阿修羅のごとく

シリーズ紹介
日本のホームドラマの礎を築いた名脚本家、向田邦子の最高傑作と評されるドラマを、是枝裕和の監督・脚色でリメイクしたNetflixシリーズ。物語の中心となる四姉妹を、宮沢りえ、尾野真千子、蒼井優、広瀬すずが演じる。
原題:阿修羅のごとく
製作国:日本
シリーズ
スタッフ・キャスト
- 監督
- 是枝裕和 [シーズン1]
- 脚色
- 是枝裕和 [シーズン1]
- プロデューサー
- 八木康夫 [シーズン1]
- 企画
- 八木康夫 [シーズン1]
日本のホームドラマの礎を築いた名脚本家、向田邦子の最高傑作と評されるドラマを、是枝裕和の監督・脚色でリメイクしたNetflixシリーズ。物語の中心となる四姉妹を、宮沢りえ、尾野真千子、蒼井優、広瀬すずが演じる。
原題:阿修羅のごとく
製作国:日本
是枝裕和が脚色監督編集をしたドラマ。全7話。
これが面白い。
オリジナルのNHK版も昔見ていたけど、向田邦子のオリジナル脚本を最初はそのままドラマ化しようとしたけど、少し変えたらしい。
時代もオリジナルと同じ79年に設定して、街並みやアパートや家の室内などの時代の再現性が素晴らしい。それに髪型。本木雅弘が次女(尾野真千子)の亭主をやっているが、髪型が昭和。尾野真千子の髪型も。それに当時は当たり前だけど、携帯もなく家の電話、それが効果的に使われている。で、この頃の専業主婦当たり前、女性の幸せは結婚。寝タバコ当たり前。食卓でタバコを吸うし。そんな設定の中で、辛口のホームドラマが展開される。向田邦子の世界。
是枝の丁寧な演出が楽しめて、女優の演技合戦が楽しめる。役者はみんないいけど、前半では四女の広瀬すずと松坂慶子。広瀬すずは、きれいになったし、ドキッとする瞬間がある。松坂慶子は、これの前の是枝のNetflixドラマ「舞妓さんちのまかないさん」の大女将役もよかったけど、こちらもよかった。老婆だけど、美しいしちょっと切なさがあって。
中盤、後半では、この四人姉妹の絡みが無茶苦茶面白い。4人で、火事の片づけをするシーンは、ワンカットで長回し。他愛無いけどいいシーンだった。
配役で不満を言えば、父役の國村隼。演技はいつもながら上手いけど、NHK版の佐分利信のような威厳がなくて残念。彼だけ平成って感じ。
まあ、是枝の演出を楽しんで、四姉妹の女優の演技合戦を見ているだけでも楽しいドラマ。
上質なドラマ。
2か月かけて、ようやく鑑賞終了。
一気見するほどではなかったのは、淡々と日常を描くタイプの作品だったせい。
劇的な展開に乏しい原作で、雰囲気を味わうホームドラマという感じ。
昭和後半が舞台のドラマだが、昭和ももはや、時代劇なのだなぁと思った。
黒電話、タバコ、割烹着、新聞といった舞台装置が、日常生活のど真ん中にあり、
私らの世代には、懐かしさがある。
同時に、石田純一ではないけれど「不倫は文化」の時代でもあり、
それに翻弄される女性達が沢山出てくる。
息を吸うように不倫をするのが昭和。
そこに共感めいたものは一切なく、そういう時代だったのだなぁという感想しか持てず、
退屈に感じる要因にもなっている。
兄弟がいない私には、四姉妹の人間関係的な面倒臭さや、姉妹間の嫉妬とかメンツとか、
正直よくわからなかったが、
四姉妹のピーチクパーチクな五月蠅い雑談の感じは、
私の母が三姉妹だったせいか、とても懐かしい光景であり、
それを鬼たちを見るかのように、冷ややかに、物陰から垣間見ている男性陣の観察風景みたいな描写は、
なんとなくわかる。
この、なんとなくわかるとか、懐かしいとか、そういう感想はあるのだけれど、
だからどうしたと言われると、返す言葉もない。そういうドラマだった。
伝説の向田邦子脚本の名ドラマを
これまた家族の機微を軽妙に描く是枝裕和監督が脚色、監督したリメイク。
原作の昭和53(1978)年の時代設定を変える事なく
現代にそぐわない部分のみを多少削ってのリメイクなので
なかなかに当時の時代観が楽しめました。
向田邦子氏の作品は「寺内寛太郎一家」を子供の時に観たくらいで
当時は子供過ぎて、内容の深さは解らなかった私でも今作は
随所に散りばめられた小ネタにクスクス笑いながら気が付いたら
ドラマの本質に引き込まれてしまいました。
昭和の一軒家の縁側で姉妹で白菜を漬ける風景とか
おもちゃを投げたら襖(ふすま)にブッ刺ささるとか
そんな昭和感は現実にはもう無くなってしまったけど
その根底に流れる「家族」だからの気まずさや
「家族」ならではの反発や「家族」としての連帯感は
何も変わって無いな〜〜。
有る程度の年齢になれば誰でも覚えのある家族の出来事に
苦笑いと、ついホロリの連続だった。
いや〜〜〜面白かったです!!
で、月に8回ほど映画館で映画を観る中途半端な映画好きとしては
なんといっても主人公の四姉妹のキャストが流石に絶妙!
宮沢りえはいい感じに中年になっているので、
後家さんなんて、もう堪りません。(いやらしくらい〜〜笑)
尾野真千子は実質主役というか、専業主婦だからすぐに何かと
細かい用事ごとが持ち込まれて、その度に実家と姉妹たちの間を
右往左往振り回されるという闊達なこの人によく似合う役だと思う。
蒼井優は今も変わらない清潔感をさらに増幅させて、
潔癖過ぎて逆に鼻につくキャラを見事に演じていて、
広瀬すずは末っ子らしく自由ながらも、姉たちに虚勢を張ってみせるところは
実際の広瀬すずのキャリアと上の三人とのキャリアの差を
なんとか演技で追い付こうとする姿に重なって上手い配役だと思います。
それに加えて、次女の夫役の本木雅弘が、最初は面倒見の良い夫風だけど、
どこか軽妙でチラチラと見える女姉妹への憧れとちょっとした軽蔑と
女姉妹には分かり得ない男の本音が、とっても良いスパイスになってると思う。
宮沢りえの不倫相手を演じた内野聖陽がまた昭和な浮気男で(褒めてます。)
蒼井優と良い仲になって行く松田龍平もトボけた空気が何とも言えない。
Netflix作品だけに細かいところにまでお金かかってました。(笑)
例えば小道具のお札とか、商店街の宣伝用幟のメーカー名とか
あの時代そうだったな〜〜
お勧めです!!