歌舞伎版「NARUTO−ナルト−」でライバルを演じる巳之助&隼人の挑戦! : 若林ゆり 舞台.com (2)

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コラム:若林ゆり 舞台.com - 第70回

2018年8月1日更新

第70回:歌舞伎版「NARUTO−ナルト−」でライバルを演じる巳之助&隼人の挑戦!

演じるキャラクターに対する考え方も、2人は対照的。ナルトの成長について、巳之助は「とくに考えていない」と言うが、そこには理由がある。

巳之助「サスケは端っから自分に何が起こったかを自分の体験として記憶していて、それに対して『兄に復讐をする』という目標立てて持っています。対してナルトは、物語が始まった時点では自分がなぜ落ちこぼれで、なぜこんなに里の人たちから疎まれているのかを知らない状態です。その中で明るくあるために、自ら『火影になる』という目標を掲げる。そして物語が進むにつれていろんなことを知っていって、でも最終的にはやはり、最初から自分が持っている『火影になる』という夢や、『自分を曲げない』という信念は揺るがないという人物です。なので、理論立てて彼の成長を捉えたくない。それで、考えていないんです」

隼人「サスケはナルトとは違って『兄に復讐する』という目標を掲げて生きてきた。それが叶ったらまた別の人物が出てきて、実は自分を守るために兄は一族を殺したという事実を聞かされる。大人に振り回されて、考えが二転三転するんですよ。そういうところは演じるのが難しいし、説得力が必要です。でも、漫画では、読んでいるこっちが着いていけなくなるようなスピード感でサスケがよくわからなくなっていった(笑)。そこの矛盾を、漫画ではキャラクターの個性と力で埋めていたところがあるんです。だから力技じゃないですけど、どういう台詞まわし、どういう動きをすれば少しでも納得してもらえるものになるのか、探りながらやっていきたいですね」

うずまきナルトを演じる坂東巳之助(右)と、うちはサスケを演じる中村隼人(左) うずまきナルトを演じる坂東巳之助(右)と、うちはサスケを演じる中村隼人(左) 撮影:若林ゆり

2人は今回、役についての話し合いはほとんどしていないそう。

巳之助「なぜならナルトとサスケが一緒にいる時間がほとんどないから。話し合う必要性もそんなに感じないよね?」

隼人「本当に少ないんですよ。漫画でも、大人になってからは割と少ない。でも、そこは原作の岸本斉史先生の力で、心と心がどこか通じているから、それが読んでいる人にもわかるから、一緒のシーンがなくても一緒にいるような感じがするんだと思うんですよ」

巳之助と隼人の間にも確かな信頼関係があるからこそ、話し合う必要もないのだろう。その関係もきっと、説得力に繋がるに違いない。では、原作を歌舞伎化する上で大事なことは何か。

隼人「僕は『ワンピース』の話を聞いたときから、『NARUTO-ナルト-』の方が歌舞伎に合うんじゃないかなと思っていたんです。でも実際にやってみると、そこまで世界観が似ているわけではなかったんですね。ではどういう風にすればいいんだろう、どうなれば歌舞伎かと考えました。先輩方がよくおっしゃるのは『歌舞伎俳優がやれば歌舞伎だ』ということ。やはり歌舞伎俳優が舞台上で現代語を喋っても、普通のストレートプレイのようにはならないんです。どうしても台詞を粒だてて言ったり、抑揚をつけたりという癖がついているので。そこへ“ツケ”を入れたり鳴物を効果音に使ったり、普通の舞台では使わない手法を使うことで、自然と歌舞伎になっていくんだと思うんです」

巳之助「原作は“バトル漫画”です。“バトル漫画”って何かというと、物語の根底に戦いがあるということ。なので、この芝居の立ち回りもあくまでもストーリーに根ざした戦いであるということで、そこを大事にしていきたいなと思っています」

ナルトに扮する坂東巳之助(左)と、サスケに扮する中村隼人(右) ナルトに扮する坂東巳之助(左)と、サスケに扮する中村隼人(右) (c)岸本斉史 スコット/集英社・『NARUTO-ナルト-』歌舞伎パートナー

この作品がまた、1人でも多くの人にとって歌舞伎に触れるきっかけになってほしい、と2人は口をそろえる。この作品をいずれ海外でも上演したいという話もあるようだが、「まずは日本で」と巳之助は言う。

巳之助「もちろん海外の人に喜んでもらえたら嬉しいですけど、それより日本の人に歌舞伎に触れてもらって、興味を持ってもらえるようにすることの方が、いま危機感を持ってやるべきことなのではないかなと思います。日本人があまり見ないものを、海外の方に『これが日本の誇るカルチャーです』とは言えないです。だから、歌舞伎を見たことがない日本の方々に歌舞伎というものに触れていただいて、『古典の歌舞伎も見てみようかな』と思っていただくことが、我々の目指すところです」

隼人「先輩方がスーパー歌舞伎やコクーン歌舞伎を作ってきたのも、歌舞伎の裾野をどんどん広げていこうと思ったから。この作品で歌舞伎にお客様が増えて、もっともっと古典を見に来ていただけたら、と思っています」

新作歌舞伎「NARUTO−ナルト−」は8月4~27日 新橋演舞場で上演される。詳しい情報は公式サイトへ。
 https://naruto-kabuki.com

[筆者紹介]

若林ゆり

若林ゆり(わかばやし・ゆり)。映画ジャーナリスト。タランティーノとはマブダチ。「ブラピ」の通称を発明した張本人でもある。「BRUTUS」「GINZA」「ぴあ」等で執筆中。

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