「ボウイを演じる事は誰にも出来ない」デヴィッド・ボウイ ムーンエイジ・デイドリーム Roccoさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0ボウイを演じる事は誰にも出来ない

2023年4月4日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:映画館

泣ける

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興奮

主に海外のレビューでは、辛口な評価が多かった為、あまり期待せずに観たが、想像を遥かに超える映像と音声に大いに満足した。やはりIMAXで観るべき作品だ。

作品は、ボウイのモノローグと未公開のライブ映像と様々な映像のコラージュで、彼のアーティストとしての生き様を描いていく。

印象的だったのは、彼が冷戦下のベルリンで「メロディーとリズムをひっくり返すこと」に挑戦した場面。今では、当たり前の電子音楽と黒人音楽の融合を、彼は70年代にあの若さでやすやすとやってのけたのだ。

彼の全盛期の「ヒーローズ」のライブ音声は何度も聞いたが、IMAXのリマスタリング効果で、まさ時代を超えて、彼と一体化する体験を味わうことができる。これが、この映画の真骨頂であろう。

その後、彼は、急速に俳優や絵画などの世界に傾倒していくが、EMIとの巨額契約を経て「Let's Dance」で、大衆を操るスーパースターに変身していく。その後、自らを見失い、シーンからは一時期姿を消すが、最後はブラックスターとなった。

ボウイを演じる事は誰にもできない。なぜならボウイを演じているのは、彼自身だから。

Rocco