ブライアン・シンガー監督、満場一致でグランプリの「ニーゼ」は「完璧な映画」
2015年11月6日 19:00

[映画.com ニュース]ブラジル映画「ニーゼ」が東京グランプリと最優秀女優賞(グロリア・ピレス)の2冠を獲得して幕を閉じた第28回東京国際映画祭。コンペティション部門の審査委員長を務めたブライアン・シンガー監督は、エントリーされた全16作品に敬意を表しつつ、今年の傾向を講評した。
6人の審査員のうち5人が監督というのは、昨年と同じメンバー構成。その中で「ニーゼ」は満場一致での選出だったという。
「完璧な映画。ここはカットした方がいいな、この役はちょっとどうかというところが全くなかった。特に精神疾患の患者たちが素晴らしい。演技で表現するのはとても難しいことだと思うが、彼らの感情、葛藤を見ていて本当にすごいなという気持ちになった。テンポもいいし、ユーモアも入れて映画としてエンタテインメントの高みに持っていっている」
対抗馬として議論されたのが、結果、最優秀芸術貢献賞となったチェコ・ドイツなど5カ国合作の「家族の映画」。ムスタファ・カラ監督を最優秀監督賞に選んだトルコ・ハンガリー合作「カランダールの雪」は、トラン・アン・ユン監督の強力なプッシュによって全員があらためて熟慮した。
「『家族の映画』は、誰も知らなかった秘密が暴かれる、男の子が大人になっていく、そして孤立した犬という3つのストーリーがうまく組み込まれていて、皆が賞を与えなきゃいけない気持ちが強かった。『カランダールの雪』は、あれだけ語るのになんでこんなに時間がかかるのかというのが最初の自分の気持ちだったけれど、トランの話を聞いて監督の立場で考えると、あれだけリアルに見せることは監督として相当なチャレンジだったと思うようになった。でも、最優秀編集賞があったら絶対にあげたくないけれどね(笑)」
しかし、個人的には「神様の思し召し」に主演したマルコ・ジャッリーニとアレッサンドロ・ガスマンがお気に入りだったようで、「どうしても押し切れなかった」と悔しそうな表情を見せる。
「あの2人は本当にうまかった。ただ、娯楽映画としてはすごくいいけれど、映画祭のアーティスティックな面を考えるとあとちょっということもあって、自分の戦いは勝利を得ることはできなかった。でも、観客賞に決まったと聞いた時は『ほら見ろ』って、敵を討ったような気持ちになったね」
賞から漏れた3本の日本映画についての意見を聞く時間がなかったのが残念だが、「10日で16本を見るのは本当に大変だった」と正直な感想も吐露。審査以外にもさまざまなイベントに出演し、合間で来年5月に全米公開の最新作「X-MEN:アポカリプス」のプロモーションまで行ったというのだからむべなるかな、である。それでも、各国の監督らと長い時間を共有し活発な議論を交わしたことで、監督としても相当な刺激を受けた様子だ。
「16本はCGが入り込む余地がないものばかりで、非常に敬意を表するべき作品が多かった。監督はいつも俳優やスタッフと一緒で、現場で他の監督と一緒にいることはないから、毎日一緒にいて食事もして仲間意識を持つことができたと思う。皆が刺激し合いながら、時折ジョーク交えて楽しく審議した。そのプロセスはとてもやりがいのあるものだったよ」
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