コラム:板尾創路の脱獄映画万歳! - 第5回

2009年12月24日更新

板尾創路の脱獄映画万歳!

第5回:自分が目指したものが撮れた「板尾創路の脱獄王」

大好評の脱獄映画連載もとうとう今回が最後。最終回は、自らメガホンを取り、脚本と主演も兼任した監督デビュー作「板尾創路の脱獄王」をクローズアップ。撮影の裏側から映画作りのプロセスにいたるまで、監督・板尾創路が語りつくす。

※「板尾創路の脱獄映画万歳!」は6回の連載を予定しておりましたが、都合により今回で終了させていただきます。

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◇「板尾創路の脱獄王」ストーリー◇
どんな牢も錠も物ともせずに、類稀なる身体能力と精神力で100%脱獄を成功させる男・鈴木(板尾創路)。どれほど重層な警備であろうといとも簡単に破ってみせ、ひたすら脱獄を繰り返す鈴木は、次第に「脱獄王」の名前をほしいままにしていく。彼は一体なぜ脱獄するのか? その真の目的は?―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

忙しい仕事の合間をぬって脚本を作り上げた
忙しい仕事の合間をぬって脚本を作り上げた

――初監督作にして脚本と主演も務めた本作ですが、まずは映画化までの経緯を教えてください。

「吉本興業が沖縄映画祭(09年3月19日~22日)をやることになって、そこに出す映画を撮らないかと誘いがあったんです。その時点では脚本と主演もやるとは決まってなかったんですが、撮るのであれば主演したいと伝えたらOKが出たので、こういう形になりました」

――ストーリーは増本庄一郎さん、山口雄大さんとの共同脚本という形で執筆したそうですが、その作業はどうやって進めたのですか?

「まずストーリーの大筋は僕が決めて、それをまとめてもらって、さらにそれを3人で練り直すという感じでした。期間は大体3カ月ぐらいかかったんやないかな。撮影前のギリギリまでやってたんですよ。ほかの仕事と並行しながら集まれるときに集まって、1稿、2稿、3稿と練っていきました」

監督・脚本・主演を兼任した板尾監督
監督・脚本・主演を兼任した板尾監督

――刑務所が主な舞台となる話ですが、どんな場所で撮影したのですか?

「監獄のシーンはすべて愛知県にある明治村の建物を使って撮っていて、独房のシーンなどはセットですね。あとは昔の刑務所っぽく見える建物を探して撮りました」

――主人公の鈴木という男を謎多きキャラクターにしたのはなぜですか?

「主人公が謎めいていた方が面白いと思ったんです。何かを秘めている方が引き込まれていくような気がして、結果的にあのキャラクターになりました」

――主人公が謎の男なので、観客は國村隼さん演じる看守の視点で映画を見るのではないかと思います。もう1人の主人公といえるあの役に國村さんを起用した理由は?

「最初に何となくストーリーを考えた時点で、看守は國村さんやなと浮かんできて、そこからはずっと國村さんをイメージして脚本を書きました」

――それで起用したということですね。國村さんとはそれまで交流はあったのですか?

國村さんとはもう22~23年前から知り合いやったんです。でもがっつり一緒に仕事したことはなくて、一緒にやりたいなとずっと頭のどこかで思ってました。実はスケジュールの関係で出演してもらえるか微妙やったんですが、そこが幸運にもクリアになって出てもらえたんです。國村さんの出演が決まった時点で『この映画は大丈夫だ』と確信しました。國村さんありきやないと映画が成立しなかったと思います」

國村隼、石坂浩二らベテラン俳優が脇を固める
國村隼、石坂浩二らベテラン俳優が脇を固める

――石坂浩二さんも出演していますが、起用のポイントは?

「やっぱりイメージですね。あの役は石坂さんやなと思って脚本を書いたんですが、石坂さんとはほとんど交流がなくて出てくれはるか正直未知数やったんです。脚本が出来た時点で読んでもらって、ご本人からOKをいただけたのですごく嬉しかったですね」

――全体的にあて書きで脚本を書いていったのですか?

「そうですね。ほかの人もそうやと思うんですけど、(脚本を書くときは)誰かをイメージしないと先に動いていかないと思うんですよ」

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筆者紹介

板尾創路のコラム

板尾創路(いたお・いつじ)。130Rを結成後、バラエティ中心に活躍し、注目を集める。その後、芸人のみならず、俳優、文筆家、ミュージシャンと幅広く活動。主な映画出演作品に「空中庭園」(05/豊田利晃監督)、「大日本人」(07/松本人志監督)など。初監督作品となる「板尾創路の脱獄王」は公開待機中。リトルモア刊「板尾日記1~4」、テイ・トウワとのコラボCD「少年B」、銀杏BOYZの峯田和伸とのコラボCD「ミュージック」などもリリース。

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