コラム:FROM HOLLYWOOD CAFE - 第100回
2008年4月1日更新
第100回:いずれはYouTubeを脅かす!?注目の動画サイトが登場
注目の動画サイトhulu.comが、ついにアメリカで正式始動した。これまでコンピューター上で映画やテレビ番組を見たければ、アップルのiTunesや、AmazonのUnboxなどでダウンロード購入をするか、各TV局の公式サイトへ行ってストリーミング再生を視聴する、あるいはYouTubeに投稿された質の低い映像で我慢するしかなかった。
しかしhuluは、これからのインターネット視聴をがらりと変えてしまう可能性を秘めている。huluはスタジオ主導で作られた動画サイトのため、映像の質が高いことはもちろん、広告付きのためすべてのコンテンツを無料で視聴することができる。おまけに、複数のメディア企業が提携しているため、FOXの「24」や「プリズン・ブレイク」、NBCの「HEROES/ヒーローズ」や「ER 緊急救命室」、Sci-Fiの「GALACTICA/ギャラクティカ」、USAの「名探偵モンク」などを、すべてhulu上で視聴することができる。これはすごく便利だ。
会員登録するだけで視聴が可能で(ただし、アメリカからのアクセスに限る)、インターフェイスは使いやすいし、再生もスムーズ。ドラマの途中でCMに中断されるけれど、TV放送を見ていると思えば気にならない。映像のクオリティも申し分なかった。
難を挙げるとすれば、コンテンツの質と量だろう。huluは開始時にTVを250番組、長編映画を100作品用意していたが、NBCユニバーサルとニューズ・コーポレーションが共同出資して作ったサービスなので、TVならばNBCとFOX、映画ならユニバーサルと20世紀フォックスの作品ばかりなのだ。おまけに「刑事コジャック」や「エアウルフ」「サボテン・ブラザーズ」や「ハートブルー」といった、深夜放送でしか見かけないような旧作が目立つ。ディズニーやCBS参加し、「LOST」や「CSI」シリーズを提供するようになってはじめて、YouTubeを脅かす存在になるのではないかと思う。
筆者紹介
小西未来(こにし・みらい)。1971年生まれ。ゴールデングローブ賞を運営するゴールデングローブ協会に所属する、米LA在住のフィルムメイカー/映画ジャーナリスト。「ガール・クレイジー」(ジェン・バンブリィ著)、「ウォールフラワー」(スティーブン・チョボウスキー著)、「ピクサー流マネジメント術 天才集団はいかにしてヒットを生み出してきたのか」(エド・キャットマル著)などの翻訳を担当。2015年に日本酒ドキュメンタリー「カンパイ!世界が恋する日本酒」を監督、16年7月に日本公開された。ブログ「STOLEN MOMENTS」では、最新のハリウッド映画やお気に入りの海外ドラマ、取材の裏話などを紹介。
Twitter:@miraikonishi