オットーという男のレビュー・感想・評価
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オリジナル越えではないが、王道の安心感。
どうしてもオリジナルのスウェーデン映画『幸せなひとりぼっち』を観ているので比較してしまうのだが、いい意味で非常にハリウッド的なリメイクだと思う。舞台やカルチャーをアメリカに落とし込んだことで、エッジな部分は減ったかもしれないが、間口の広いエンターテインメントになっているは確かだし、なおかつオリジナルへのリスペクトも感じられる。厳密に作品同士を比較すると多少物足りないと感じるのだが、それもトム・ハンクスの持っている品の良さも手伝って、パッケージとしてうまくまとまっている。おもえばこういう規模の安心感のあるヒューマンドラマはハリウッドからすっかり減ってしまった。その意味でも適度なノスタルジーが宿っているように思った。
内面を醸成させた演技が感動を呼ぶ。このハンクスは味わい深い。
原作はベストセラーで、北欧で製作された映画も人気を博した。もはやこれ以上の何を望むのかといった感じであるが、いざ本編に触れるとトム・ハンクスがとても良い。いわゆるトークで捲し立てる感じではなく、主人公の日常をじっくり醸成し、内側に秘めた悲しみや苦しみを少しずつ覗かせていく。実はこういった構造はマーク・フォースター監督が最も得意とするところであり、彼が描く登場人物たちは何らかの痛みや後悔を抱え、ずっと自分の枠組みに留まっている。しかし、やがて外からの訪問者によって硬い扉が徐々に開け放たれ、自分の物語と外の世界とが出会い、融合していくのだ。最初はとっつきにくいと感じた主人公に、つい寄り添いたくなるこの不思議な感覚。やはり再生を描かせるとフォースターは巧みだし、あくまで作品の一部に徹しようとしたハンクスの前に出過ぎない感じがまた感動を呼ぶ。涙、涙と力まず、ぜひ自然体で覗いてみてほしい作品である。
オリジナルのスウェーデン映画との見比べがオススメ
アメリカ郊外の集合住宅に住む独居老人のオットーは挨拶されても返事をしないし、いつも不機嫌で近寄り難い人物だ。そんなオットーには人嫌いになる理由があって、決して誰とも関わりたくないわけではないことが段々とわかる物語は、スウェーデン映画のリメイク。オリジナルで主人公のオーヴェを演じているロルフ・ラスゴード(『アフター・ウェディング』ほか)が、仏頂面を逆手に取った足し算の演技をしているのに対して、リメイク版のトム・ハンクスはそもそものいい人イメージを払拭する引き算の芝居で、彼としてはチャレンジングな役に挑戦している。その成否は判断が分かれるところかも知れない。
でも、人は誰とも関わらずに生きていくことなど不可能で、愛すべき隣人の存在がいかに大切かが伝わる映画の本筋は国籍に関係なく説得力がある。
普段あまり見かけない郊外の住宅事情、社会福祉の有り様、など、オリジナルを上手に踏襲した脚本もいい出来だが、死のうとしても死にきれないオットーに対して向かいに住む移民の女性、マリソルが笑いながら言う絶妙の言葉が、リメイク版では変更されているのが残念でならない。それは情緒に傾きがちな物語を笑いに転嫁する渾身のキラーワードだからだ。
ハリウッドリメイクというリスキーなミッションについて考える上でも、お時間があれば是非『幸せなひとりぼっち』も観て、比較してみていただきたい。
死を迎えるということ
喪失体験を乗り越えられないOTTOにとって、今を生きていない感じ、苦しみや悲しみが、OTTOの目の奥で語られているようだった。過去の色鮮やかさと現実のモノクロさが対比するようで、そこに現実で色を与えてくる刺激とのまじりあいによって、OTTOの気持ちが揺らいでいくプロセスは、感動的に感じた。最後には、「心が大きすぎる」がゆえに、死を迎えるわけだが、死という結末に対して、自分で選択したのか、自然なのかで、周囲の反応はこんなにも違うのかもしれないと思った。
自己の存在価値は他者との触れ合いの中に意味を成す、だから人生はまだ終わらない!
目が覚める、野山に鶯の三重唱
すっかり春めいて梅花も真っ盛り中。
あ~ あったいよぉ~ (*´ω`*)
この暖かさを心に注ぐ映画
今日は「オットーという男」を鑑賞です。
原作:スウェーデン小説「幸せなひとりぼっち」
バックマン・フレドリック作
本国でも映画化されて、
第89回 アカデミー賞(2017年)外国語映画賞ノミネート作品で、
コレのリメイクが今作に当たります。
--MC--
夫(主役)オットー: トム・ハンクスさん
妻ソーニャ: レイチェル・ケラーさん
ご近所奥さんマリソル: マリアナ・トレビーニョさん
ご近所旦那さんトミー: マヌエル・ガルシア=ルルフォさん
OTTO(オーティティ-オ-)おっと-です。
TOTO(東洋陶器)ではありませんw
総てに措いて厳しく頑固な男。細かい規則ルールを
周囲に求め 彼を理解しない奴は煙たがる。
歳をとりやがて退職。既に妻は病気で半年前に他界。
孤独に耐えられず、自殺行為を目論む。
ここからが 映画の展開始まりです。
・首つり自殺未遂:ロープとフックをホ-ムセンタで購入し
天井に取り付け自殺図るも 天井が一部抜け未遂に。
・懲りずに、ラジエタ-ホースを車のマフラーにつなぎ
車内窓に排ガスを引き込み 排ガス中毒死自殺はかるがこれも
マリソルに邪魔されて未遂。
・ショットガンで自殺図るも、マリソルが喚きながら心配し
ドアを叩く。しかし、妻ソーニャとの想いがそれをとどませる。
この辺りの 何が何でも死にたいという思いが、
ちょっと 理解し難かった。
このテンポのコミカル展開で 自殺は無いかなと思う。
こんなけ自らにも他人にも厳しい男が、
また、妻とのハネム-ンでナイヤガラに行った帰りのバス交通事故で
妊娠中の妻の赤子を亡くしてしまう。(ここは悲しかった。)
この悲しみにも 二人で人生を この高齢まで乗り越えてきて、
何故? この半年前の妻との病死別が乗り越えられない?
それは 弱い弱い男だと思う。
高齢の孤独とはそれ程 耐え難いものなのか~ そう感じたよ。
きっと亡くなった妻ソーニャが 天国から送り込ませたと思える
アパ-トに引っ越してきた メキシコ系のマリソルとトミ-家族4人。
彼等家族や、昔からのこのアパ-ト住人の黒人夫妻(かつては交際があった)
や、万歩計カウントを上げるためにオーバアクションな歩きをする友人、
妻(教師)の教え子 などなど。
オット-という男を 取り巻くご近所さん達で
孤独に駆られる暇を創らせない~ 展開だ。
人が一人では生きては行けないことを
さらりと教えてくれている。
皆の支えと、自らの使命(役に立つこと)が
人生にその存在価値を見い出しているのだと感ずる。
(凄く良かった場面)
・若い頃、ソーニャと出会い 初めてのデートでレストランで二人食事中。
彼女が ”あなたメインディッシュは?” と尋ねると
彼は”家で食べてきた” といってスープを飲む、
不思議そうに何故?って 彼女が言うと
”だって君が好きなだけ 料理が頼めるじゃないか・・・
僕は訳あって思う軍職に就けなかったから 給与が安いのさ~”
この時、彼女がすかさず席を立って
落ち込む彼の顔をそっと・・・持ちあげキス。
この流れ、実に心にグッと来て 涙したわ!!。
人(相手)の事を想える、素敵な夫婦に成る事は この場面で
実に良く伝わる とても良いシーンだと思いました。
・マリソルに電話を貸してくれと家を訪ねるオット-。
しかし それを断る彼女。
昨晩、貴方の異変に気が付いて 私は貴方の事が凄く凄く心配だった。
その気持ち(心)を何も聞き入れず、あなたは何時も身勝手。
あなたは 孤独で一人で生きているのでは無いのよ。
貴方は私たち家族や近所のみんなにとって大切な存在なの~。
この様な事を 捲し上げて彼に伝え理解させて
彼の閉ざされた心を こじ開けた所は 良かったかな。
ラストに やがて訪れる彼の死!
それは 孤独死という葬儀姿では無く
親しまれた人々の手によって
送られる彼の姿がそこに在った!。
この3月、4月は引っ越しシーズン。
きっと貴方のご近所にも・・・
オット-の様な方との出会いが待っているかもw
優しい気分に浸りたい方
是非 劇場へ!
まさかの戸田奈津子翻訳!
今アマプラで観終わりました。
本作はリメイク版の様ですが、オリジナルを知らない私にとっては、文句のつけどころの無い名作としか、評価のしようがありませんでした。
始終不機嫌な老いた主人公に、お節介でやかましい隣人。シナリオとしては『グラントリノ』に通ずる所が多かったです。
ストーリーが進むにつれ、主人公の素性が明らかになっていき、物語終盤には周囲に心を閉ざす彼に感情移入して目が離せなくなり、観入ってしまいます。
中盤以降、マリアナ・トレヴィノ扮するお節介なメキシコ系奥様の溢れ出す魅力にKOされてしまいました。
誰もが内に“オットー”が居ると思います。その内なるオットーに支配されず、周囲の人と併せて上手に付き合って行く事が大切だと、この映画を通じて感じました。
辛いシーンがあり、切ない映画ですが、家族で観て頂きたい作品です!
いけ好かない頑固親父なのに??
とても頑固で自分の主義主張を曲げない手強いご老人。
そんな印象なオットーなのに、なぜか観る事をやめられなかった
地域コミュニティとの関わりや、トム・ハンクスの演技力からなのか??
死のうと決意しているオットーに対し、いざという時にご近所から邪魔が入る
情は人の為ならず、とでも言うのだろうか
人を助けるために自殺を取りやめる
何度もそんなシーンが繰り返される
最後には、トランスジェンダーの若者を助け、南米からの移住者家族をサポートし、とても幸せな最後を迎える
人間て、所詮は一人だけど、孤独じゃないよね
オリジナル版も観てみたいと思った
オットー
どこかにいそうな嫌われ者オットー
こんな人とは関わりたくないのは正直な所
どこにでもいそなおせっかいなご近所さん、
口うるさいオットーでもおかまいなしに
関わってくる。
悩みを日々抱えている孤独なオットー
死ぬに死にきれず、何者かに生かされ、
結局人におせっかいする。
人は一人では生きていけない。
それぞれ悩みを抱えながら、
迷惑かけ、かけられ、助けけあいながら
生きていくんだな
心動かされるということ。
妻を亡くし、堅物だったのがさらに堅物になり、曲がったことが許せず、ぶっきらぼうな態度をとってしまうオットー。
引っ越してきた隣人、ずっと前から家族同然の隣人たちと相変わらずぶっきらぼうな態度で接していたものの、隣人たちの気遣いやオットーに対する熱い思いを知り徐々に態度を軟化させていく。
堅物ではあるが、どんな人をも受け入れようとする態度。トランスジェンダーであっても、移民であっても、それを問題とせず、堅物としての対応、間違っていることの指摘する姿は人と人との交流をしようと彼なりの努力も感じる。
閉ざした心を開くには、というキーワードをもらった気がする。
口うるさい頑固なおじさん
一見、口うるさい頑固ジジイ。でも間違ったことは言っていない。嫌煙しがちだけど、こういう人っていてほしいよね。
オットーは早く奥さんの元に行きたくて、自殺を試みるけどことごとく失敗。助かってホッとするけど、なんか可笑しい。ご近所さんとの車自慢も可笑しい。トヨタとワーゲン(BMWだっけ?)は論外なんだ🤣
近所に越してきた妊婦さんとの関係がとてもいい感じ。心臓の発作で救急搬送されてからは素直になったオットー。その後の3年間は周りの人達と楽しく過ごしたようで、そのあたりがもう少し観たかったな。
オリジナルは観ていないので、ぜひ観たい。
彼が残したもの
オットーという男。愚直で偏屈な男。
妻に先立たれ、生きる意味をなくしていた。自殺を試みるが、隣に越してきた家族の訪問に邪魔される。何度も自殺をしようとするもその度に失敗する。
オットーの偏屈さをコミカルに描きつつも、妻の妊娠時のバスで子供を失い、妻ソーニャは車椅子生活になった過去が明らかになるにつれ、オットーの想いに次第に共感していく。
また、周囲の温かな人たちに囲まれ、次第に生きる意味を感じるようになる。亡き妻ソーニャが生きろと言っている。最後は悪徳不動産業者と皆で戦い勝利するのであった。
最後は病死はするが、オットーを慕う人々に囲まれて葬儀が行われる。
赤ちゃん用品も車も渡して、彼の思いも受け継がれる。
追記
幸せなひとりぼっち、というスウェーデンの映画が原作なので、こちらも見ました。
ハリウッドリメイク版と話は同じですが、原作の方がテンポが良く、さらに主人公の半生がしっかり描かれているという違いがあります。ハリウッド版も良いところはありますが、全体としてはダラダラした展開が多かったなという印象。原作の方が個人的には好きかも。
人生にはマリソルみたいな人が必要だ。
トム・ハンクスの作品をあと何本観られるのだろうかなんて考えてしまった。
とにかく向かいに越して来た、奥さん役の女優さんが上手すぎる。あんな人ほんとにいるし、演技じゃなく素なのか?なんて思うくらい。
まさかのラブストーリーに泣いた。
SNSを皮肉りつつも、決して悪いことばかりではないという展開も良かった。
いい映画です。
友達になりたい女性
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妻に先立たれ、孤独に苛まれるオットーという男。
どんどん堅物になって孤独を深め、自殺することにした。
色んな方法を試すが、何やかんやで邪魔が入り生き残る。
で隣に引っ越して来た夫婦の嫁と気が合って仲良くなり、
それにより人の役に立つ喜びを少しずつ思い出すようになる。
こうして邪魔者扱いしてた野良猫を飼うようになり、
妻の教え子と知り合って親切にして上げるようになり、
かつて喧嘩した隣人に心を開いて悪徳不動産から救い、
見返りなく人の助けたことで知り合った記者がそれを助力してくれる。
こうして妻がまだ死ぬなって言ってくれてると感じるようになり、
生きてることの意味を感じるようになった。
そんな折に病気で死亡、遺産関係は全て上記夫婦らに譲る。
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気難しくてかなりこじらせてる男の話。
生真面目で口うるさいだけで嫌味や横暴さはなく、
その意味で性根は腐ってなかったが、大体こういう人は孤独になる。
でもそれを救ってくれたのはひとえに上記夫婦の嫁じゃないのか?
オープンな人で、敬遠されがちなオットーとも自然体で接するし、
心を閉ざそうとするオットーに本気で怒ったりする。
人とこんなに本音で向き合おうとする人、おれも友達になりたいよ。
ただそんな人は現実にはほとんどいないんじゃないのかな?
性別も世代も全く違うただの隣人に、そこまでしてくれるとは。
どうしても感じてしまったのはそこ。この女性の存在の有難さ。
オットーは幸福を得るために何かを頑張ったりしたわけではない。
女性の心がオットーの心の氷を溶かした、そういう映画。
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