UAと村上淳の息子・村上虹郎 河瀬直美監督作「2つ目の窓」主演で俳優デビュー
2014年2月27日 06:00
[映画.com ニュース] 河瀬直美監督の最新作「2つ目の窓」に、歌手のUAと俳優の村上淳を両親にもつ16歳の村上虹郎(むらかみ・にじろう)が主演し、俳優デビューしていることがわかった。女優の吉永淳とともにオーディションで抜てきされ、2人で主演を務める。父・村上も出演しており、デビュー作で親子共演が実現した。
映画は、「萌の朱雀」(97)でカンヌ国際映画祭カメラドール(新人監督賞)、「殯(もがり)の森」(2007)で同グランプリを受賞し、13年の同映画祭では日本人監督として初めてコンペティション部門審査員も務めた河瀬監督が、奄美大島の雄大な自然を背景に、16歳の少年と少女、彼らを取り巻く大人たちの姿を通して、命のつながりや人と自然との共存、生と死といったテーマを描く長編作。
撮影は昨年10月から1カ月間行われ、村上は島で生まれ育ち、生と死を目の当たりにするひと夏を過ごす少年・界人(かいと)を演じた。国際的にも注目の高い河瀬監督作への主演で俳優デビューを飾ることになり、出演が決まった際の心境を、「『映画、やりますか』と、風が気持ちよい海を目の前に監督から言っていただき、監督と主演という関係がやっとの思いというか、やっとこさの始まりでもありました。うれしかったです本当に。でもうれしいのと同時にプレッシャーがありました。何をかはわからなかったんですが頑張らなきゃなって」と述懐している。
一方、ヒロインの杏子役を演じた吉永は、映画「リアル鬼ごっこ2」(10)で映画に初出演し、同年にサントリー「C.C.Lemon」のイメージキャラクターなども務めて注目を集めた新進女優。「監督に選んでいただいたからには、私のできる精一杯のことをしようと心に決めました。奄美大島の豊かな自然のなかで、私なりに杏子を生きたいと思いました」と振り返り、「この作品に込められている思いが観客の皆様の元に届き、そしてさらに糸が紡がれてゆくのでしょう。その日を境に、また新しい世界がはじまることを願っています 」と話している。
「萌の朱雀」で、当時一般の中学生だった尾野真千子を見出したことでも知られる河瀬監督は、「圧倒的な強さを持つ奄美の自然。それに負けない存在感のある2人。目、たたずまい、声、肌の色、海で泳ぐ姿……演技経験の有無に関わらず、そんな彼らの持つ質感を重要視しました」と主演2人の選出理由を説明。そして、撮影を終えたいま「思っていた以上にその質感は奄美の自然と対じし、得も言われぬ存在感として映画に定着しました。きっと、彼らの映ったショット、それを切れば血が流れるだろうと思います。それほどに、彼らはそこで生きて、存在していました」と手ごたえを感じている様子だ。
日本、スペイン、フランスから出資される国際共同製作で、2月6~16日に開催された第64回ベルリン国際映画祭では、完成に先駆けてワールドセールスを開始。すでに各国のバイヤーから問い合わせが相次いでいるといい、早くも国際的な注目を集めている。今夏公開予定。