テトリス

配信開始日:

テトリス

解説

落ちものパズルゲームの元祖であり、世界でもっとも人気のあるゲームのひとつとして誰もが知る「テトリス」が、いかにして見いだされ、世界中のプレイヤーの手に渡ったか。その過程をサスペンスフルに描いた実録ドラマ。

米ソ冷戦のただ中にあった1988年、アメリカのビデオゲームセールスマン、ヘンク・ロジャースはソビエト連邦のコンピュータ科学者アレクセイ・パジトノフが考案した「テトリス」の存在を知る。そのゲームを世界に発信しようと考えたヘンクは、危険を冒してソ連へと渡り、アレクセイに会う。2人はテトリスを大衆に広めるため奔走することになるが、そんな彼らの前には冷戦の東西陣営を隔てる鉄のカーテン、そして張り巡らされた嘘や腐敗した世界が立ちはだかる。

ヘンク・ロジャースを「ロケットマン」「キングスマン」のタロン・エガートンが演じ、ヘンクの妻役で「ばぁちゃんロード」の文音が出演。監督は「フィルス」「僕たちのラストステージ」のジョン・S・ベアード。Apple TV+で2023年3月31日から配信。

2023年製作/117分/イギリス
原題または英題:Tetris
配信:Apple TV+
配信開始日:2023年3月31日

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映画レビュー

4.0オモシロい実話をよりオモシロく。

2023年4月30日
PCから投稿

ただゲームの販売権を獲得したいだけなのに、交渉相手が冷戦時代のソ連だったせいでスパイ映画のような攻防に巻き込まれていく……。実話がベースだが、クライマックスのカーチェイスなんかは完全にフィクションで、実際そうだとわかるように8ビット風のCGが混ざってきて虚構感を高めてもいる。映画全体が一種のRPGであり、ハリウッド的映画化のパロディにもなっている。主人公ヘンク・ロジャーズが日本のRPGの先駆者であった功績がほぼ省略されているのも、主人公はどん底から這い上がったほうがいいというハリウッド的作劇に沿うためなのだろう。ソ連崩壊と絡めたKGB周りのエピソードは「だって映画ですから」と言わんばかりでもはや潔い。ただし、どんな業界でも当てはまりそうな、魑魅魍魎が群がる黎明期のカオスはしっかりと映像に落とし込まれていて、荒唐無稽な中に真実が紛れ込んでくる感覚がエキサイティング。日本描写の雑さについては、ご愛嬌と取るか怠慢と取るかは、自分でもちょっと決めかねています。

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村山章

5.0当時のテトリス事情を知るなら観るべき

2024年8月3日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

興奮

Apple Original Films (Apple TV+ 独占配信)

当時アーケード版は好きだったが、任天堂版は操作性がどうしても馴染めず、メガドライブを持っていないのにセガ版が発売中止になった時はショックだった。
権利関係が複雑だったのは知っていたが、それ以上は知る術がないから知らないよね。

どこまで脚色があるのか分からないが、当時のBPSの社長が権利獲得していなかったら、その後のテトリスはどうなっていたのか?コラムスは、ぷよぷよ は。

中盤からソ連へ交渉の舞台が変わり、サスペンス色が強くなる。今以上に暗黒時代のソ連だから、なんか納得してしまう。終盤のゲーム風の演出も面白かった。

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imaxmax

4.0やや物語的にし過ぎているきらいはあるが、良作

2024年6月12日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

たった一本のゲームのために、大の大人が何千何万ドルもの金をかけ、命からがら奔走する。だが、現代に生きる我々はその価値を知っているからこそ、そのストーリーにのめり込めるし彼らの思いに共感できる。

この映画にはテトリスという作品のみならず、ゲームそのものへの愛が多分に含まれている。ゲームボーイを初めて見たときの彼らの目の輝きようは、自らの幼い時のゲームへの気持ちを再燃させてくるほどのものだった。

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たく

4.0ザブラックオニキス

2023年11月7日
PCから投稿

Tetris (film)のwikipediaに──

『2023年のインタビューでアレクセイ・パジトノフはこの映画は「実際に起こったことの実際の伝記や再現ではなかった」が、それは「感情的にも精神的にも十分に近く、非常に正しいものであった」と認めた。』

──と書いてあった。

つまり映画とじっさいに起きたことには違いがあるにしてもだいたいこんな感じだったとテトリスの作者パジトノフ自身が認める映画だった。

もっとも印象的だったのはタロンエガートン演じるBullet-Proof Softwareの創始者ヘンクロジャーズが、任天堂オブアメリカで開発されたばかりのゲームボーイの同梱ソフトをすすめる場面だった。

彼はこう言ったのだ。

『ゲームボーイを子供に20万台売りたいなら同梱はマリオでいいでしょう。だけど百万台のゲームボーイを全世界のあらゆる世代に売りたいなら同梱はテトリスです。』

この言説はテトリスという“発明”の特質をとらえていると思う。
1984年から今日(2023年)まで世界で5億コピーを売り、なお人気がおとろえていない。今なおグラフィックや効果音を盛ったテトリスをする人が大勢いるし、俗におちものと呼ばれる亜種もテトリスが元になっている。そんな世紀の発明が旧ソ連で開発されたとなれば版権で揉めるのは当然であったろう。あたかもスピルバーグのブリッジオブスパイのような駆け引きの応酬だった。

主人公のモデルとなったヘンクロジャーズ氏はもともと冒険的な人物でありウィキペディアの説明によると──

『オランダのアムステルダムに生まれた後、オランダに11年、ニューヨークに8年、ハワイに4年、日本に18年、サンフランシスコに7年、ハワイに7年と、様々な場所に居住していた。スタイヴェセント高校にてコンピュータプログラミングに出会い、ハワイ大学にてコンピュータ・サイエンスおよびRPG形ゲームの勉強をした。』
(ウィキペディア「ヘンク・ブラウアー・ロジャース」より)

──という流転する地球人というタイプの人で、且つPC-8801を知る世代なら覚えておられる方もいると思うが国内初RPGゲーム「ザブラックオニキス」の開発者でもあった。

つまりロジャーズとパジトノフが東西を超えて肝胆相照らす仲になったのは二人とも有能なプログラマーだったからだろう。
当時ロジャース氏のBPSは横浜市に所在しており、任天堂もふくめてかなり日本が絡んでくる映画だった。

それもあって長渕剛と志穂美悦子の娘である長渕文音がヘンクロジャーズ氏の日本人妻アケミ役として出演している。

あちらのインタビューによると長渕文音はここ10年間のあいだにハリウッドで何百というオーディションを受けまくりようやく勝ち取った役がテトリスのアケミ役だったそうだ。
すなわち彼女の国際デビューでもあるわけだが訛りの払拭された英語を使い女優として独歩しており七光りに頼らないハングリーさに感心した。

一方で父母が長渕剛と志穂美悦子なんて、いずれも濃さと特異さの際立つふたりだから、なるほどその娘なら気骨もあろう──という納得もあった。眉がじつにサラブレッドだと思う。

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津次郎