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現代の黙示録「楽園からの旅人」 伊巨匠エルマンノ・オルミ監督からのメッセージ

2013年8月15日 17:00

「楽園からの旅人」の一場面「楽園からの旅人」

「楽園からの旅人」の一場面
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[映画.com ニュース]カンヌ映画祭パルムドール受賞作「木靴の樹」(1978)などで知られるイタリアの巨匠エルマンノ・オルミ監督。映画人生最後の劇映画と公言した「ポー川のひかり」(2006)から5年、前言を撤回して新たに撮り上げた「楽園からの旅人」が、8月17日公開される。「善行は宗教にまさる」とのメッセージを込め、凋落した教会の司祭の愛と移民問題を描いた本作は、監督の集大成であり、現代の黙示録と言える荘厳な作品だ。オルミ監督が作品について語った。

イタリアのある町で、取り壊されようとする教会に、長年にわたり神の愛を唱え続けてきた老司祭がひとり残っていた。司祭が教会にやってきた負傷したアフリカ系の男を助けたところ、その男とつながりのある不法入国者の一団が救いを求めて訪れ、小さな村が形成されるが、何者かにより不法移民の存在が密告される。随所に聖書の挿話が織り込まれ、イスラム教徒の対話と共存も暗示する。名優マイケル・ロンズデールルトガー・ハウアーらがいぶし銀の重厚な演技を見せている。

キリスト教徒でもあるオルミ監督は「ここ数年、他者との共存について考えてきました。『隣人を自分と同じように愛しなさい』『自分がされて嫌なことは他人にしない』。真の市民社会を築くには、このふたつの忠告を守れば充分でしょう。特に「愛しなさい」という小さな言葉には重要な全てがあります」と愛の重要性を語る。

主人公の老司祭は、神聖な教会堂が壊されていくのを見て、権力から疎外され、侮辱され、傷つけられた人たちを受け入れる。「その行為によって彼は司祭としての使命が『新しい章』に入ろうとしていることに気づくのです。しかし、その客観的な判断は、多くの場合、人間の力では及ばないものです」と説明する。

映画ではアフリカ出身の本当の移民たちを出演させた。「アフリカは私たちの起源を思い起こさせ、そこへと導いてくれます。私たちの未来は、起源を探し求めるなかにあるのです。アフリカは人生の意味を失った現代の私たちに多くのことを教えてくれます。この社会は豊かになれば全ての問題を解決できると思ってきました。しかし私たちは調和ある社会を築くために、問題を解決してこなかったばかりか、物質的な豊かさという目標にも到達できず、今や何も持っていません。私たちが得てきた豊かさは、はかなく、誤りでしかなかったのです」

富の一極集中と貧困、宗教紛争や核問題など多くの問題を抱える現代社会を憂い「この無能な社会に対して、私たちはいつ反発するのでしょうか。エデンの園には善悪の『知識の木』と『命の木』があります。かつて神は人間に『命の木』の実まで食べてはならないといいました。その実を守らせるために神は炎の剣をもつ天使を遣わせます。しかし現代の私たちは、核に手にした上に、遺伝学によってこの『命の木』にも手をのばしています。わたしたちはいったい何をしようとしているのでしょうか」とメッセージを寄せた。

楽園からの旅人」は、8月17日から岩波ホールで公開。

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