劇場公開日 2023年10月6日

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白鍵と黒鍵の間にのレビュー・感想・評価

全72件中、41~60件目を表示

3.0今回のクリちゃん

2023年10月11日
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鑑賞方法:映画館

この作品の予告編を初めて観たとき、確かテアトル新宿だったと記憶しますが、その時の第一印象は「公開日が意外に先だな」と思いつつ、ただ、「これはテアトル新宿さんの自慢のodessa(音響システム)のPR映画では?」という訝しみもあったことは事実です。とは言え、その雰囲気といい、題名といい、そして予告編に次々と登場するキャスト達に期待は膨れるばかり。要するに私も作品を鑑賞して気が付く「騙された口」なのですが、それほどネガティブな印象はありません。いわゆる「シットコム」ですね。野暮を言えば、案外序盤から設定は「こういうことでは?」と気づく人も多い気がします。まあそれだって別にマイナス評価ではありません。
特に期待を裏切らないキャスト達の演技は素晴らしく、ちゃんと面白くてほぼ全部においてスベってません。
何と言っても三木役の高橋和也さんですね。私、この人が演じる「品のない」人物が大好きなんですが、今回も間違いなく鉄板です。ちゃんと「昭和の杜撰(ずさん)さ」が演じられていて、当時を生きていた私たちを掛け値なく納得させてくれます。
そしてクリちゃんことクリスタル・ケイさん。歌がサイコーなことは言うまでもなく、予告編でも流れるシーンは聴きごたえ十分で、まさにodessaで聴くとまた「一味も二味も違う」のだろうと想像できます。ただ、侮るなかれ。今回のクリちゃんは単なる「歌うま要員」ではありません。「シンガー」として米国から鳴り物入りの“つもり”で来日したリサを演じる彼女はセリフは基本英語ですが、南(池松壮亮)の「なかなかな英語」を相手の掛け合いが絶妙に面白く、さらに、ヨッパライとの絡みは爆笑です。そのほか、例を挙げればきりがないので省略しますが、皆さんいい味出していると思います。
では、総じて面白いのか?と問われれば「それなりに」と言った印象ですかね。かなり大胆に脚色してるようですが、原作(未読)とそのモデル(原作者)がいる話なのですが、決定的な瞬間はやはりふんわり感が否めない印象で、むしろ、見ている方はその表しがたい何かを自分に投影しながら観ていていると、結局、肩透かしな印象で「共感」止まり。ベタになっても、そのふんわり感をもう少し具体的に明示してくれた方がコメディとしてもメリハリが出来たような気がして少々惜しいと思いました。あと一歩!

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TWDera

3.5最後になるほど「?」になるが思えば最初から「?」だった

2023年10月10日
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2023年劇場鑑賞236本目。
ファンタジーアニメだと勘違いしていったら全然違ったぜ!

学生ピアニストの池松壮亮と、ヤクザお抱えのピアニストの池松壮亮がいて、片方が博で片方が南と呼ばれていたら二人の関係性はよほど鈍い人でないとわかると思うのですが、時系列をいじっているにしては辻褄が合わず、なんとかこちらで落とし所を見つけようとしても新情報でひっくり返されてしまう、という感じを繰り返しているうちにファンタジーな展開になってますます混乱する、といった感じでした。眠たくはなりませんでしたが面白いなぁという感じでもなかったです。

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ガゾーサ

2.5やはり、分かりにくい、、

2023年10月10日
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鑑賞方法:映画館

難しい

寝られる

公開後の三連休明けのお昼上映ですでにガラガラでした。
冒頭は何かを期待させる予感をヒシヒシと感じてました。池松壮亮さんは雰囲気もピアノもとても良かったです。仲里依紗も良かった。クリスタル・ケイさんの歌も最高でした、が、松尾貴史がヤクザの親分役にしては軽すぎるしミスキャストな感じで、高橋和也さん森田剛さんも最初の方は良かったのに、だんだん途中からもったいない使い方だなあと思いました。レビュー見てから鑑賞したのですがやはり主人公の二役設定は分かりにくかったです。大人向けの最高のJAZZ映画を少し期待したのですが最後は何の映画なんだか分からなくなりodessaシアターで+200円は必要なかったかなと感じました。

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tomクルー

4.0演奏の演技

2023年10月10日
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鑑賞方法:映画館

ズンドコ前で終わってれば★4個ぐらいいってたな。
別に無理に落とす必要もないし、伏線も回収することもない。
一番いいところで終わればいいのに・・・と
構造だけで不条理ものだと察しがつくので、無理にエンディングつけることもなかったな。
いちばん気持ちいいところで終わればよかったのにと思います。

音楽は台詞より「伝わる」のを実感しました。

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アモルフィ

3.0僕のJAZZ武者修業@銀座編

2023年10月9日
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笑える

楽しい

単純

ジャズピアニスト『南博』の回想記が原作と聞いている。

オフィシャルサイトに掲載の日記の書籍化、と。
そのものは続編も出版されていることから
それなりの面白い著作なのだろう。

が、それを映像化すると、
ここまでつまらなくなるのかと、
驚いてしまう一本。

監督の『冨永昌敬』は直近で
〔あの頃。(2021年)〕や〔素敵なダイナマイトスキャンダル(2018年)〕を
撮っているわけだが、それよりも数段堕ちる、悲しいほどの出来。

94分尺の小編乍ら、体感は二時間強にも感じてしまい、
全体的に冗長。

一つのエピソードを最初から最後まで引き延ばし活用していることが
余計にそのように感じさせる要因かもしれぬ。

怪しげなバンドマスターやバンド仲間、
銀座の夜を彩るホステスさん達、
そして、組織の親分や幹部、それと曰くがありそうなチンピラ。

登場人物は一見魅力的も、
いずれもが散発的にしか機能せず、
加えてギャグにしたいのかシリアスに使いたいのかも判然とせず、
中途半端な限り。

物語りは、主人公がクラシックピアノで師事する『宅見』から唆され、
銀座のクラブで働き始めるところから始まり、
アメリカへのジャズ留学を決意するところで終わる。

『南博』を演じるのは『池松壮亮』、
入りたての頃と、ある程度年数の経った頃の、ややトリッキーな二役。

それが一晩の出来事で交錯する仕立てはユニークも、
却って人物の役割が見えにくくなる恨みがあり。

また、長じた頃のキャラクター付けも、最初は随分とクールに見えたのが
最後の方ではドタバタを演じる端役にも感じられる一貫性の無さ。

不可解なことこの上なし。

四丁目辺りから一丁目をロングで捉えるシーンは印象的。
夜空を背景に煌々と輝く看板の文字は「Brillia」。

しかし舞台の時代1988年当時なら
ここは「INAX」であるべきではないか。

魂は細部に宿ると言うが、こうした気遣いの無さが、
画面の全てを支配しているように見えてしまう。

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ジュン一

4.0で、ノンシャランとはなんぞや

2023年10月9日
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予告編では、ピアニストを取り巻く、ちょっと洒落たジャズ映画かと思っていたけれど、意外とコメディタッチ。

紅白歌合戦すら自粛ムードだった昭和63年の年末の銀座がどうだったかは分からないけれど、この映画にうっすら漂う猥雑な雰囲気は結構好き。

予告編で使われていたNobody knows youって曲や、中でも外でも相性抜群なピアノとサックスの即興セッションなど、音楽のシーンはカッコよくて良かった。
違いはたぶん分からないけど、きっとodessaにして良かったと思う。

後半のあそこは意味分からなかったけど、全体的には好きな映画。

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コビトカバ

2.5#38 池松壮亮クン好きなんだけど

2023年10月9日
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chicarica

3.03年

2023年10月9日
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ごっとん

4.0花瓶は見られて生きる

2023年10月9日
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笑える

楽しい

興奮

昭和末期の銀座、小汚いキャバレー、路地裏、ジャズ。ノスタルジックで美しく、音楽の素晴らしさに酔いしれる良作。日本映画でこんな気持ちになれるとは。評価は低いけど、音楽映画としてなかなかの質感です。

池松壮亮の魅力、大爆発。
現代よりも江戸〜昭和がめっぽう似合う男。「シン・仮面ライダー」「せかいのおきく」に引き続き、今回も最高です。尺の短さ、ゆとりのある構成から一人二役ということの意味を理解することは出来なかったのですが、彼の演技は拍手喝采。落ち着いた声色とトーンが作品の癖にドンピシャ。意外にも目で演技のできる俳優なんだと、本作で知りました。また、ピアノ演奏も練習の成果がモロに出ており、音楽の世界にどっぷり漬け込むことが出来ました。

人間ドラマとしては所々に違和感を感じながらも、街並みや雰囲気は近頃の邦画でベスト級。クリスタル・ケイの歌声が劇場内を響き渡り、心を打つ。登場人物の音楽に対する強い思いも、音楽好きとしてはたまらなく刺さる。南と博のピアノとの向き合い方が最高。俺たちはBackGroundMusicでは無い!"忘年会のリハーサル"には痺れまくれ。ここで終わってくれても良かったな〜。

かなり独特の雰囲気で想像とは違うテイストの映画だけど、個人的にはこういうの大好き。冒頭のタイトルが出るところから分かる、監督のセンスの良さ。そして、池松壮亮と東京テアトルが相変わらず抜群の相性。仲里依紗や森田剛などの脇を固める面々の演技も、音楽を愛していることが見て取れる。でも、松尾貴史はちょっと違ったかな〜。あまりヤクザに見えず、怖くもない。佐藤二朗だったらな笑

確かに、オチは変だし理解できないけれど、全体を通して見れば居心地はいいし、心は踊るし、すごく楽しい映画だった。平均3.6くらいはあっていいんじゃないかな...?レイトショーに見たのは大正解でした。ぜひ。

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サプライズ

3.580年代の空気

2023年10月9日
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垣間見るだけで体験出来なかった80年代の銀座クラブ界隈。ヤクザが元気だった時代。その空気感を味わうため鑑賞。
ジャズのリズムに乗っていい感じ。
しかし、終盤のドタバタや不条理はちょっと興醒め。
普通に締めて欲しかった。
クラブのセットとクリスタルケイがもったいない。

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morihide

4.0音と匂いを感じられる映像!

2023年10月9日
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映像から音も匂いも伝わってくるその世界観がものすごい。
昭和末期の夜の銀座自体は正直わからないけど、平成後期の夜の銀座の空気とは非常に類似してて、きっと昭和の終わりには輪をかけて凄かったんだろうな〜と予想できる。

南と博を池松さんが1人二役で演じていた時点で予測はできたけど、終盤までの真っ当な流れと非常階段踊り場からのゴミ捨て場までのエキセントリックなシーンとで作風がガラリと変わった!?と感じるほどの変化。
あの説明できない混沌とした感じがジャズにのめり込む『おかしくなった』ヤツを表現してるのか、それとも『おかしくなった
』から時系列が混乱し過去と現在と未来が同時に存在してしまうのか。いずれにせよ、難しいけど人の頭の中が素敵に描かれている。その部分以外にも純粋に音が素敵。Odessaで聴きたかったなー。そして池松氏、リアルに弾くとかマジ鬼。カッコ良過ぎ✨✨✨ そして仲里依紗さん、良い味出し過ぎです💜

一つだけ残念なのは会長と南の出会いのエピソードが知りたかったことかなー。

南博さんの演奏、聴きたいな💛
インスタ調べてみよっと❤ ❤ ❤
#basedonatruestory

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らまんば

1.5理解不能

2023年10月9日
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自分の観方が悪いのか理解力がないのか意味不明でした。比較するのもどうかなと思いますが、アニメのBLUE GIANTの方が余程面白かったし感動しました。

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karaagehk

2.5なんだこれ?感が凄い

2023年10月8日
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怖い

単純

初めの60分くらいはちょっと退屈。一人二役なのでちょっと混乱。なんで1人で2役するのか、、はあとで回収があります。
昭和の終わりの銀座にノスタルジーを感じる、、人には面白いかもしれません。

次の15分にようやく話が発展します。なるほど、ようやく面白くなってきた。
最後の15分は、なんじゃこれ?せっかくよい雰囲気だったのに、ぶち壊しという感じ。別の人が作ったみたい。

感動は絶対にしないとして、、、
カッコイイ?面白い?怖い?どれでもない変な感情になります。

JAZZと聞いて、BLUE GIANTや坂道のアポロンのような、カッコイイ雰囲気を期待してたら裏切られます。一瞬、これぞJAZZ、、、かと思ったところで、なんじゃこりゃ。
これってコメディ映画ですか?

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だるまん

4.0奇天烈無双のジャズの宝探し映画

2023年10月8日
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今年観た中ではダントツに面白い。これだけ破天荒な映画はそうはないという挑戦的グラフィティ。
ジャズだけど冒頭からハッピ着て歌謡曲の伴奏やらされてるジャズピアニストがそこから抜け出せるかどうかという一夜のドタバタ劇。ジャズというとカッコいいイメージがあるけど、簡単に掴み得ない猥雑で軽みを持った、劇中ではノンシャランと言われる宝物を手に入れようと、魔界に探しに行くと魔界から抜け出せない。そして当然宝探しに来るのは1人ではない、というのをまさかの同じ人が演じてるのが奇天烈感を誘って簡単には説明できない。
なんだろう、ブルースブラザーズと幕末太陽伝とチャーリーカウフマン的ないヘンテコな映画。もちろん褒めている。クリスタルケイの歌でのセッションシーンのカオスっぷりは至福の時間。

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ONI

2.5わかりづらい

2023年10月8日
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難しい

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りあの

4.0ちょっと雑すぎてこりゃもう何も…。毎回定番すぎる評価もさらに輪をかけるありさま。

2023年10月8日
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今年345本目(合計995本目/今月(2023年10月度)10本目)。
(参考)前期214本目(合計865本目/今月(2023年6月度まで))

 ※ 映画のストーリーとしても「昭和末期」としていつかは具体的に示されていませんので、昭和55~60年程度を想定し、法律の解釈もその当時のものによるものとします(この映画はそれをまず決めないと評価ができない)

 まず結論からいうと「結構こりゃ厳しいなぁ…」というところです。今週(10月1週)、一番荒れる枠じゃないのかな…(明日(月祝)の「~法定相続人」まであれないと思っている…)といったところです。

 東京テアトルさんの映画で、映画館としては実際に直営のシネリーブル梅田でも放映されていますが、人気作という事情からいろいろな映画館で放映されています。そして東京テアトルさんの映画というと、去年の「はい、泳げません」など比較的わかりやすい映画が多いのですが、こちらはちょっとどうなんだろう…といったところです。

 中には本当に「真似する人がいると困るよなぁ」というものもあり(法律系資格持ちとしてはこちらのほうが激怒度は高い)、正直困ったところです。

 テーマとしてはジャズもので、昭和のジャズ喫茶をテーマにある音楽を弾くだの弾かないだのといった抗争があったのか(史実に着想を得ているのかも謎)、大半それらの話題に、妙に聞き取りにくい(あるいは「悪い」ともいえる。後述)英語や、ほか、「真似しちゃダメよ」なものをストレートに描きすぎで、個々個々は減点幅としては調整してもそれが数え役満的な状態になっていて、どうするんだろう…といったところです。

 東京テアトルさんの映画と言えば、極端な大当たりはないとしても「極端な大ハズレもひかない」という扱いで見に行っていたので残念です。

 映画そのものも、音楽(ジャズ)に関すること(楽譜読解の理論など一部含む)をストレートに問われるなど妙に難易度の高い部分があり結構厳しいです。

 さっそく評価いきましょう。
ちょっと特殊な論点がこの映画には混ざっているので、それらにも触れます。

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 (減点0.2/音楽の演奏と表現の自由(憲法論))

 ・ 表現の自由はこのように音楽演奏においても現れます(著作権法にもあらわれます)。表現の自由は絶対無制限ではありませんが(たとえば、ヘイトスピーチが規制されるのと同じ)、「ジャズ喫茶(バー)で弾くだの弾かないだの」にまで制限が及ぶ映画の述べる趣旨が不明です(ただ、日本では憲法論に関しては間接適用を取るので、不法行為論の中でここを論じることになります)。

 (減点0.2/英語表現が妙なまでにぎこちなかったり、妙にきわどい)

 ・ 英検3級の面接会場ですか?みたいなレベルの英語の話し方なのが気になります。まぁ、昭和末期のころはまだ就職で英検だのTOEICだのといったことが聞かれていなかったものと思います。

 ただその突っ込みよりもマズいのは、それに対応する女性の方(リサさんだっけ?)の返し方で、 a** h**eなど(さすがに書けません。いわゆる「伏せ文字必須の単語」) さすがに昭和末期でもそりゃないでしょみたいな返し方をしています(この当時はそういう、下品な表現とかといった概念がなかったのかなぁ…)。

 (減点0.8/事務管理の描写が「あまりに」雑に過ぎる)

 ・ 酔っぱらっている人や、溺れかかっている人などを救助する行為を、民法上では「事務管理」といいます(697条以下)。「財布を拾ったので警察にとどける」というのもこれです。費用請求権はありますが報酬請求権はありません。民法がこれを定めているのは、「ある程度の相互扶助を想定している」ということになります。

 ただそのために「一度始めた事務管理は勝手に中止できない、善管注意義務を負う」といった義務も管理者(事務管理を始めた人)には課せられます(697条以下)。

 しかし、事務管理において管理者はあらゆる代理権を本人(ここでは、倒れている人等)から与えられているのではないので、本人の名を借りて各種の契約等を行ってもそれは(表見代理が成立しなければ)無権代理にしかなりません(判例)。

 …で、いつも書いているのはその話(まぁ、事務管理と無権代理だけでも100回は書いていると思う)、それであれば0.3程度の扱いです。

 問題はここからで、この映画、なんとそのあとに「代わりに救急車呼んで」などと適当に事務管理を放り投げてしまう点であり、これが無茶苦茶です。事務管理は継続して管理する義務まで負わせているからです。また、放り出されたほうも結構面倒な状況にしかなりません。事務管理の管理者が別の事務管理を発生させることができるか等論じると面倒なことになるからです(法は想定していないため、これらに対応する条文がまるで存在しない)。

 この「投げ出し行為」はとても問題のある行為で、事務管理の中でも、この映画の例のように「救急車を呼ぶこと」が事務管理者に課せられた事務だというもの(倒れた人を救助する類型は普通そうなる。あるいは病院につれていくほか)は、その性質上、私法である民法だけでなく医療行政という「公法」が適用される行政法とクロスする論点があり、救急行政も混乱してしまう事案です(救助者に対して、「どのような状態だったのか」等聞きたくても、このように「投げ出し」があるとそれが全くできなくなる)。つまり、民法と行政法(医療行政)のクロス論点をつついている部分があり、行政書士の資格持ちはここでプッツンするわけです。

 (減点なし/参考/保護責任者遺棄罪(刑法)との関係)

 「保護責任者」には、親などが含まれる典型例ほか以外に、事務管理の管理者も含まれるとされます。そして、単純遺棄罪と違って保護責任者遺棄罪は「単純な置き去り行為」も対象になります(単純遺棄罪は単純な置き去りは対象にならない)。

 ※ ただこの点は微妙なところがあり、事務管理は法定債権と呼ばれる「契約なくして成立する債権」であるゆえに、これを根拠に逮捕、起訴などすると「倒れている人を法の正しい理解のないまま助けようとすると不備をつかれて民事刑事で責任を問われうる」という委縮効果を生むので、「あまりにも支離滅裂でない限り」、刑事罰まで課されうるかどうかは微妙なところはあります(誰も事務管理をしなくなってしまうため。この辺、民法と刑法各論のクロス論点で文字数が足りなくなるので以下省略)。

 (減点なし/参考/私が映画を見るときの採点幅のスタンス)

 コメントがあったので、こちらで触れておきます。
基本的に「極端にがっちがち」には見ない立場ですが、「真似すると困るもの」や「極端に違法性の強い行為」ほかについて「あまりにも極端に過ぎる描写」は個々チェック対象で、「強行法規かどうか」ほかいくつか幅が存在しますが、「がっちがちの条文当てはめは行わない」というものです(最高裁判例、高裁以下裁判例、あるいはリアル日本の実情ほかも見たうえで、「真似をするとまずい行為」は個々指摘する、というものになります)。

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yukispica

3.0わかりやすさを求めてはダメだろうか

2023年10月8日
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kenshuchu

3.0夢と現実。

2023年10月8日
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SAKURAI

2.0紛らわしい一人二役

2023年10月8日
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昭和63年銀座のキャバレーを舞台に二人のジャズピアニストを描いた人間ドラマ。ゴッドファーザー愛のテーマを弾いたら最後、二人のピアニストの人生を変える運命のいたずらに翻弄されるストーリーですが、池松壮亮の一人二役が紛らわしく仇になっている印象、非常に分かり難くて面白みに欠ける。

2023-157

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隣組

3.0雰囲気は味わえたけど…

2023年10月8日
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昭和の時代の銀座。そしてキャバレーとジャズ。とても素敵な舞台設定だと思います。俳優陣も個性的な役者さんが揃っています。ただ肝心の内容がどうも今一つ響きません。後半はコメディー映画だったの?と思えてしまい、話も分かりづらかったです。池松壮亮さんはご自身で実際ピアノを弾かれていたそうで、素晴らしいと思いましたが、作品としては少し残念に感じました。

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たつのこ