コラム:編集部コラム やっぱりアニメはヽ(´▽`)ノ日本が一番 - 第37回
2015年12月22日更新
第37回:2015年のアニメーション映画界隈を振り返る
2015年もあとわずか。日本のアニメーション映画を紹介する当コラムでは、今年のアニメーション映画界隈で印象的だった出来事や作品などを独断と偏見で選び、10個のトピックスにまとめてみました。年間興行収入ランキングの邦画トップ10のうち、6本がアニメだったという15年。ヒット作が相次いだ一年をプレイバックしてみましょう。
TOPICS 1●やっぱりスゴかった 「妖怪ウォッチ」が特大ヒット
「妖怪ウォッチ」がスクリーンに進出した15年。お正月映画として14年12月23日に封切られた「映画 妖怪ウォッチ 誕生の秘密だニャン!」(写真は最新作の第2弾「映画 妖怪ウォッチ エンマ大王と5つの物語だニャン!」より)は、興行収入78億円という特大ヒットに。15年国内興行ランキングでも邦画全体で1位、テレビ東京のアニメ作品の劇場版としても、「劇場版ポケットモンスター ミュウツーの逆襲」(1998)の72.4億円という記録を抜いて過去最高に。そんな「映画 妖怪ウォッチ」、第1弾公開前に第2弾の公開も決まっていましたが、第2弾(上写真)公開前に、第3弾の公開(16年冬)も決まりました。
TOPICS 2●GWの2大アニメ「コナン」「クレしん」がシリーズ最高成績
毎年ゴールデンウィークに公開される2大定番アニメ「名探偵コナン」と「映画クレヨンしんちゃん」が揃ってシリーズ歴代最高の記録を樹立。「名探偵コナン 業火の向日葵」はシリーズ19作目で興行収入44.7億円を稼ぎ出し、「映画クレヨンしんちゃん オラの引越し物語 サボテン大襲撃」は興行収入22.8億円でシリーズ23作目での記録更新。さらに言えば、「コナン」シリーズはここ3作品連続で興行収入を更新し続けています。春休みの「ドラえもん」に夏休みの「ポケモン」、そして冬休みには「妖怪ウォッチ」も加わり、東宝のファミリーアニメの盤石さは驚異的なものに。
TOPICS 3●もはや社会現象 「ラブライブ!」が大ヒット
おそらく今年のアニメ界最大のトピックスとも言えそうなのが、「ラブライブ!」およびアイドルユニット「μ’s(ミューズ)」の快進撃。6月13日に公開された劇場版「ラブライブ!The School Idol Movie」は、動員200万人、興行収入28億円を突破するという大ヒットに。「『ラブライブ!』10年以降の松竹邦画で1位」という弊社のニュース記事も多くRTされました。同作のアイドルユニット・μ’sは「ミュージックステーション」に出演も果たし、年末の紅白歌合戦にも出演が決定。NHKは、他局制作のテレビアニメ「ラブライブ!」第1期を16年1月から再放送することも決めました。さらに、16年3月31日、4月1日の2日間、μ’sがついに東京ドームでコンサートを開催することも決まり、そこで事実上の解散となるとのことですが、6万人を動員可能なドーム公演すら可能にした「ラブライブ!」およびμ’sの勢い。東京ドームでどのような光景が繰り広げられるのか、まだまだ目が離せません。
TOPICS 4●ポスト・ジブリへ待ったなし 細田監督「バケモノの子」でまた記録更新
細田守監督の最新作「バケモノの子」が7月11日に公開され、興行収入58.5億円を記録。先述の「妖怪ウォッチ」に次ぐ、15年の国内ランキング邦画第2位となりました。前作「おおかみこどもの雨と雪」も見事に上回り、「時をかける少女」(興収2.8億円)以降の細田監督の作品は、「サマーウォーズ」(興収16.5億円)、「おおかみこどもの雨と雪」(興収42.2億円)、そして「バケモノの子」と右肩上がり継続中。公開規模や注目度も上昇してのこともありますが、それに応える結果を残しています。「金曜ロードSHOW!」での過去作品の3週連続放送や「『バケモノの子』展」の開催など、東宝=日本テレビ陣営の宣伝もかなりの力の入りようで、周囲からは着実に「ポスト・ジブリ」として期待がかけられている様子がうかがえます。
TOPICS 5●「心が叫びたがってるんだ。」オリジナルアニメの大健闘
人気作品「あの花」こと「あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。」の制作チームが再結集した劇場用アニメ「心が叫びたがってるんだ。」が9月19日に公開され、11月1日に興行収入10億円の大台を突破。最終興行収入10.4億円の「劇場版 あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。」よりも12日間早い10億円突破となりました。原作もなく、テレビシリーズの続編・総集編などでもない、完全オリジナルの劇場アニメーションで興行収入が10億円を超えるのは、ジブリ作品、大友克洋監督作品、細田守監督作品以外では「ここさけ」が初とのこと。今作を手がけた長井龍雪監督らの制作チームもまた、次世代を担うアニメーション作家として、ますます期待されそうです。