コラム:映画食べ歩き日記 - 第4回

映画食べ歩き日記

第4回:ショートフィルム×カクテルのペアリングイベントに潜入! 日常に寄り添うショートフィルムの楽しみ方

ショートフィルム専門のオンラインシアター「ブリリア ショートショートシアター オンライン」(BSSTO)が2周年を迎えることを記念し、ショートフィルムとカクテルを組み合わせて楽しむペアリングイベントが2月19日、東京・池尻大橋のイベントスペース&カフェ「BPM」で開催されました。さらに、同月21日には両国の“泊まれるシアター”「Theater Zzz」でオールナイト上映会も実施。映画.comは両イベントの様子とともに、日常生活の中で気軽に楽しむことができる、ショートフィルムの楽しみ方をレポートします。(映画.com編集部/飛松優歩)

ショートフィルム専門のオンラインシアター「ブリリア ショートショートシアター オンライン」(BSSTO)主催
ショートフィルム専門のオンラインシアター「ブリリア ショートショートシアター オンライン」(BSSTO)主催

2008年から10年間、神奈川・横浜で営業していたショートフィルム専門映画館「ブリリア ショートショートシアター」。そのブランドを受け継いだBSSTOでは、米アカデミー賞公認の国際短編映画祭「ショートショート フィルムフェスティバル & アジア(SSFF & ASIA)」が厳選した作品を毎週金曜に公開。会員登録を済ませると、常時10~12作品を無料で視聴することができる、夢のようなコンテンツなんです!

オンラインだけではなくスクリーンでショートフィルムの魅力を味わってほしいと考えたBSSTOが「BPM」とタッグを組み、上映イベント「池尻ショートフィルム」がスタートしました。これまでも上映時にはアルコールやフードを提供されていましたが、第6回目となる今回で初めて、作品の内容に合わせたオリジナルカクテルが誕生。ペルノ・リカール・ジャパンによるクリエイターとバーテンダーを掛け合わせた体験プロジェクト「Jigger Collective」とコラボレーションし、代々木上原のバー「No.」のバーテンダー・荻島渉氏が腕を奮いました。

バーテンダーによるパフォーマンスも楽しめる
バーテンダーによるパフォーマンスも楽しめる

この日は、シークレット作品を含め3本のショートフィルムを上映。普段はジャズライブやギャラリーの企画が行われることもあるという会場に入り、まずは1本目「バレンタイン」と2本目「リアル恋人体験」に備え、カクテルを取りにカウンターへ。「バレンタイン」と名付けられたカクテルは、シングルモルトスコッチウイスキー「アベラワー」をベースに、カカオと薬草を合わせた大人のチョコレートカクテル。グラスにはチョコレートパウダーがあしらわれており、ビターな味わいが口に広がります。この濃厚なテイストに合う作品とは、どんな内容なのか……? 期待がぐんぐん高まります。

ショートフィルムから生まれたチョコレートカクテル「バレンタイン」
ショートフィルムから生まれたチョコレートカクテル「バレンタイン」

オープニングを飾った「バレンタイン」は、親友同士の女の子ふたりを軸に、愛は身近にあると感じられる1日を描いたイギリス映画。メガホンをとったケイト・ヘロン監督は、Netflixオリジナルドラマ「セックス・エデュケーション」のいくつかのエピソードや、マーベルのテレビシリーズ「ロキ(原題)」を手掛けるなど、活躍の幅を広げている注目のクリエイターです。続く「リアル恋人体験」は、失恋を引きずり、インターネットのあるサービスを利用する青年が主人公の米コメディ映画。人気ドラマ「フレンズ」の脚本に携わったマーク・J・クナースが監督を務めています。アルコール度数高めのカクテルを喉に流しこみながら、両作品で表現されている恋愛の切なさや価値観の違いを見つめていると、過去の思い出がよみがえってくるような、特別な時間だと感じられました。

BSSTOを運営するビジュアルボイス社の大竹悠介氏は、「テレビの世界で活躍していた人が映画を撮る時に、最初にショートフィルムから始めるパターンもありますね」と解説。ショートフィルムの世界には、将来の映画界を支える若き才能がたくさんひしめいており、フレッシュなキャストやスタッフを発見できることも、魅力のひとつになっているようです。

47種類のボタニカルを原料とした「ハグ」は爽やかな味わい
47種類のボタニカルを原料とした「ハグ」は爽やかな味わい

休憩時間にサーブされた2つ目の飲み物は、「ハグ」という名を冠し、47種類のボタニカルを原料に、アルコール度数47%を誇る「モンキー47」のドライジンと、フルーティなアペリティフワイン「リレブラン」を使用したカクテル。先程の「バレンタイン」の甘さとは一転、すっきりした中に幾層にもなる複雑なテイストと香り高さが感じられます。「ハグ」片手に鑑賞するシークレット作品(3本目)は、スペイン映画「ハグ」。スーパーで買い物をしながら、電話で兄弟喧嘩の仲裁をしようとしていた男が、ふとある人物に見つめられていることに気付き、いつも通りだと思えた夜が大きく変化していくという物語。

2種類のオリジナルカクテルを生み出した荻島氏は、「『バレンタイン』は、大人の複雑な関係を、甘苦いニュアンスの味で表現しました」とカクテルづくりの裏側を明かします。もうひとつの「ハグ」は、境界が曖昧な真実と嘘をイメージ。真実の中の優しい妄言や、嘘の中の一握りの確かさなどが伴う妖麗な雰囲気が、「飲む香水」と表現するほどの香り高さで、グラスの中に閉じ込められています。

「日常の中でのショートフィルムの楽しみ方」でトークは大盛り上がり!
「日常の中でのショートフィルムの楽しみ方」でトークは大盛り上がり!

カクテルを飲みながらショートフィルムを鑑賞する、ゆったりした時間。平日夜の開催だったため、会社帰りと思われるスーツ姿の観客も多く、せわしない日常の中に潜んでいた非日常を皆でこっそりと共有しているような、どこか親密な空気に包まれていました。トークセッションでは、上映作品の感想や質問コーナーはもちろん、ショートフィルムの楽しみ方にも話がおよびます。登壇したSNSで人気を集める映画レビュワー・DIZ氏は「『最近映画見られてないな』と思った時は、BSSTOさんのオンラインで、ショートフィルムを見る生活をしています」と紹介。大竹氏もその意見に賛同し、「映画鑑賞は体力が必要なので、時間がなくて疲れている平日には、難しいこともあると思います。その点、ショートフィルムは短時間でリフレッシュできる、息抜きできる。ちょっと気分転換して、『明日から頑張ろう』と思えるところが良いなと思います」とアピールしていました。(次ページに続く)

筆者紹介

映画.com編集部のコラム

飛松優歩(とびまつゆうほ)。映画とおいしいごはんに目がない映画.com編集部員。朝食には「ファントム・スレッド」のイングリッシュ・ブレックファスト、昼食には「かもめ食堂」のシナモンロール、夕食には「アパートの鍵貸します」のようにテニスラケットで湯切りしたパスタを作り、食後に「おいしい生活」のクッキーと「バック・トゥ・ザ・フューチャー」のチョコレートシェイクを飲むのが理想の一日。