コラム:若林ゆり 舞台.com - 第23回

2015年1月6日更新

若林ゆり 舞台.com

第23回:川平慈英とトップ・エンターテイナーの仲間たちが贈る最高のショーが、9年ぶりに復活!

ふたりの言う「勝負」は、旧シリーズの持ち味や定番的なナンバーを残しつつ、「すべてリニューアルした」と胸を張るところにも表れている。

本間「まずは美術や衣裳といったビジュアルから大リニューアル」

川平「2曲ほど、これぞ『Shoes On!』というナンバーが出てくるんですけど、やる人が(旧シリーズとは)違うんです! 何ひとつ同じってものはないんですよ。まあひとつだけ“ウォーリー&ポーリー”っていう、僕と平澤智がやるコントはありますけど、そこもネタは変えてますし」

「Shoes On!」といえば、レギュラーメンバー男性陣によるコント“パペッツ”も大きなお楽しみだったけれど……?

川平「もちろんあります! でもこれも、フジ(藤浦)がドSなのはいつも通りなんですけど、新しくてタイムリー。基本に戻ってもう1回、作り直しました。こうご期待です!」

撮影:若林ゆり
撮影:若林ゆり

レギュラー陣はいまや、誰もが振付や演出を手がけるまでに成長している。彼らがアイディアを出し合って作るショーに、福田さんのスピリッツが脈々と受け継がれていることは言うまでもない。

本間「たとえば僕がコチョコチョ動くのを見て、慈英さんは『動くな!』と言ってくれる。福田先生はいつも、堂々と、大きくやりなさいって言っていた人なんです。あんまりチマチマやるのが好きじゃなかった」

川平「そうだね。『慈英、やらなくてもいい、立ってるだけで大丈夫だから』って」

本間「そういうバーンとした見せ方というか様式美が、意外といまの若い人はできない。いまは舞台でも映像的な表現をする人が多いけど、しゃべり声もちっちゃいし、舞台でリアルなんか求めてもおもしろくも何ともないのに。『何言ってんだか全っ然わかんない、ここは舞台だぞ!』って言いたくなるんだよ! ちょっと熱くなってきたけど(笑)」

川平「わっはっは(拍手)。タップダンスも、いまはストリート系とかパワー系の、テクニックを前面に、ってやつが主流でしょ? 10人近いダンサーが1列になって、クラシックタップ見られるのなんて、ないよね」

本間「オーソドックスなスタイルも大事。9人みんながアンサンブルに徹してピシッとラインを決めるのって、美しいなと思う」

川平「しかも徹頭徹尾、スタイルを変えてる。タップでいうと、HIDEBOHの参戦はでかい! タップ・ゴッド降臨ですよ! 毎日、目から鱗。彼は今回の目玉中の目玉です。僕が大玉に乗るっていうのはありますけどね(笑)」

撮影:若林ゆり
撮影:若林ゆり

取材をしたのは初めての通し稽古という日。チームの雰囲気には、まるで「信頼」という二文字が見えるようだ。

川平「結局のところ、僕らは家族、兄弟姉妹なんです。だから怒るし、茶化すし茶化されるし。そういうのはあっても陰湿なものはこれっぽっちもない。稽古場で揉めたりとか激情型のメイキング風景は、最初のときからまったくなかったなあ。だから僕にとって『Shoes On!』って実家みたいな感じなんですよ。1年それぞれ勝手なことやってて、正月に家族みんなで集まって『この1年どうだった?』って楽しく過ごして、またそれぞれの生活に戻っていく、みたいな」

本間「それで誰ひとりキャラが被らないからね。みんな違うから、この角度から見るとこうか、こっちからだとこうなんだって、360度から見る楽しみがあるからさ。お楽しみがパノラマだよね(笑)」

川平「誰をとっても『はあーっ、クソーやられた! 悔しいー』って思うんです。正直、ほかの現場でもすごい人はいますよ。でもね、『ああー、もうたまらん、クーッ』って、これだけの人数をそう思える現場はない(キッパリ)。昔だったら追いつけ追い越せ、食ってやれってなってたんですけど、もう50歳になるとそういう領域はなくて。オレは自分の美学でやる、それの引き起こす化学反応を楽しもう、という感じですね」

本間「ショーの売りのひとつは、川平慈英が踊るってことだからね」

川平「ムムッ、川平、踊るんです、歌うんです、ってか?(笑) そりゃ見た人には『クーッ』って言わせたいですね。何よりこの日本にこれだけのトップ・エンターテイナーがいるんだってことを見せたいし、いままで何を見ていたんだ、って思わせたい。ブロードウェイ、ウエストエンドへ何10万円もかけて行かなくても、銀座にグローバルなショーがある。ここにはデキる人間が集まってます!」

The New Enterteinment Show「Shoes On!」は1月7日~18日に銀座の博品館劇場で、1月22日に大阪・サンケイホールブリーゼで上演。詳しい情報は公式HPへ。
 http://www.shoeson.jp/

筆者紹介

若林ゆりのコラム

若林ゆり(わかばやし・ゆり)。映画ジャーナリスト。タランティーノとはマブダチ。「ブラピ」の通称を発明した張本人でもある。「BRUTUS」「GINZA」「ぴあ」等で執筆中。

Twitter:@qtyuriwaka

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