOLEN MOMENTS」では、最新のハリウッド映画やお気に入りの海外ドラマ、取材の裏話などを紹介。

Twitter:@miraikonishi

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