小泉今日子と黒沢清監督、湊かなえ「贖罪」でファン同士の再タッグ
2011年12月1日 12:53
[映画.com ニュース] 「告白」で知られる湊かなえのミステリー小説を、黒沢清監督がWOWOWで連続ドラマ化した「贖罪」の製作発表が12月1日、都内で行われ、主演の小泉今日子、蒼井優、小池栄子、安藤サクラ、池脇千鶴、黒沢監督が会見した。作品世界を表現するため登壇者は黒の衣装で統一され、小泉は「世界の黒沢ファンがびっくりすると思う。残酷で恐ろしいお話だけど、それぞれのキャラクターがもつ悲しみも見える。ある意味ファンタジー」と見どころを語った。
娘を何者かに殺害された母親(小泉)が、事件の第一発見者でありながら犯人の顔を思い出せない娘の女友だち4人に贖罪を求める。それぞれ心の闇を抱えて大人に成長した少女たちと母親は、新たな悲劇を連鎖させていく。
娘を失った悲しみと怒りに翻弄される女性を演じた小泉は「私自身、母親になった経験はないので、どんな時間が彼女に流れているんだろうと想像しながら演じた。恐ろしい女性だけど、心の奥底の深い悲しみを表現したかった」と振り返った。「トウキョウソナタ」(2008)に続く黒沢監督とのタッグは、「とにかく監督のエッセンスがちりばめられた現場に行くのが楽しみだった。大ファンです」とラブコールを送った。黒沢監督も「僕もファンなので、ファン同士で仕事ができてこんな幸せなことない(笑)。小泉さんとは波長が合うし、日本を代表するトップクラスの女優さんであることは間違いないので、監督冥利に尽きるという感じ」と満悦だった。
黒沢監督から「受け身の芝居だけで目を釘付けにさせる」と絶賛された蒼井は、「初めての黒沢監督とのお仕事だったのでぜひ参加したいと思った。みんな屈折していて、ひとりもまともな人が出てこないけど」と笑わせた。原作の大ファンだという小池は、「オファーが来たときはびっくり。人は誰しもが屈折しているもので、そこが魅力で個性。見応えのある作品に仕上がっている」とアピール。安藤は役どころ同様、「身の丈に合わないことをすると良いことない。今もソワソワしている」と天然ぶりを発揮。悪役で新境地を開拓した池脇は、「とても楽しくやらせていただいた。ここまで人は虚しさを糧に生きていけるのかと知った」と話した。
個性豊かな豪華女優陣をまとめあげた黒沢監督は、「最高のキャストとスタッフに囲まれ、キャリアの中でも最高のステップを踏み出せた。感無量と同時に恐縮」と感慨ひとしおだった。
連続ドラマW「贖罪」は、来年1月8日よりWOWOWで放送開始。