コラム:韓国の人がぶっちゃける、made in KOREA - 第16回
2012年4月27日更新
涙と因縁の東京ドーム公演 「東方神起への時間旅行2004-2012」出版までの裏事情
早いもので、映画.comでコラムの連載を開始してから1年が過ぎました。コラム開始当初は一般ブロガーだった私が、アマゾン書籍部門で1位を獲得し、サイン会まで開くことになろうとは、誰も予想していなかったことでしょう。それでも映画.comでのコラムは、尊敬する日本のみなさんに「仕事」という形で近づけた、初めての経験でした。自分の国の情報やメディアなどをフルに活用して、誰かのお役に立てたことは、とても大きな経験値となったハズです。
しかし、実は映画.comよりも先に、「仕事」の話を持ちかけてくれた人がいました。2010年の1月ごろ、「あなたのブログを、本にして世に送りたい」という提案をもらったのです。
当時は知る人ぞ知る「暗黒期」で、東方神起ファン全員が病になりかけた、ちょうどそんな時期でした。大好きな彼らから発せられる情報を真に受け、罪もない企業を悪く誤解したり、間違った信念を抱いたり。今思えば、私も本当に純粋なガキ真っ盛りな時期でした。「私の本が彼らの復活に少しでも役立つかもしれない」という幼稚な思い、「あの5人は障害を乗り越えてひとつになれる」という淡い希望がありました。そして、2010年6月4日に発売日が決定したのです。そう、今ではドラマで大活躍の「ユチョン君の誕生日」です。
しかし、このころから、今までの考えがすべて誤解であることを証明する「正しい情報」を目にするようになりました。尋常ではない事実に半信半疑ではあったものの、胸を痛めることが多くなっていきました。それでも、せっせと本の作業をしていた最中に舞い込んだ「東京ドーム公演」のニュース。これだけは何かが違うと思いました。必死に目をそらしてきた情報が、すべて事実だということを思い知らされた瞬間でした。
東方神起はこんな形で終わってしまうのか。いや、「終わらせられた」のか。こんな怒りと落胆のまま、この本は出せない。時間旅行なんてクソくらえ。――本を出版する話は、ブログで言及することもなく、放り出してしまいました。
あれから、長いようで短いような時間が経ちました。本当にいろいろなことがありましたが、「ふたりでは、2度とドームに単独で立てることはないだろう」とまで言われた彼らが、2012年に東京ドーム公演で大成功を収めることを誰が想像できたでしょうか。怒りと失望でいっぱいだった私が、すべての感情を超越し、また「時間旅行」に取り組むことになるとは、思いもよりませんでした。
今さら5人の内容で本を出したことを、いろいろと言われることもありますが、私自身はすがすがしい気持ちでいっぱいです。あきらめずに「私と東方神起の本を出したい!」と、最後まで取り組んでくださった関係者の方々。私のブログを読んでくださったみなさん。そして、あまりに辛すぎる環境の中で、もう一度奮い立ち輝いてくれた東方神起。感謝の言葉しかありません。JYJの3人にたいして複雑な気持ちはあるものの、「君たちは、れっきとした東方神起の歴史だ」と思っています。
一度は本を諦めさせた「東京ドーム」が、東方神起のふたりと同じ空間で涙を流す空間になろうとは。感無量とは、まさにこのことです。
本出版の裏事情まで書いてしまいましたが、映画.comでのコラムは今回が最終回です! クビになったわけじゃないよ。来月からは、他メディアのコラムでみなさんとお会いすることになるのでお楽しみに。私のしがないコラムを読んでくださったみなさん、本当にありがとうございました!