コラム:映画食べ歩き日記 - 第2回
2019年12月17日更新
第2回:NY発・映画と食を楽しむ新感覚イベント、2020年4月に日本初上陸! おいしい映画鑑賞をレポート
米ニューヨーク・ブルックリンで発祥し、映画を鑑賞しながら食事を楽しむ新感覚のイベント「The Food Film Festival」(FFF)が、2020年に日本初上陸。4月の開催を控え、12月13日に行われた報道向け内覧会に、映画.comが潜入した。(映画.com編集部/飛松優歩)
食にまつわる映画を鑑賞しながら、スクリーンに映し出される食べ物を味わうことができる「FFF」。秋になると、マンハッタンの中心にあるタイムズスクエアの映画館「AMC Empire 25」で行われ、今年で13回目を迎える。食と映像のプロがタッグを組み、極上の映像作品と食べ物を提供。上映後のアフターパーティでは、映像に登場したシェフや食材の生産者たちが目の前で料理を振る舞ってくれる。これまでシカゴ、チャールストン、コペンハーゲンなど世界の様々な場所で開催されてきたが、「FFF」の次なる開催地として選ばれたのは、東京。ニューヨークと姉妹都市60周年を迎える20年、「The Food Film Festival Tokyo 2020」(FFFT)と銘打ち、「EAST×WEST」をテーマに、それぞれの都市の文化を映像と食を通して発信する。
内覧会は、天王州アイル駅にほど近い会場で行われた。足を踏み入れると、大きなスクリーンを前に、期待に顔を輝かせた人々で埋まった座席がずらり。DJブースからムーディな音楽が流れる空間で、ウェルカムドリンクのワインやフィンガーフードが振る舞われ、リラックスした雰囲気に満ちている。ほどなくして、テンション高めのMCと、FFF主催者のジョージ・モッツ氏がステージへ。モッツ氏はエミー賞の受賞歴もある映像作家であり、05年にはドキュメンタリー映画「Hamburger America」を製作。自身の著書「Hamburger America」をベースにしたアメリカのテレビ番組「Burger Land」の司会兼プロデューサーを務めるなど、とにかくハンバーガーを愛し、並々ならぬ情熱を注いでいる“ハンバーガーエキスパート”なのだ。
「見て食べる」ことで、五感をフルに刺激する新しい映像体験を創出する本イベント。この日は6本のショートフィルムを鑑賞し、前菜、メイン、デザートまでのフルコースを楽しんだ。ブルックリンのクラフト・ライウィスキーを一気にあおった後の1本目は、デイビッド・マー監督が手掛け、著名な映画監督4人の作品にインスパイアされた「フード・フィルムズ」。マイケル・ベイはワッフル、ウェス・アンダーソンはマシュマロ、クエンティン・タランティーノはミートボールスパゲッティ、アルフォンソ・キュアロンはパンケーキなど、それぞれの監督の作風を反映したような映像でおいしそうな食べ物が作られていくという、マニアックなレシピビデオだ。そしてエンドロールが始まりそうなタイミングで、隣のゲストから渡されたお盆には、今までスクリーンでおいしそうに湯気を立てていたタランティーノのスパゲッティが! ごろごろしたミートボールがうまい。映像にあった夢の食べ物が実体化している……。想像以上の多幸感に、食欲がどんどん湧いてくる。(次ページに続く)
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